遊爺雑記帳

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中国の情報収集機、日本の先島諸島に度重なる接近飛行 台湾侵攻に向けた情報収集

2021-07-31 01:23:56 | 台湾 全般
 中国空軍の情報収集機や対潜哨戒機が、宮古海峡を通過して日本の先島諸島の南側に回り込んで接近し、自衛隊の軍事情報を収集していると、元第12師団第2部長、幹部学校戦略教官室副室長等を歴任された西村金一氏。
 日本人は、この現実をまず、深刻に受け止めるべきである。5~6年以内には、台湾侵攻があるものとして準備しておく必要があると説いていただいています。
 
中国の情報収集機、日本の先島諸島に度重なる接近飛行 台湾侵攻に備えて自衛隊の戦力を情報収集、有事は間近に | JBpress (ジェイビープレス) 2021.7.30(金) 西村 金一

1.悪意ある先島諸島への接近飛行
 
中国空軍の情報収集機や対潜哨戒機が、宮古海峡を通過して日本の先島諸島(宮古島・石垣島・西表島・与那国島など)の南側に回り込んで接近し、自衛隊の軍事情報を収集している

 図1の飛行航跡にあるとおり、公海上とはいえ軍用機が日本の領土である離島に極めて接近し、
軍事的緊張を高めかねない極めて悪意ある行為だ。

 2017年12月、2018年6月、2019年5月、2020年9月、2021年4月の5回で、平均的に年に1回だ。
回数としては多くはないが、軍に関する事項の情報収集を行っていることは、日本防衛上、特に警戒すべき事項である。

 これら5回の動きをみると、2017~2018年は宮古島・石垣島から150~180キロの付近まで、2019年は同じ島に100キロ付近まで接近している。

 2020年は与那国島の90キロまで、2021年は与那国島を狙って直進し、60~70キロまで接近した。この離隔距離は、防空ミサイルの射程内にも入る。

 100キロまで接近すると、軍の短距離通信(ボイス通信)を含めた各種通信を傍受することができる。

  図1:左から2018年、2020年、2021の飛行航跡


 
情報収集機の接近飛行は、戦闘機の接近と異なり威嚇飛行ではない。明らかに、先島諸島に配備されている部隊や兵器の電波情報を収集している

 2021年4月の飛行航跡が示すように、与那国島を焦点に飛行している。

 
電波情報を解析すれば、先島諸島に配備されている部隊や兵器などの軍事情報を解明することができる

2.目的は自衛隊の情報収集
 軍用機は、機種ごとにその飛行目的が異なる。

 情報収集機は軍事情報の収集、爆撃機は爆撃作戦や大きな機体を見せつけての恫喝、対潜哨戒機は潜水艦の動きを収集する。

 そして、戦闘機は敵機との空中戦を戦いあるいは威嚇することである。

 
情報収集機の詳細な狙いは、飛行中に自衛隊の各種電波や電子信号を受信することだ。

 具体的には、
先島諸島周辺を飛行し、そこに配置されている陸上部隊の通信や兵器が発するレーダー波などの電子信号を収集する

 そして、これらの電波・電子信号を解析して、部隊の種類・規模・位置、それらが所有する兵器の種類・能力・位置の詳細を解明するのだ。

 さらに
詳細に解析し、どの島に、どれほどの規模の部隊があるのか、部隊は防空部隊か、地対艦ミサイル部隊か、警備・監視だけの部隊が配備されているかなどを分析する。

 また、飛行航跡の周辺を行動している
日米の水上艦艇・潜水艦および戦闘機などの軍用機レーダーの電子情報も収集する。

 例えば、遠く離れて行動している水上艦艇を発見した時、視認により敵味方を判別できない場合でも、事前に電子情報の特色などを把握していれば判別できる。

 水中に不明の潜水艦を発見した時、艦の音紋(それぞれの潜水艦が発する音の特色)などから、艦の識別ができるようにしておく必要もある。

 将来、戦うことを想定して、行動している兵器が友軍か敵なのかという敵味方識別を容易にするため、注目する海空域で行動する兵器の性能・諸元・特色についての情報を収集しておき、艦艇を識別できるようにしておくのだ。

