遊爺雑記帳

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オバマ大統領のアジア歴訪 その答えは

2014-04-28 23:41:41 | EEZ 全般
 オバマ大統領が、アジアの4ヵ国(韓国はおまけ)を歴訪しました。リバランスを打ち出しながら、ケリー国務長官に変わった第二次オバマ政権ではその本気度が疑われ、シリア、ウクライナでの危機対応ではリーダーシップの信頼を失っている中で、リバランスを再度強調し、アジアでの安全保障体制を引き締めることで、失いかけているリーダーシップの回復を図るのがひとつの目的でした。もうひとつは、国内経済政策の柱のひとつの、輸出拡大による雇用の拡大の為の具体的施策であるTPPの妥結促進でした。
 日本に始まった歴訪が、各国を回るなかでどのように目的を達成されるのか反応に注目していますが、フィリピン訪問にたどり着いた今、早速、米国、シンガポール、中国のメディアの反応を産経が報じてします。
 その答えは、産経の別の記事でも示していますが、シンガポールのストレーツ・タイムズ誌が指摘している内容に賛成です。
 

オバマ米大統領のアジア歴訪 (4/28 産経 【環球異見】)

 
アジア太平洋を重視するリバランス(再均衡)政策を掲げるオバマ米大統領が日本、韓国、マレーシア、フィリピンのアジア4カ国を歴訪している。日本では安倍晋三首相との首脳会談で、中国を念頭に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が日米安全保障条約の適用対象であることを明言した。中国と領有権問題を抱える東南アジアや米国のメディアはその意義を強調、中国メディアはオバマ歴訪を懐疑的に報じている。

□ニューヨーク・タイムズ(米国)
■安全保障の毛布差し出した

 
オバマ大統領が尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だと明言したことについて、米紙ニューヨーク・タイムズは24日の記事(電子版)で、「米国の保護下にあると大統領が明確にしたのは初めてであり、重要なことだ」と論評した。
 尖閣諸島をめぐっては、ヘーゲル米国防長官やケリー米国務長官からも同種の発言があった。しかし、国家元首で米軍最高司令官でもある大統領が言及したことで、「
アジアの忠実な同盟国に大統領が安全を保障する毛布を差し出したことになる」と指摘。オバマ氏が尖閣諸島の主権をめぐり「特定の立場」を取らないと語ったことに関して、中国にも配慮した「注意深い計算
があった」との見方を示した。

 
領有権問題で中国が南シナ海でも強硬姿勢を見せていることには、他の米メディアからも批判が出ている。米紙ウォールストリート・ジャーナルは22日付の社説で、中国がフィリピンと激しく対立していることは「ワシントンへの挑戦」だ
と指摘した。

 米国はフィリピンとの間で相互防衛条約を締結している。ただ、
フィリピンが中国と領有権を争うスプラトリー(中国名・南沙)諸島が条約の適用対象にならないと、米政権は示唆してきた。2月にマニラを訪問した米海軍幹部も「もちろん、あなたたち(フィリピン)を助ける」と述べる一方、「どんな助け方になるのかは分からない」と具体論を明示しなかった。社説はこうした対応について、「北京(の中国政府)を大胆にさせているのは間違いない」と指摘
する。
 社説は中国に関し「欧州東方にあるロシアと同様、西太平洋を支配するために国際秩序を変えようとしている」と強調。
米国が領有権問題で態度を示さない限り、「北京の指導者たちはプーチン(露大統領)と同様、(アジアの)力のない国に圧力をかけ続ける
だろう」と警鐘を鳴らした。(ニューヨーク 黒沢潤)

□ストレーツ・タイムズ(シンガポール)
■呼び覚まされるASEAN

 シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズは25日付で、アジア歴訪中のオバマ大統領が、台頭する中国にどう対応していくのか地域各国は注視しているとして、特集を組んだ。「呼び覚まされるASEAN(東南アジア諸国連合)」と題した社説は、中国の名指しを避けながらも、地域の緊張の高まりを指摘した。隣接するオピニオン欄でも、「台頭する中国に取り組むASEAN」と題した同紙元記者の記事を掲載した。
 記事はまず、ロシアによるクリミア併合を米欧が想定できなかった背景について分析。外交や市場経済を通じてロシアが国際社会に統合されることにより、武力使用への拒否反応を身につけるだろうと、米欧側が考えていたからだとする。そして、東南アジア諸国も同様に、中国を地域の共通規範に取り込むことにより、力による問題解決は回避できると考えていると指摘。尖閣諸島をめぐる問題でも、高度に依存し合った日本と中国の経済関係や地域の安定を考えれば、中国が日本と実際に衝突することはないと信じているとみる。
 しかし、
中国は「ロシア同様、これまでもこれからも、力の行使をためらわない」と断言。具体例として、中国の監視船が、南シナ海で領有権を争うフィリピンに圧力をかけている状況や、尖閣諸島周辺への「侵入」も増加させている事実を挙げる。
 こうした中で行われたオバマ大統領のアジア歴訪に、東南アジア各国の注目が集まるのは当然といえるわけだが、アジア太平洋を重視するという
米国のリバランス政策について同記事は、財政問題などから「今後も大きくはならない」と予測する。このため、ASEANは対話だけではなく「ハード面」でも安全保障に関する域内協力を進めるべきだと主張し、「アジアでの地域秩序を形成し、台頭する中国を管理するハンドルを握るのはASEAN自身
なのだ」と自覚を促している。(シンガポール 吉村英輝)

