よのなか研究所

多価値共存世界を考える

この国の何がヘンなのか、

2012-10-03 21:14:05 | 思想

 

             Photo (日本人はこんなものを作って来た。岩国の錦帯橋、山口県)

 オリムピックの大騒動が一区切りついたと思ったら、続いてノーベル賞の発表の季節がめぐってきました。今年は日本人は何人受賞するだろうか、だれが候補に上がっているのか、との記事が目につきます。発表の前からこれほどまでに新聞各紙が記事にしてくれるのは我が国くらいのものです。もちろん、日本人の受賞者が出れば目出たいことです。しかし、まるでメダル獲得競争の再現のようなメディアのお祭り騒ぎは頂けません。少しヘンですね。

ノーベル賞の受賞者発表は世界中でニュースになりますが、学術的な表彰制度として客観的な形で報道されます。スウェーデン、ノルウェーはじめ欧米諸国でもこれほどの大きな扱いはしていないようです。

ストックホルムを中心に開催される受賞式典の荘厳な雰囲気と、その後の華やかな晩餐会の光景は、たしかに古き良きヨーロッパの香りに満ちています。闇雲に西欧にあこがれるタイプの日本人には、この世に実在するおとぎ話の世界のように映るのでしょうか。

この時期、はやくも「ボジョレ・ヌーボー」の案内広告が目立ちはじめました。もはや、季節の風物詩の観があります。筆者はあらゆるアルコール飲料を好む者ですが、このボジョレ・ヌーボーなるものは未だ飲んだことがありません。もしかしたら、知らないうちにどこかで飲まされているのかもしれませんが、ともかく、それと知って味わったことがないので、味覚についてもなんともいえません。

国内では全国どんな地方へ行ってもパチンコ店が目立つのもこの国のヘンな所です。むしろ、地方へ行けばいくほど多いような気がします。誰でも気安く入られるプチ・カジノが住宅地のすぐ傍にあるのもヘンですが、こんなにも多くの店の経営が成り立っているのが不思議です。同様に、キャバクラという営業形態も日本独自のものでしょう。

たまにテレビに目をやると、揃いの派手な衣装の十代らしい女の子たちが大勢で歌い踊っている。これにつられて全国の若い女性がその衣装や化粧を真似し、異常に長いまつ毛が共通項となっている。彼女たちを支えているかのように学芸会のような芸を競う大人たちが毎晩チャンネルを変えて出ている。

以上、いずれもメディアが作りだしている、あるいは協力している社会現象です。すなわち日本のヘンな現象はほとんどメディアがらみである、ということができます。

ところが、日本の大衆の知識レベルは実は世界最高水準にあるのです。こんなにモノをよく知っている国民はいません。世界の大学のランキングなどが発表されますが、それは上位一パーセントほどを比較しているもので、上位の大学といえど全体のレベルはさほど高くはありません。身を以て体験している人も多いと思います。筆者もその一人です。

いわゆる知識人とされる文化人タレントや評論家、コメンテーターやニュース解説者よりも、居酒屋で談義している普通のサラリーマンやフリーターのほうがよほど世界の事情に通じているし、物ごとを良く見ています。それは男女を問いません。マスコミ人種は移動に時間を取られて勉強するが足りないのでしょう。そう語った人物がいました。ましてや、政治家や企業経営者の知識と思考の水準は言うまでもありません。みんなで選んでいるのであり、責任は優秀な国民にあります。

とは言いながらも、この国はまだまだ捨てたものではない。やや落ちたとはいえ世界第三位の経済力を誇っています。技術開発でも最高水準にあります。

人びとは相対的にまじめで正直で働きものであり、なべて手先が器用であり、創意工夫に富んでいる国民です。山河の景観はまだまだ美しく、街の治安は世界で最も良いとされています。

だから日本に来たがる外国人は多いのです。塾や町中のセンターや公民館での英会話の教育に従事する外国人がとくに目につきます。その多くは当然ながら英語圏の国から来ていますが、彼らの異口同音に、「住みやすく、人びとが優しい」というのです。優しすぎるのも問題ですが。

我が国はヘンな所があるが、それはマスコミの誘導により社会風潮となったもの、意図的に作りだされた事業や催事が多いのです。すなわち、ジャーナリズムと広告の手に依って作りだされている、ということです。

しかし、なによりヘンなことは、他国に指示されて政策が方向づけられ実行されていることです。他国政府や私企業の意向で地方行政が左右され、民衆が苦労するような事態が発生していながら、他の地域の人々の関心がなかなかそこに行かないことです。これもマスコミの努力不足でしょうか。マスコミには「知らせる義務」があります。

主権国家としての自覚を取り戻しさえすれば、この国は人口減少にも高齢化にも打ち勝つ知恵があるはずです。引き続き「豊葦原ノ瑞穂国」として栄えていくと思います。

 (歴山)



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