魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

暗黒街の対決★★★★

2009年03月22日 | Weblog

三船さんはやっぱりカッコいい。
鶴田さんはなんか水っぽい(失礼しました)。
司葉子は清楚でいつも素敵です。


二つのヤクザが町を支配し、そこへ汚職刑事というよそ者がふらりと現れるという設定は、まあどこかで聞いたことがあるような設定なんですが、60年代当時の雰囲気を味わうことが出来、天本英世、ミッキー・カーチスの妙な歌も聞けるということでは、一見の価値ありです。

いやいや、本篇も勿論面白かったです。なんてったって岡本喜八ですからね!

で、喜八作品にはやはり佐藤勝の音楽でしょう。
決して特徴的な旋律ではないのですが、物語をだるくさせない軽妙なBGMは佐藤氏ならでは。岡本喜八作品の明るさを彼の音楽が多かれ少なかれ支えていることは間違いないでしょう。


三船&鶴田の二大スターを当時まだ監督としては新人の喜八監督は上手く料理しています。どっちにも見せ場を作って、鶴田浩二は死んじゃいますが、まあオイシイ役どころですよね。
三船刑事の苦みばしるだけじゃない、楽しんでるような演技もいいです。
実は・・・な展開もお約束ですが、そのお約束が心地よい。


東宝のお馴染みの面々が登場する和製ハードボイルド映画といった感じの作品です。「結婚のすべて」でデビューし、「暗黒街の顔役」や「独立愚連隊」などのアクション映画の路線上にあたる作風です。
西部劇、ハリウッドの雰囲気を意識しているのか、内容は極めて通俗的で毒にも薬にもならないんですが、そこは喜八監督。下手をすれば単調になってしまうストーリーをこなれた手つきでまとめてるじゃん(偉そうに…、)


最後に、この映画を見る際は、「1960年度公開」ということを頭にたたきつけてみることをお勧めします。
49年前の映画なんです。
そんな昔の映画が面白いって、素晴らしいことじゃないですか。

 


監督 岡本喜八
原作 大藪春彦
脚本 関沢新一
音楽 佐藤勝


藤丘三郎 三船敏郎
村山鉄雄 鶴田浩二
サリー   司葉子
大岡    河津清三郎
柴田    中丸忠雄
天堂進   平田昭彦 
杉野    ミッキー・カーチス
市野    天本英世 
小塚音吉 田崎潤
弥太    佐藤允
署長    小杉義男
望月次席 中谷一郎
三宅警官 夏木陽介

1960年度東宝作品(カラー・東宝スコープ)

過去のレビューはこちら


どうしようかな~(汗)

2009年03月16日 | Weblog

トイレット部長を見てきました。
池部良のコミカルな演技がとても面白かったです。

さて、ここで思ったことですが、
映像ソフト化されていない作品を紹介する意義です。

見たことのある人は共感、反感、いろいろなことを思って下さるでしょう。
見たことのない人は、
「ああ、見てみたいなあ」とか
「機会があれば見てみよう」あるいは
「別にいっか・・・」と思うでしょう。

でもあまり未ソフト化の作品ばかり取り上げてもなあなんて思っちゃいましてね・・

ああ、東宝は名作をまだ埋もれたままにしておくのか!!

いや、おいしいものは後にとっておくということなのでしょうか、

いづれにせよ私が東宝さんにDVD化してもらいたいのは、

あすなろ物語

ジャコ萬と鉄

下町(ダウンタウン)

カモとねぎ

大盗賊

国際秘密警察(未見なので・・・)

などなど、あ、まだいっぱいありますけどね。

ま、これからはソフト化しているものに焦点を当てていきますのでよろしくお願いいたします。。。


ああ爆弾★★★★☆

2009年03月04日 | Weblog

★あらすじ★

昔気質のヤクザ組長・大名大作(伊藤雄之助)が3年ぶりに出所し、自分のシマに戻ってみると、そこは新興ヤクザの矢東(中谷一郎)に乗っ取られていた。怒りに燃える大作は、子分志願者の太郎(砂塚秀夫)に万年筆型の爆弾を作らせ、矢東を殺す計画を立てるのだが、万年筆は矢東の手を離れ次から次へと人手に渡ってしまう…
(Amazon.co.jpより抜粋、改稿)

★感想★
感想書いてみたんですが、通り一遍のことしか書けない…
そりゃね、この映画、そう簡単に歯がたつもんですか…
面白かったですよ。
見ていない人は見て損はないと思いますよ。


異色作異色作って言ってるけど、中身を見てみれば、「ああ、これは喜八映画に間違いないな」とほとんどの(?)人が思うでしょう。
狂言歌、ジャズ、ロックと映画全体のBGMは自由奔放で、登場人物たちの仕草やセリフに合わせて流れていて面白い。

明らかに「ウエストサイド物語」を模しているんですよ~。とでも言いたげな矢東(野党の矢東って…笑)の登場シーン、それに引き替え狂言、浪曲のBGMのみの大名大作。

計算された構図と佐藤勝の音楽がこれほどまでにしっくりと、否、しっくりではなく妙な違和感があるんですがでもこれ以外になにか選曲でもあるのかというくらい合っている。佐藤氏もそうとう楽しんでるんじゃないかと思わせます。

全篇通して登場人物のセリフが歌になってしまう、和製ミュージカルといった趣があるんですが、ミュージカルという枠で見るとどうもしっくりこない。
かと言って普通の映画とも言えないし、う~ん。こんな観客に対して挑戦的な映画、当時はどんな風にとられたのでしょうか?

銀行員が金を数えて、10円が足りないことも「10円足りない~」と歌になってします。
沢村いき雄の、会社の金を横領しようとたくらむ(といっても可愛いもの)タクシーの運転手の「300万、300万、300万」も歌になってしまう。
バカバカしいけど、面白い。
万年筆の行方も、落ちもだんだんわかってきちゃうけど、面白い。
なんだ、結構オーソドックスな映画なんじゃん!
と思ってみたりするけど、やっぱりそんなわけがない。

今でこそ観客の常識を破るかのような斬新な画の映画がいくつかつくられるようになりましたが、その40年以上も前にこんなとんでもない映画が作られていたとは。

「日本のいちばん長い日」や「沖縄決戦」を撮る監督ですが、そういう重厚な映画はむしろ異色作で、よくカルト作と言われるけど、こういう映画こそが岡本喜八って感じがしますけどね。

最後に、伊藤雄之助砂塚秀夫
あなたたちは本当にいい仕事をしますね~
二人がなにかしゃべっているだけで面白いんだからすごい。

 

 

監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八  
原作 コーネル・ウールリッチ 
音楽 佐藤勝 
 
 
配役    
大名大作  伊藤雄之助 
大名健作  高橋正 
大名梅子  越路吹雪 
田ノ上太郎 砂塚秀夫 
矢東彌三郎 中谷一郎 
椎野武三  沢村いき雄 
椎野松子  本間文子   
乾分テツ  天本英世 
銀行支店長 有島一郎 
社員竜見  二瓶正也 
銀行秘書  桜井浩子

1964年度東宝作品(モノクロ・東宝スコープ)

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