楽器演奏って端的に言えば次の4つの発展段階で上達していくのだと思います。
第1段階=譜面等が読めること。
第2段階=楽器の演奏に習熟し、譜面通りに正確に演奏できること。
第3段階=作曲家の人柄、作曲当時の年齢、家庭環境、人間関係、生きた時代の背景等、譜面には直接出てこない作曲家の意図を読み取り、それを活かして演奏すること
第4段階=読み取った作曲家の意図等に自分なりの解釈(個性)を加えて演奏で表現すること
第1段階は知識ですので憶えればクリヤーできます。
第2段階―ここが一番時間のかかるところです。楽器の演奏に習熟するために日々の練習が必須です。楽器にもよりますが、その楽器を自由自在にイイ音で響かせられるようになるまで長年にわたる地道な修練が必要です。譜面通りに間違えずに響かせられるようになってはじめて迷惑をかけずに他者と合奏できます。趣味の楽器演奏ならここら辺でOKです。
第3段階-将来藝大・音大に進み、プロを目指すような中高生ならこの第3段階を避けては通れません。この意味で素晴らしい演奏をするためには歴史や時代背景等の周辺知識や音楽以外の巾広い教養も必要になるのです。
第4段階―「好きな楽器を演奏して、それでお金をいただき、生計を立てる。」という意味の「プロの演奏家」になるにはこの「作曲家の意図」+「自らの解釈(個性)」は絶対に必要です。
たかが塾教師(音楽の門外漢)が何を偉そうに・・・・と思われるかもしれませんが、「自腹でコンサートに行く私のような普通の人」が「わざわざ聴きに行って良かったと思える演奏」が「プロの演奏」だと思うからです。
そこで、私はたまにこんなことを夢想します。タイムマシンで過去に戻り、例えば、どういう意図で交響曲第3番を作曲し、後世の演奏家にどう演奏してもらいたいのかをヴェート-ヴェン本人にインタビューできたらいいですね。
もっとも、仮にインタビューできたとしても、彼は「後世の演奏家?!そんなことはどうでもいい。自由に解釈し、勝手にやってもらっていい。というよりも、私を大きく越えてもらいたい。それが音楽(藝術)の進歩・発展だ。」と語るでしょうね。
また、ショパンがその作品を初お披露目するときに、ショパン自身がその曲をどう演奏するのか聴いてみたいです。そういう歴史的場面に立ち会えたらいいですね。その時代には録音機材が存在していないので、今となっては推測するしかないです。
しかし、ラフマニノフは違います。作曲した曲を彼自身が演奏したときの録音(ロシア革命から逃れ、米国に渡った直後の1919年から、亡くなる前年の1942年まで)が残っているのです。まさに自作自演です。その当時のアナログ録音ですから雑音混じりではありますが、ピアノ協奏曲第2番でどこをどう強調するのか、オーケストラとの関わり等が録音で実際に聴けるのです。「なるほどなぁ~、そうきたか・・・」という感じです。
譜面からだけでは得られない貴重かつ記念すべき録音です。めっちゃお薦めです。