魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

新幹線大爆破★★★★

2008年01月20日 | Weblog
【概要】
東京発博多行き新幹線ひかり号に爆弾が仕掛けられた。この爆弾、新幹線の速度が時速キロ以下になると自動的に爆発する仕掛けになっているため、車を止めることも出来ない。

【感想】
「スピード」の原点、評価が高い割には、あまり知られていないような気がするのは私だけでしょうか。

いわくつきの黒沢脚本「暴走機関車」が元ネタとされています。小野竜之介、佐藤純弥の脚本はさらに減速すると爆発するという新しいアイディアを入れて緊迫感溢れる映画に仕上がっています。それにしてもさすが、黒澤明は様々なジャンルの脚本を書く方ですね。新しいことに挑戦していくという姿勢が素晴らしいと思います。
 

 本作品は、暴走機関車こそ元ネタにしているものの、パニックアクションだけにとどまらず、高度経済成長のひずみが見えかかってきた60年代後期から70年代のやり場のない人たちの怒りをも描写している点で、だだのパニックアクションではない凄さがあります。何処となく漂う悲壮感、多岐川裕美扮する妊婦が流産してしまうのも、何と言うか日本映画らしい。これがハリウッドだったら絶対にパッピーエンドに終わると思うのですが。
 

 造り手達の熱い思いがひしひしと伝わってきて、出演者たちの演技も迫真もの。爆弾を除去する駅員たちに、思わず手に汗を握ります。
 
 全編に渡ってテンション高く物語が進んでいくため、冷静に見れば「?」やご都合主義と言われても仕方のないくだりもあるにはあるのですが、それは映画の上、難題をひとつずつクリアしていく面白さがあって気になりません。
 

最後は高倉健と東映の作品らしく、割と古風な終わり方なんですが、それがまた日本映画らしさでもあります。
 

152分と長尺ですが、見応えがあり、飽きが来ません。
 

あの北大路欣也や志保美悦子がワンカット出演しているというのも贅沢な映画でした。



監督 佐藤純弥
企画 天尾完次、坂上順
脚本 小野竜之介、佐藤純弥

沖田 高倉健
古賀 山本圭
大城 織田あきら
倉持運転指令室長 宇津井健
青木運転士 千葉真一
森本副運転士 小林稔侍
    丹波哲郎 ほかオールスター

1975年東映作品(カラー・シネスコ)


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