魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

待ち伏せ★★★★

2008年02月18日 | Weblog


【概要】
人里離れた三州峠に偶然なのか、申し合わせなのか、にわかに人が集まってきた。まず、“からす"と呼ばれる謎の武士に金で買われた鎬刀三郎(三船)。彼はある密命をうけていたが、それが何であるかは全く知らなかった。三郎は途中、風来の女おくに(浅丘)を助け、峠のふもとにある一軒の茶屋に預けた。その茶屋には明るい田舎娘のお雪、老主人の徳兵衛(有島)、それに玄哲と名乗る医者くずれ(勝)が同居していた。そして渡世人の弥太郎(石原)が足をとめた。さらに血だらけの男が二人、一人は狙った獲物は必ず射止めるという追跡役人の伊吹兵馬(中村)で、その縄にかけられているのは盗人の辰であった。
goo映画より抜粋

【感想】
この映画は“各製作会社の主役を勢ぞろいさせた割には面白くない”という評価があるようです。
私も、企画だけが先行して、失敗しちゃった映画なのかなと思って、「まっ、暇つぶしに見てみるか」くらいの感じで借りてきて見たんですが、以外に面白かったぞ。
物語はスタンダードな軍用金が絡んだ脚本なんですが、一転二転する展開や、やむなく悪の一味にならざるを得なかった用心棒鎬刀三郎が一体どこで裏切るのかという箇所で楽しませてくれます。

ところで、この映画を見て思い出さずにいられないのが三船敏郎と勝新太郎の共演(競演)で話題を呼んだ「座頭市と用心棒」。「座頭市と用心棒」の公開が1月。この「待ち伏せ」の公開が同年の3月。そして「座頭市」の制作は勝プロで「待ち伏せ」の制作は三船プロ。
関連性が見つかる理由として日本映画データベースで調べて見たところ、この時期、三船敏郎、勝新太郎は勿論のこと、中村錦之助は中村プロとして「幕末」などを制作、三船敏郎は「幕末」に出演。
石原裕次郎は石原プロモーションと三船プロで「黒部の太陽」を制作。
三船はこれにも出演。
そして最後に独立したそれぞれの三船、中村、勝、石原プロの社長が一挙集結して三船プロが制作したのが「待ち伏せ」と言うわけなんですね。(石原裕次郎や中村錦之助とは、それ以外にも共演作あり)

佐藤勝のノリのいい音楽も最高。
そして、浅丘ルリ子が美人。考えて見れば、なんてことはない時代劇にありがちな三船とのロマンスも、彼女の表情と演技でさまになってます。
この映画の12年後に産声をあげる今ブレイク中の三船美佳の母北川美佳も茶店の娘として登場。有島一郎も茶店の老主人を好演。

この映画の監督は稲垣浩。「無法松の一生」や「宮本武蔵」、特撮では「日本誕生」など、日本映画黄金期時代を支えた監督ですし、黒澤明と同じく三船敏郎を数多く起用し、一躍スターの座につかせるきっかけになった人物。
この作品で東宝からはなれ、劇場用の作品はとらなくなってしまいます。

1970年とは、東宝も制作費を下げ、配給専門になっていく時代。映画界もさらに斜陽傾向にある中で、各プロダクションの社長達が劇場に観客を呼ぼうという熱意が伝わってきます。 三船敏郎は「用心棒」のキャラクターから逃れられなかったなんてよく言われまずが、逃げられなかったのはニーズの方。観客が三船敏郎の用心棒のキャラクターを望んでいたんです。だから「待ち伏せ」でも、用心棒が登場するんでしょ?
確かに、あの素浪人の格好は一番似合います。でも、そういう一つのキャラクターに縛られるということは当然彼自身も危惧していたはずで、周知のとおり三船敏郎は「浪人」以外の役も好演しています。
勝新太郎も三船も、こういう存在感のある役者はなかなかいませんね~


監督 稲垣浩
脚本 藤木弓、小国英雄、高岩肇、宮川一郎
音楽 佐藤勝

三船敏郎(鎬刀三郎)
中村錦之助(伊吹兵馬)
勝新太郎(玄哲)
石原裕次郎(弥太郎)
浅丘ルリ子(おくに)
北川美佳(お雪)
有島一郎(徳兵衛)
土屋嘉男(伊太八)

1970年度東宝配給作品(カラー・シネスコ)

殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎

八甲田山
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


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