□人民日報海外版(中国)
■米国はアジア太平洋を攪乱するな

 周辺諸国との間でさまざまな問題を抱える中国は、アジア太平洋地域における米国の行動が気になって仕方がないのだろう。中国共産党機関紙、人民日報(海外版)は24日付で、オバマ大統領のアジア歴訪の「目的」を探っている。
 アジア太平洋への回帰をうたう米国だが、同紙は
「一連の出来事」によって同盟国が「疑念を抱き、動揺し始めている」と指摘している。一連の出来事とは、昨年秋に予定されていたアジア歴訪が米政府機関の一部閉鎖への対応のため取り消されたことや、混乱が続くウクライナ情勢を指す。中国と対立している日本やフィリピンは、米国の目が欧州に向き、「自らへの支えが弱まることを懸念している」というのだ。
 「最近、同盟国からは米国に対して、アジア太平洋でのプレゼンスが小さすぎると不満の声が上がっている。オバマ大統領のアジア訪問は、まさにこうした姿勢への応答だ」と分析。米紙の報道を引用する形で、「
かねての約束を強調するだけでなく、同盟国である日本、フィリピンとの軍事協力を加速
する」と予測した。
 同紙はまた、アジア太平洋での
米国のさまざまな行動について、「新興の大国である中国を封じ込めるためだ」
と解釈せざるをえないとの見方を示している。
 オバマ氏が、日米安保条約の適用範囲に尖閣諸島を含めるなど明確な姿勢を表明したことなどを受け、
「意識的にであれ無意識的にであれ、米国はアジア太平洋に多くの不安定要因をもたらしているようだ」と批判
。さらに、「フィリピンがあちこち動き回って策を弄し、再三もめ事を引き起こして、のさばっている責任の一端は米国にある」と容赦ない。
 「もし米国が、アジア太平洋を攪乱(かくらん)して漁夫の利を得ることを密(ひそ)かに望んでいるのだとすれば、大きな間違いだ」-。同紙はオ
バマ氏のアジア歴訪に対し、中国の国益が荒らされることへの警戒感と不快感をあらわにしている。(北京 川越一)

 【視線】世界の軍事費が映す「米国を同盟国が支える時代」- MSN産経ニュース

 習近平は、オバマ政権を脅すツボを把握した様です。
 習近平が主席の座について初めて米国を訪問し、オバマ大統領と首脳会談をした時に、太平洋を二分割して、米中の二大大国が管理しようと持ち掛けた話は、諸兄がご存知の通りです。
 その時はまだ、オバマ大統領は、日本と言う同盟国があると毅然として突っぱねました。
 しかし、国内政策で苦戦するオバマ政権のツボである、財政赤字脱却(政府機能が停止する羽目になりAPEC首脳会議への出席キャンセルに至った)と中国が購入保有する米国債のカードや、雇用改善の為の輸出拡大政策と、中国市場のカードが有効だと知ってからは、第二次オバマ政権の、ケリー長官やスーザン・ライス大統領補佐官他のパンダハガー増殖を促進させました。

 現に、今回の日本、フィリピンでの対中安全保障の話のなかでも、中国への配慮で、領有権争いでは中立の立場だと補足することを忘れていません。
 そこまで気遣っても、上記の記事の様に、中国からはクレームをつけられ牽制されています。

 第二次オバマ政権になり、外交力の低下は著しくなりました。オバマ氏の能力によるものか、米国の財政悪化のせいなのか、その両方なのかはさておいて、低下している事実は世界の眼が一致して認めるところですね。
 では、日本をはじめとする同盟国や友好国はどうすればよいのか。
 
 解りやすい言葉でいえば、最近よく耳にする、アジア版NATOの構築が挙げられます。
 中国の覇権拡大への牽制を、米国一国任せではなく、アジアの利害を共通する国々が連携し合い、米国とともに支え合って対抗しようというものです。
 記事の中で、シンガポールのストレーツ・タイムズ誌が指摘している内容であり、リンクを貼った産経の記事が指摘するところでもあります。
 勿論、一気に簡単に出来るものではありません。先ずは、利害を共にする友好国間の連携を強める事でしょうし、TPPの稼働も大きな牽制となるでしょう。
 ASEANの国々へのアンケートで、「いちばん大切なパートナーは日本」という最新の調査結果がでています。その期待に応えて、友好国の連携強化へのリーダーシップを発揮するのは、米国ではなく、アジアの一員の日本でしょう。
 安倍首相の地球儀外交で、オーストラリア、インド、ASEANといった国々を軸にしたアジア重視の活発な外交の更なる促進が期待されます。

 東南アジア いちばん大切なパートナーは日本 - 遊爺雑記帳



 # 冒頭の画像は、フィリピンを訪問し会談するオバマ大統領と、アキノ大統領




 この花の名前は、ハマギク   撮影場所;六甲高山植物園(2013年 9月 撮影)


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