魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

妖星ゴラス★★★★

2008年02月23日 | Weblog


【概要】
地球の6000倍もの重力を持つ妖星ゴラスが地球に接近。このままではあと2年で地球は崩壊してしまう。そこで人類が取った最終手段とは、南極に巨大なジェット噴射口を作り、地球をロケットにしてゴラスの進路から逃れることであった…。
Amazonより抜粋

【感想】
「世界大戦争」に次ぐ東宝のパニック映画です。「世界大戦争」は悲観的でしたが、「妖星ゴラス」は科学、特に核の平和利用という未来に向けての明るいメッセージが込められています。
だだ、この映画の良さはそういう真面目なメッセージ性よりも、ゴラスから衝突を避けるため、南極に大きなロケットを据え付けて、地球を動かして逃げるという、大胆不敵な、荒唐無稽な、自由奔放な素晴らしい発想にあります。
しかし不思議なことに、だれが同考えたって出来っこないあり得ない対処方法を、当時の最新の科学考証でそれらしく描いていて、リアリティもあるんですよね。それが凄い。
特撮、SFというジャンルはこの頃は日本、それも東宝が一番クオリティが高いと思います。同年代の外国のSFをしのぐ出来栄えです。宇宙ステーション、ロケットなどの手馴れた場面は勿論、南極工事の風景や大洪水のシーンは特筆もの。円谷英二はすごいなあ。
怪獣マグマの出現は、子供のためのサービス要素でしょうが、子供も楽しめることを忘れない本多猪四郎監督の優しさと受け取ることも出来ます。
全編的に明るい映画ですが、キャバレーで騒ぐパイロット達に一言皮肉を言う客役で天本英世が出て来ます。ちょっとのシーンながらやはり忘れられない存在ですね。
主人公の池部良は「雪国」や「青い山脈」などに出演していて、撮影当時40歳を超えている超大御所ですが、「白夫人の妖恋」や「宇宙大戦争」、挙句の果てには「惑星大戦争」といった特撮映画にも出演する以外にフットワークの軽い俳優です。
その他に、久保明、水野久美、白川由美、平田昭彦、田崎潤、佐原健二など東宝特撮の常連が見られ、出演者を見ているだけで安心出来ます。
その他にもジュウチンが登場していて、結構力入れて作ったんだなと思いますよ。 それから、こういう映画の音楽はたいてい伊福部昭さんなんでしょうが、映画音楽ではあまり功績を残さなかった石井歓が重厚かつスリリングな作曲をしています。

ところで、物語の最後に久保明らが東京タワーに上って水底に没した関東のビル群を見渡すシーンがあるんですが、彼ら、一体どうやって水浸しの東京タワーに上ったんでしょうね?他にも「あれっ?」と思うところはあるんですが、まあ、一応つじつまはあってる。だだ、その東京タワーのシーンだけは謎です。


監督   本多猪四郎
特技監督 円谷英二
脚本   木村武
原案   丘見丈二郎
音楽   石井歓

田沢博士 池部良
河野博士 上原謙
園田謙介 志村喬
智子    白川由美
野村滝子 水野久美
園田艇長  田崎潤
遠藤艇長  平田昭彦
斎木副長 佐原健二
金井達麿 久保明
関総理  佐々木孝丸
木南法相 小沢栄太郎
多田蔵相 河津清三郎
宇宙省長官 西村晃

1962年度東宝作品(カラー・シネスコ)

斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎


ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

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