ゆうき凛々

飼い猫・田舎暮らし・作った物・趣味のこと
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まとまり無く、好き勝手なことを呟いていきます。

「予想どおりに不合理」

2011年10月29日 | 読書

「予想どおりに不合理」

行動経済学が明かす
 「あなたがそれを選ぶわけ」

ダン・アリエリー 著
熊谷淳子 訳

著者は イグノーベル賞もとっているし、結構話題にもなった本です。

実はこの本、ずいぶん前(2年位前かな?)に、ネットの本の紹介番組で偶然聞いて興味を持ちまして。
その時から気になってたんですが、チラッと読んでみたいという程度なので、買う気にはなれず。
図書館に蔵書があるのがわかって借りようとしたものの、いつ行っても貸し出し中。
仕方なくこの本の為に、図書館の予約システムに登録した末にやっと読めた本です。

 

これまでの「経済学」では、「人は合理的に行動する」とされてきたけれど、実際には人間は「合理的」とはほど遠い行動をとってしまう……
ということを、いろいろな実験で明らかにし、その不合理な行動も予想できる動きなので、気を付けていくことができるんだということを書いてありました。

いやもう、前半1/3を読んだあたりでは、人間の馬鹿さ加減にうんざりしちゃいました。
もちろんその中に自分も入ってるんですよ(^^;
「自分はちゃんと合理的に行動してる」と思っている人は余計に、読んでみることをお薦めしちゃいます。
「え?知らず知らずに、そんなことに影響されてたの?」と驚くこと請け合い。

とはいえ…
前半の実験のかなりの部分、「私ならそっちは選ばない」って感じで、常に少数派に属してしまい、自分の「ひねくれ者」具合がわかりすぎて別の意味で唸ってしまいましたけどね(^^;

1章の「相対性の真相」では、人は何かを買おうというとき、常に他の何かと比較して選んでいる、とのこと。
単品で決めることはとても難しいんですね。
そしてA、B、Cから選ぶ場合、ABCそれぞれの長所、欠点がバラバラだと、これもまた選ぶのが難しい。
ところが、AとAによく似てるけど、Aにちょっとだけ劣るA`とBという三つから選ぶ場合は、比較の簡単なAとA`をまず比較する。そしてAの方が優れているということでAを選んでしまうと……A`より優れていたAは、比較の難しかったはずのBよりも優れていると思ってしまう。
その辺は実例を挙げて説明してあるんですが、この話を知っていると、企業側の戦略に無闇に乗せられなくて、いいかも?と思いました。
(企業としては、Aを売りたかったら、Aよりちょっとだけ劣ったA`というダミーを横に並べてやるとAが売れやすくなるわけですからね)

ほら、よくあるでしょ?
どの商品を見ても高い店でずーっと商品を見てると感覚がマヒしてきて、そのなかでは安い物(でも普段買うよりはずっと高い物)を平気で「安いじゃん!」って買っちゃうことって。
レストランでは、一番高い商品は殆ど売れないけれども、高い商品をメニューに載せる必要があるんだそうです。なぜなら2番目に高い商品が選ばれることが多いから。
比較が難しい類似商品が三つ並んでいると、真ん中の商品が売れやすい、だとか。

普段198円の卵が98円だったら「半額以下じゃん!」ってスーパーに買いに行く主婦が、1万円の服が9900円になってるからって、わざわざ買いに行かなかったりするよね。
どちらも同じ100円引きで、その100円にかける買い物に行く時間と手間は同じなのに。
なーんてのを、冷静に考えてみると……あれ??っとなる。
そういう自分の消費者としての心理をちょっと考えてみるキッカケにもなります。

3章の「ゼロコストのコスト」
「タダ」(ゼロ円)の魅力(魔力?)について、「タダでくれる物のために長蛇の列に並んでしまったことがあるでしょ?」なんて書いてあったんですが……
ご…ごめん!殆ど無いわー!!と答えてしまいました(^^;
せっかちな方でもないし、待ち時間は待ち時間で楽しむことができるのであまり苦痛ではない方なんですがねー。
なーんか、「タダで貰える」とか「おまけ付き」とかに、それほど魅力を感じないんですよね。
なんというか……「それを行う企業側の意図は?」とか考えちゃって「のせられるのはイヤ!」と思ってしまうへそ曲がりだからでしょうか(笑)
タダだからって、必要のない物まで貰って嬉しがるのは変だと思っちゃうし、家の中にいらない物が増えるの、イヤなんですもん。
(だからって我が家がスッキリしているわけではないんですよ。いっぱいいらない物が溢れてます) 
けど、一般的には、それほど必要と思わない物でも、「タダでくれるなら♪」って喜んでもらっちゃう人の方が多いんですよねー。
この辺も色々実例を挙げてあります。

4章の「社会規範」と「市場規範」についてや11、12章の私たちの品性について、なんかもすごく興味深いです。いや、それ以外のどの章も、「ほぉ!」となりますよ。

消費者としてももちろん、もしも何かを売る側だったら、絶対読んでおくといいと思う一冊です。
消費者としては「企業の戦略に簡単に乗せられないために」
売る側としては「上手く売り上げを上げる為に」ね(笑) 

 

実は予約したこの本を待ちきれず、先に似たような本を借りて読んでしまいまして。
そちらにも半分くらい、そっくりの実験と結果が載っていました。
あとから考えると、この本を元に書いたんだろうなぁ…って感じ。

なので、この本が借りられたとき、パラパラと目次を読んでから、「しまった!」と思いました。
実験の結果を知ってるんだもん。おもしろくなさそうじゃないですか。
で、ついつい数日ほったらかして。でも図書館に期限までには返さなきゃいけないので、仕方なく読み始め……
著者がこの研究を始めるキッカケになった大変な体験(まだ10代の時、兵役中に全身の70%もの火傷を負い、一命はとりとめたものの、3年間入院し、その後もリハビリに苦しんだ)で、驚いて読み進め……。
同じ結果を導き出す実験でも、先に読んだ本よりずっと面白く書かれていて、引き込まれました。

実用書の様に見えるけど(実用書でもあるんだろうけど)「人間」ってものを(その愚かさも優しさも)知ることのできる本かも?
人間観察が好きな人なら、お薦めです♪


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