よのなか研究所

多価値共存世界を考える

大噴火か小噴火か、が問題

2011-07-22 23:14:16 | 歴史

                                        photo (噴煙を上げる桜島)

 

 

「入るを計って出るを制す」というのがもともとの日本の商家の基本でした。つまり、収入に合わせて支出を考える、ということ。当たり前ですよね。

ところが世の中、そうはなっていない。企業も、家計も、なによりも世界中の国家が無計画に支出をしてきました。

そんな背景があって円高が続いています。もう慣れっこになってだれも騒ぎませんが本当は大きな問題ですよね。昨今の世界情勢下で通貨の価値が上がっているは日本の円とスイス・フランらしいです。もしドイツ・マルクが単独通貨として健在であれば当然ドイツ・マルクと日本円とが並行して上がっているところですが、ユーロになってしまいましたからね。

そのユーロ圏が大揺れのわけです。もともとヨーロッパの国々がEUという形で連合体をつくり、その共通通貨してユーロができました。(といいましても、EU27カ国のうち、ユーロを採用しているのは17カ国なのですね。いろんな事情があるようです。)

ブラッセルで開催されたEU緊急首脳会議で講じられた欧州の信用不安対策が報じられています。ギリシャ財政危機に端を発した信用不安ですが、実はヨーロッパだけの話しではないのです。

わが日本では、二次補正予算が可決されたようですが、ここ数年歳入の倍を超える予算を組んでいて、それだけでも国の借金が増加しているところに震災対策の補正予算が必要となったわけです。天災はある程度仕方がないとしても、原発事故の処理と補償とで天文学的なおカネが必要になるとも言われています。事業主、つまり経営者の責任はどうなっているのですかね。中小企業では会社が行き詰ったら経営者は自分の資産を差し出しても事態の収拾を図るのですが、規模が大きいと経営者は安泰というのでは庶民感情ではなかなか納得できないところです。

ともかく、国の借金が余りに大きな額となるのでメディアも正確には報じていません。状況が流動的であるというもその理由のようです。

 

世界のほとんどの国が財政赤字であることはわれわれしろうとでも判ります。それでもどうにかなる、と考えていたのがこれまでの私たちでした。原発だって、3.11までは誰もが国と東京電力とを信用していましたからね。

事態は徐々に危険水域に入り込んでいるようです。ほとんどの先進工業国の政府は大きな借金を抱えています。国の産業が伸びていて、数年のうちにその生み出すものでそれを返済することができる、というのがこれまでの日本でしたが、その日本でもそれを越えてしまっているようです。

 

何と言っても大きな赤字を抱えているのはアメリカです。公表されている数字で、ブッシュ政権時の2007年に米国の累積赤字はすでに54兆ドルになっていましたが、オバマ政権になって2009年初に65兆ドル余となっています。邦貨換算5700兆円余、このまま行くといよいよ「兆」の次の「京」をつかう必要ができます。否、もう「京」のレベルに達しているかも知れません。

これ以上の借金ができない事態となっているのは米国の財政担当者が認めているのです。アメリカはよその国まで出かけていって戦争などしている場合じゃないのです。

アメリカはもうドル札を刷ることもできなくなっています。残る道は「デフォルト(債務不履行)」を認めるか、さもなくばどこかで新たな戦争を始めるしかない、との論調が各国で出ています。

では、債権国はどこか、最大の貸主は中国、二番目が日本です。

普通であれば、日本が財政難であるならアメリカの国債を売って借金の一部を返済する、と考えるわけですが、これが勝手に売れないのですね。債権を勝手に売買ではない、という事態は自由市場経済ではなく、資本主義の原則にも違反しているということです。

 

日本の財政破綻は来ない、という論陣を張っている人も多くいます。金融というものが複雑怪奇となって、専門家と言われている人でも正確に把握している人はいないようです。経済や金融のシステムを基本に戻してもっと単純化することが必要です。

アメリカの財政危機をここのまま放っておくとどうなるか、十数年前からアメリカが新通貨AMEROアメロを準備しているという噂を良く聞かされますが、こうでもしなければアメリカの崩壊は避けられないかもしれません。ドル預金やお札を保有している人には気の毒ですが、古いドルはゴミとなる可能性も否定できません。大爆発でなく、小爆発に収めてもらいたい、無意味な戦争が勃発しないことを祈るばかりです。

(歴山)