魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

戦国野郎★★★★

2008年02月09日 | Weblog

【概要】
戦国時代、若き忍者・越智吉丹(加山雄三)は武田信玄に失望して城を抜け、有吉宗介(田崎潤)とその娘さぎり(星由里子)率いる馬借隊に身を隠す。その馬借隊に、木下藤吉郎(佐藤允)が鉄砲“種子島”の運搬を依頼してきた。吉丹らは武田方忍者の追っ手をかわしながら、積荷を織田信長の領内まで運ぼうとするが…。
Amazonより抜粋

【感想】
「殺人狂時代」「近頃なぜかチャールストン」「ああ爆弾」「日本のいちばん長い日」「江分利満氏の優雅な生活」などなど、岡本喜八が監督する作品はどれも題名が冴えていて、ちょっと気になって見てみたい気がするのが多いのですが、この「戦国野郎」だけはどうも野暮ったいタイトルで、ご覧の通りのパッケージですし、手に取りづらかったんですが、見て見たら、それは全くの偏見で、面白い。こんなにテンポのいい時代劇も珍しいと思いました。これが初の岡本喜八時代劇です。
この後に、「侍」や「大菩薩峠」と言った時代劇を撮るんですが、この「戦国野郎」は、時代劇の常識を考えず、自由に作ってる感じがします。現代劇を見ているような軽い感じがどっかにあると言ってもいいですね。
気に入った登場人物を紹介します。

越智吉丹(加山雄三)…若大将シリーズは残念ながら全く見てないんですが、加山雄三の演技力は、「椿三十郎」とか「赤ひげ」で見ていて、凄いなと思っていました。この映画の元忍者という面白い役を楽しそうに演じていて、見ていて心地いいです。ちょっとした台詞の言い回しとかが上手いなと思いました。
銅子播磨(中谷一郎)…この人は脇役に徹してる感じがして、今回の映画のように台詞がバンバン出てくる役は少ないと思います。そういう意味では貴重な作品。加山雄三とのコンビぶりが楽しかったです。
木下藤吉郎(佐藤允)…佐藤允は、好きな俳優の一人です。荒くれ者の役もぴったりですが、今回のように人のよさそうな役柄もいい味出してます。
有吉さぎり(星由里子)…星由里子可愛いですね。東宝の時代劇で彼女が出ると、お姫様みたいな役しかなかったのですが、男勝りな娘を潔く演じていて好印象です。

雀の三郎左(中丸忠雄)…なんだか、この人だけ浮いているような気がするのは気のせいでしょうか?だって、どうしても、吉丹(加山)に顔切られて悔しがっているようにしか見えない!
滝姫(水野久美)…馬借の護衛につく兵隊(実は百姓)達を酒を使って一杯食わせたとき、ちらっと舌を出すお茶目な場面があるんですが、話しの流れから外れた演出はさすが岡本喜八ですが、彼女がこんな役をやるのも珍しく、可愛らしさが出てて良いです。星由里子と水野久美、二人ともイメージと違う仕草が見れて楽しかったです。
馬借松(砂塚秀夫)…地味に岡本喜八の常連さん。どれもとぼけた役が多いです。この映画でもそのキャラクターが全開しています。この人が出ると、映画の雰囲気が明るくなると思います。
馬借ぢごく(天本英世)…台詞がほとんど無い。でも、一角の腕の者。喜八作品には欠かせない人物ですね。はっきり言って全く必要の無い役ですが、存在感がありました。

この映画、面白かったんですが、果たしてヒットしたんでしょうか?岡本喜八作品の中ではあまり知られていないような気がするんですが、私がこの作品を「手に取りづらい」と言った理由はパッケージのデザインとタイトルだけではなく、「加山雄三と星由里子の若大将シリーズのコンビを時代劇でも」と言う企画物めいた雰囲気が感じられたからです。
でも、若い忍者と男勝りの馬借の娘は、いずれもこの二人でよかったと思います。

脚本は、監督自ら立ち会っているし、東宝特撮の「陽」を前面に引き出すことに成功した関沢新一も珍しく脚本作りに参加しています。そのことが、この映画をさながら現代劇のようなテンポのいい物語にしたのだと思います。
本当に、パッケージからは想像も出来ないです。それだけで損してると思います。内容はそんなに大したこと無いんですが、岡本喜八の手馴れたアクションが楽しめる一品でした。

監督 岡本喜八
脚本 佐野健 岡本喜八 関沢新一
音楽 佐藤勝 (佐藤勝お得意の和製ロックが炸裂)

越智吉丹 加山雄三
銅子播磨 中谷一郎
木下藤吉郎 佐藤允
有吉さぎり星由里子
雀の三郎左 中丸忠雄
滝姫 水野久美
馬借松 砂塚秀夫
馬借ぢごく 天本英世

1963年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


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