 
「KQ-200」対潜哨戒機が2019年3月、東シナ海中央付近で初めて確認された。

 
台湾正面では、国防省HPに動態情報が掲載されるようになった2020年9月以降に、同対潜哨戒機が確認されている。

 
日本周辺では2021年4月に、宮古海峡を越えて、先島諸島に初めて接近してきた。

 この型の対潜哨戒機は、日本の対潜哨戒機と同様に、機の後尾に潜水艦探知用の電磁探知機があるのが特徴である。

 装備している兵器は、対潜水艦用の爆弾と魚雷および地対艦ミサイルを搭載しているという情報があるが、確認はされてはいない。

 
今回の対潜哨戒機の行動は、実際に日米の潜水艦の情報を収集するために行動したのであろう

 今後予想される東シナ海や太平洋に進出する
中国の潜水艦を追う日米の潜水艦を実戦的に探知するための訓練を始めたと思われる

3.先島諸島周辺の軍事情報を収集するわけ
 その理由は、恫喝を行う軍事的な圧力を加えることだけではない。

 
中国軍は、この地で軍事作戦を行うことを想定しており、作戦に必要な軍事情報を収集していると見るべきだ。

 軍用機が飛行すれば、必ず将来予想される軍事作戦が関係していると見るべきだ。

 そして、
中国軍は台湾侵攻の際、島々に配備されている自衛隊の部隊が、台湾侵攻にどのような影響を与えているかを考えるのである。

 この島々に配備されている部隊が何を行ってくるのかという、敵(自衛隊)の可能行動を見積るのである。
 さらに、島々に配備されている部隊の可能行動が分かれば、自衛隊全体の作戦を読み取ることもできる。
 
中国軍が台湾本島に侵攻する場合、先島諸島の配備について、以下の判断材料を入手する必要がある
 
①先島諸島が簡単に占拠できるのか、あるいは抵抗が強くて占拠するには大きな犠牲を払わなければならないのか
 
②先島諸島の島々に配備されている兵器から、反撃を受けるのかどうか。反撃できなければ中国軍としては無視すればよいし、妨害を受けるのであれば、島を占領するか、この海域を使用しない台湾侵攻計画を策定しなければならない。

