魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

亡霊怪猫屋敷★★★☆

2008年08月20日 | Weblog

★あらすじ★

賀の化け猫をモチーフに、現代にまで連なる因縁を描いた怪談物語。久住助教授の妻が、郷里の幽霊屋敷と噂される建物に移った時から、毎夜老婆の夢を見るようになる。久住は檀那寺の住職から、屋敷にまつわる江戸時代の因縁話を聞かされる。それは、碁のいざこざから殺された男とその母親の怨念が、化け猫となって祟っているというものだった……。

☆感想☆

猛暑が続く今年の夏ですが、そんな蒸し暑い夜中にこんな映画を見てみるのもいいでしょう。


製作は新東宝。大蔵貢の方針で、エログロ、キワモノ、怪談物が数多く製作された会社でしたが、そんな中にも名作は存在します。

海女の戦慄、海女の化物屋敷、憲兵とバラバラ死美人、女吸血鬼、女体渦巻島(いいよな~このセンス。)など、とんでもなくとんでもな凄いタイトルが目白押しの中で、
亡霊怪猫屋敷もなかなかのものだと思いますが、


が違いますね、やはり。


監督は中川信夫。ムックも発売されるほどコアなファンも存在します。
四谷怪談の傑作「東海道四谷怪談」など、鋭いカメラワークで独特の世界観をもっている監督さんです。映像表現は現代に通じるものがあると思います。


ただ、どうしても気になって仕方が無いのが細川俊夫扮する夫。
結核の妻を療養させるために田舎へ越して来たまではいいでしょう。
立派な夫であり医者です。ただ、


①病気で精神的にまいっている妻をわざわざ幽霊屋敷と噂される家に連れて行くその神経が信じられません。

②看護婦が「おばあさん(亡霊です)
が来た」と言ったときは信じたのに、自分の妻が「おばあさん(亡霊です)が部屋にあがりこんできた」と言ったときは「気のせいだよ」と軽く流すし、

③犬が殺されてもことの重大性が分かっていないご様子。幽霊とかの以前に、防犯のことを考えろと。

「気のせいだよ気のせいだよ」と言ってる お前が一番気のせいなんだよ、と。


まあ、夫が鈍感じゃないと物語が進みませんものね、目をつむることにしましょう。


エピローグの青味がかったモノクロの現代版とコントラストが強いカラーの時代版の両方で構成されている本作ですが、現代篇で夫婦が幽霊屋敷に入る時の、何者かの視線を思わせるカメラワークや細川俊夫が病院にやってくる時の真っ暗な病棟の長まわしなど、撮影のセンスが最高です。
中川信夫監督は極めて古典的に仕上げた「東海道四谷怪談」やかの有名な「地獄」でも、斬新というかシュールな映像表現を試みています。

それから、壁の中から時代を経て新之丞の骨がゆっくりと現れるシーンも、今でこそお約束の感じがありますが、「おっ、やるじゃねえか」と思わせてくれます。

製作 大蔵貢  
監督 中川信夫 
脚本 石川義寛、藤島二郎 
原作 橘外男 
音楽 渡辺宙明 

配役    
【現代篇】 
久住哲一郎 細川俊夫 
久住頼子  江島百里子 
老婆    五月藤江 
和尚    林寛 

【時代篇】 
石堂新之丞  芝田新 
竜胆寺小金吾 中村竜三郎 
八重     北沢典子 
老母     五月藤江 
石堂左近将監 和田桂之助 

1958年度新東宝作品 67分(パートカラー ・シネスコ)

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