魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

ブルークリスマス★★★☆

2008年02月07日 | Weblog

【概要】
世界各地に出現したUFOを目撃した者は、体内の血液が青くなってしまう。だが同時に人を憎む気持ちや怒りの感情が喪失するという。そんな事態に危機感を抱いた各国政府は、クリスマス・イブに世界的な規模で、青い血を持つ人々の虐殺を決行する…。
Amazonより抜粋

【感想】
後味悪いですよ~ それだけは忠告しておきます。救いなのは、一般の目線で見れる仲代達也くらい。
あ、それから正体不明の岸田森と天本英世の存在が、非現実的で怪しすぎで面白いです。特に血が青くなった人間をどうするかと問われたときに岸田森が一言
「処理してください。」と簡単に言ってのける場面は、怖いと同時になんだか面白かった。
それでも重く暗い空気で物語りは進んでいきます。この映画を見ようと思ったのは、国家とUFOが絡んだ、その当時にしては大変珍しいジャンルの草分け的作品として興味を持った為でした。今では陰謀、UFOと言えばXファイルが有名ですが、その10年以上前に日本にこんな映画があったのです。(特撮マニアで語り草になっている怪奇大作戦なんかも、Xファイルを髣髴とさせるものがあります。)日本って以外に映像ドラマに関しては凄いものを持っているのだと、感心しました。

だた、この映画はそんなに甘くなかった…

 日本国営放送の南(仲代達矢)が調査するUFOの存在についての演説後、失踪した兵藤博士(岡田英次)の事件
 同局の大河ドラマに大抜擢された新人女優・高松夕子(新井春美)の血が青いという噂と彼女の降板。
 そして青い血の人間を抹殺するよう命じられた国防庁の沖(勝野洋)と、UFOの光を浴びて血が青くなってしまったである沖の恋人理髪店の冴子(竹下景子)
 この三つが徐々に一つに繋がる淡々とした描写はさすが。

  この映画の本題は、一見、UFOと国家の陰謀というテーマのように思えるものの、本底にあるのは、冴子の理髪店のTVでちらっと流れてそれを案じさせる、ナチスのユダヤ人に対する差別のようなもの。それを、未来の世界に置き換えて、ナチスだけではなく、人間全ての恐怖として描いています。
 倉本聰脚本です。こんなハードなSFを書かれていたんですね。
 
 この映画を見たのは、岡本喜八作品を見てまだ日が浅かったので、その作風の違いにびっくりしたのですが、「日本のいちばん長い日」や「沖縄決戦」といった重厚な映画も撮っているので、コメディータッチとそうでない、両方の面を持った監督なんですね。特撮を全く使わないことで、見えない、そして正体のわからないUFOの恐怖が一層引き立っています。
DVDの解説書に、映画監督、アニメーターの第一人者である庵野秀明氏のコメントが載っているのですが、彼曰く、「この映画のラストには、UFOが大挙して迫ってくるシーンが欲しかった」そうです。そうですか?そんなことしたらこの映画のよさが無くなってしまうと思うんですよ。わかってないんだから!


監督 岡本喜八
脚本 倉本聰
音楽 佐藤勝

沖退介 勝野洋
西田冴子 竹下景子
南一矢 仲代達矢
兵藤光彦 岡田英次
兵藤夫人 八千草薫
高松夕子 新井春美
木所 岡田裕介
沢木 高橋悦史
原田 沖雅也
岡村 潮哲也
五代報道局長 小沢栄太郎
竹入論説委員 大滝秀治

1978年度東宝作品(カラー・スタンダード)

大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


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