 このように、自衛隊の作戦を読み取るために、先島諸島をはじめとする沖縄諸島全島と周辺海域の情報を収集することが必要なのである。

 さらに、
台湾侵攻の際、陸上部隊以外で必要な情報は、潜水艦の動きである。

 潜水艦については、特に台湾の潜水艦か、日米の潜水艦なのかを識別できるデータを、平時から蓄積しておくことが必要だ。

4.どのような軍事作戦を考えているか
 台湾には、本島のほか、澎湖島、金門島、馬祖列島、太平島(南シナ海)などがある。

 
台湾防衛で、極めて重要な役割を担う島が金門島と馬祖列島である。

 
これらの島の守備部隊、特に防空ミサイルや地対艦ミサイルが健在であれば、台湾海峡を通過する中国軍の行動を、阻止・妨害できる

 これらの島々は、中国本土から10キロ前後しか離れてはいない。すべて火砲の射程内であり、弾丸を撃ち込むことができる。

 だが、これらの島々は、山地を利用した要塞になっており、砲撃や通常弾のミサイルでは、陣地は破壊されない。侵攻を受け、簡単に占領されるようなものではない。

 金門島では、1949年の中共軍8個連隊の攻撃を受けたが、国民党軍(台湾)は、これを全滅させた。

 その後、1958年には、中共軍がこれらの島を海上封鎖し、1日5万発の砲弾を撃ち込んだこともあった。このような砲撃が数か月続いた。

 米軍が空母7隻を台湾海峡に派遣するなどの協力と中華民国軍(台湾)の反撃により、島を守り切ったのだ。

 私は、1996年に金門島を訪れ、防御戦術の目線で島中を見て回った。

 中国軍の上陸適地とそこから内部に進撃していく地形の要所には、進撃を阻止できるように要塞陣地が構築され、また敵から見えないように隠されている。

 
この島を簡単に占領することは難しい。侵攻すれば、かなりの犠牲を覚悟しなければならないという印象を持った。

5.台湾侵攻作戦と先島諸島への軍事的影響
 
台湾侵攻の場合、金門島や馬祖列島守備部隊が長期間存続すれば、防空兵器や地対艦ミサイルも生き残り、敵艦や敵機に向けてミサイルを発射することができる

 パトリオット対空ミサイルの射程は戦闘機に対しては約70キロ、ハープーン地対艦ミサイルの射程は140~220キロだ。

 
中国が奇襲侵攻するのであれば、これらのミサイルの射撃を回避するために、その射程外を迂回して、台湾本島を攻撃しなければならない

 したがって、
中国軍はこれらの島々を避けて侵攻するか、あるいは、台湾本島の太平洋側、つまり背後から攻撃する必要が出てくる

 台湾本島攻撃のための接近経路は、下の図のとおりであると考えられる。
 

 
北側からの攻撃であれば、日本の先島諸島の近くあるいは上空を通過することが予想される。

 また、
台湾本島全土の海上封鎖を行う場合、特に北部の海域では、先島諸島も併せて海上封鎖される可能性がある

 
尖閣諸島の海域を完全に確保する動きに出るし、上陸もありうる

 中国軍は
先島諸島に配備されている自衛隊の防空ミサイルや地対艦ミサイルの攻撃を受けるなどの妨害を受ける可能性があると考えるだろう。

 中国軍は、
その影響を排除するために
 
①日本に圧力をかけて、台湾侵攻・海上封鎖を妨害させないようにする
 
②先島諸島も台湾と同時に海上封鎖する
 
③先島諸島を事前に占領してしまう
 
④弾道ミサイルで防空・地対艦ミサイルを破壊する
 などのことを考えるであろう。

6.台湾危機を抑止するために
 
中国は、情報収集機を先島諸島に接近させて、軍事情報を収集している。この動きは、極めて悪意ある行為である。

 2020年2月に習近平国家主席を国賓として日本に招待する話がある時でさえも、実施していたのである。

 
中国軍が台湾に侵攻する、あるいは海上封鎖をする場合、前述のとおり、戦術的な観点から見ても、先島諸島は中国の軍事作戦の中に組み込まれる可能性が高い

 中国の台湾侵攻の戦術的観点からも、この動きにあった軍事的な行動を現実的に起こしていることからしても、
今後、何か理由を付けて、先島諸島を占拠しに来る可能性が十分ある

 
日本人は、この現実をまず、深刻に受け止めるべきである
 日本としては、
5~6年以内には、台湾侵攻があるものとして準備しておく必要がある。間近になって準備をしても間に合わない。

 先島諸島は、中国に接近しており、本州からも遠く離れている。防衛することはかなり厳しい。

 日本としては、中国の軍事的な圧力や妨害を受けないように、先島諸島の防衛、特に防空ミサイルや地対艦ミサイルを事前に準備しておく必要がある。

 
日本が、台湾のためにできることは、先島諸島および周辺海域の防衛を確実に果たすことで、中国軍による台湾侵攻を抑止することだ

  先島諸島に防空と地対艦ミサイルを配備した場合の射撃範囲

 

 公海上とはいえ軍用機が日本の領土である離島に極めて接近し、軍事的緊張を高めかねない極めて悪意ある行為だと西村氏。
 平均的に年に 1回。回数としては多くはないが、軍に関する事項の情報収集を行っていることは、日本防衛上、特に警戒すべき事項だと。
 明らかに、先島諸島に配備されている部隊や兵器の電波情報を収集している。電波情報を解析すれば、先島諸島に配備されている部隊や兵器などの軍事情報を解明することができると。

 詳細に解析し、どの島に、どれほどの規模の部隊があるのか、部隊は防空部隊か、地対艦ミサイル部隊か、警備・監視だけの部隊が配備されているかなどを分析する。
 また、飛行航跡の周辺を行動している日米の水上艦艇・潜水艦および戦闘機などの軍用機レーダーの電子情報も収集するとも。

 今回の対潜哨戒機の行動は、実際に日米の潜水艦の情報を収集するために行動したのであろう。中国の潜水艦を追う日米の潜水艦を実戦的に探知するための訓練を始めたと思われると西村氏。

 中国軍は台湾侵攻の際、島々に配備されている自衛隊の部隊が、台湾侵攻にどのような影響を与えているかを考える。
 先島諸島の配備について、以下の判断材料を入手する必要がある。
 ①先島諸島が簡単に占拠できるのか、あるいは抵抗が強くて占拠するには大きな犠牲を払わなければならないのか。
 ②先島諸島の島々に配備されている兵器から、反撃を受けるのかどうか。

 中国は台湾侵攻で、どのような軍事作戦を考えているのか。
 台湾防衛で、極めて重要な役割を担う島が金門島と馬祖列島であると西村氏。
 台湾侵攻の場合、金門島や馬祖列島守備部隊が長期間存続すれば、防空兵器や地対艦ミサイルも生き残り、敵艦や敵機に向けてミサイルを発射することができる。
 中国が奇襲侵攻するのであれば、これらのミサイルの射撃を回避するために、その射程外を迂回して、台湾本島を攻撃しなければならない。
 中国軍は、これらの島々を避けて侵攻するか、あるいは、台湾本島の太平洋側、つまり背後から攻撃する必要が出てくる。
 北側からの攻撃であれば、日本の先島諸島の近くあるいは上空を通過。
 台湾本島全土の海上封鎖を行う場合、特に北部の海域では、先島諸島も併せて海上封鎖される可能性がある。
 尖閣諸島の海域を完全に確保する動きに出るし、上陸もありうると。

 中国軍が台湾に侵攻する、あるいは海上封鎖をする場合、先島諸島は中国の軍事作戦の中に組み込まれる可能性が高い。
 今後、何か理由を付けて、先島諸島を占拠しに来る可能性が十分あると西村氏。
 日本人は、この現実をまず、深刻に受け止めるべきである。日本としては、5~6年以内には、台湾侵攻があるものとして準備しておく必要があると。

 日本としては、中国の軍事的な圧力や妨害を受けないように、先島諸島の防衛、特に防空ミサイルや地対艦ミサイルを事前に準備しておく必要がある。

 また、日本が、台湾のためにできることは、先島諸島および周辺海域の防衛を確実に果たすことで、中国軍による台湾侵攻を抑止することだと西村氏。

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 日米台の連携強化による、対中抑止政治活動は進められてはいる様ですね。



 # 冒頭の画像は、中国軍の情報収集機と対潜哨戒機




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