遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国全人代 「一党独裁」を賞賛・強化へ

2010-03-07 00:26:06 | EEZ 全般
 中国の「全人代」が5日から始まりました。
 温家宝首相は、当初困難と言われていたGDP 8%成長を達成したと誇り、引き続き「8%程度」の成長を目標とし、投資や輸出が主導してきた経済発展モデルを転換し、農村部の発展支援など消費主導で内需拡大を目指す方針を表明したのだそうです。
 今年の成長率については、9%も可能との評論も見かけましたが、温家宝首相は、この成長の源は、「一党独裁」の中国社会主義であるとし、党の指導力の成果を強調し、この「利点」を今後も利用して経済発展を維持すると宣言したのだそうです。
 
中国「一党独裁」強化 全人代 民主化論再燃を警戒 100項目の報道統制も (3/6 読売朝刊)

 【北京口佐伯聡士】中国の温家宝首相は5日、全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告で、共産党の一党独裁を強化することによって国力増強を図り、社会の安定を維持する姿勢を鮮明にした。今後は、ポスト胡錦濤時代に突入する第18回共産党大会(2012年)に向けて民主化の封じ込めや言論統制がさらに進み、政治改革が後退するのは必至だ。
 「偉大な祖国の栄えある成果は、中華民族の求心力と結束力を大いに高めた」「我が国の国際的地位と影響力を大いに向上させた」
 温首相は、世界に先駆けて金融危機から脱却したことに触れ、「党の指導」の下で達成した「成果」を次々に並べ立てた。その上で、「政策決定の効率が高く、強い組織力を持ち、力を集中して大事業を成し遂げるという我が国の社会主義制度の強みを十分に生かすべきだということを体得した」とも述べ、一党独裁の利点を利用して経済発展を維持する方針を宣言した。
 国力増強を図るため、温首相は、金融危機で芽生えた新たな科学技術革命を好機ととらえ、新エネルギーやバイオ、環境などの戦略的新興産業に資金を重点投入して世界で主導権を握る国家意思も明確に示した。
 一方、政治改革では、5日の報告では、昨年の報告にあった「政治体制改革を積極的かつ穏当に推進する」との文言が消え、民主化拡大論議に結びつきそうな表現の大半が伏せられだ。胡政権が、
一党独裁を批判し大胆な民主化を求めた文書「08憲章」など、政治改革論議の再燃を警戒しているためとみられる。
 ある党高官は、全人代開幕前、本紙などに、「『08憲章』には現体制転覆の呼びかけが含まれていた。我々に必要なのは安定で、安定がなければ今日の成果もない。軽率に(政治)改革を加速することはできない」と断言していた。憲章起草で中心的役割を果たしたとされる民主活動家、劉暁波氏は2月、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決が確定したばかりだ。
 政権の最優先課題である社会の安定維持について、温首相は「社会の利益関係を合理的に調整しなければならない」と語り、所得格差の是正など弱者への配慮を強調した。全国で昨年、大暴動が10件近く発生し、参加人数も増え続ける実態を念頭に置いた発言だ。
 「
今後10年、暴動事件は社会の安定を脅かす最大の脅威だ。とりわけ今年はカギを握る一年となる
 共産党筋はそう予告する。
 中国筋によると、全人代前、党中央宣伝部が中国メディアに、「みだりに報じてはならない」と指示した項目は100以上に上る。プログなどの使用に当たって実名登録が義務付けられる「ネット実名制」などインターネット統制も、さらに強化される見通しだ。


 中国の経済成長の、ひとり勝ちと言える勢いは衆目の一致するところであり、「一党独裁」であることが寄与したとするのも、遊爺は異論はありません。
 異論はありませんが、良しとするのではなく、独裁だから、陰の部分や批判は強圧的に押さえ込み社会コストや時間をかけずに突き進めるこしが出来たからだと考えるのです。
 当然、押さえ込まれている陰の部分は格差も産み出し、ストレスが蓄積され、暴動となり各地でストレスが破裂しています。
 一例が、今朝(3/6)の読売テレビのウェークアップ!ぷらすで密着報道していた「闘う中国芸術家」です。
 
北京「芸術区」バブルの縮図 再開発立ち退きに強引な手段 (3/6 読売朝刊)

 「そんなこと、できっこないだろう」
 中国の著名芸術家約50人のアトリエが並ぶ北京郊外の通称「芸術区」。5日、30代の男性画家が、温首相の政府活動報告の一節を聞いて思わず反応した。首相は「人民の合法的権利を保障する」と力説していた。
 芸術区が、
立ち退きを迫る暴徒100入の襲撃を受け、8人が負傷する流血の事態が発生したのは、2月22日未明のことだった。同日午後、芸術家ら約30人が市中心で抗議デモを行った。今も広場にテントを張って、交代で再襲撃を警戒している。
 芸術区は、金余りの中国で現代美術作品の価格が急騰した「アートバプル」に乗じ、地元開発業者が2007年に工場跡地を改造して開設した。しかし、その次の大波「不動産バブル」が急激に膨らんだ昨年、国の開発プロジェクト予定地に組み込まれ、
突然立ち退き通告を受けた。
 バブルに踊る中国社会の縮図となった芸術区の住入たちは、「
契約は無視され、補償金もなく、電気・水道も止められた」と話す。全国で無数にある立ち退き現場では、ごく一般的な状況だ。そして、生身の人間には耐え難い状況だ。「我々は人間の尊厳を守るために闘っている」と芸術家たちは口々に言う。
 だれと闘うのか。.
 中国の不動産バブルで最も潤うのは、土地使用権を売却して利益を得る地方政府だ。北京市政府の昨年の土地売却収入は928億元(約1兆2064億円)に達し、財政収入の46%を占めた。
 当局は、芸術家を支援する声が庶民に広がることを最も恐れており、「デマに惑わされず、人が集まる活動に出るな」と警告するビラを配布した。さらに、公安が「住民の安全を守る」と称し、芸術家のテント
を24時間監視中だ。襲撃で足にケガをした40代男性は「彼らは、我々がデモなどしないよう見張っているだけだ」と肩をすくめた。
(北京関泰晴)


  各国が媚びて接近する、現在の世界の経済をリードしている国の実態なのです。どこか変です。人権無視の国家が繁栄する構造がまかり通るのは、自由経済に独裁社会主義というルール違反・逆ハンデで競争参加しているからなのです。
 低賃金で世界の工場として輸出で稼いだお金で、米国債を買いだめ米国に圧力をかける地位を築いたり、軍備を拡張し南シナ海・台湾海峡に覇権を拡大し制海権を抑え、東シナ海にも触手をのばしてきていて、ガス田、尖閣諸島、更には沖縄の領有権にまで狙いをさだめてきていますし、制海権を抑えられたことは海自のインド洋撤退もあいまって、日本のエネルギーの安全保障を脅かすシーレーンが制圧されてしまっています。中国資金はさらに、アフリカなど開発途上国への支援と称し、各国への進出の切り口とし、余剰人口も送り込み輸出を増やす新しい経済成長モデル(日本の真似ともいえますが)を進めています。

 ひとり勝ちの源は、一党独裁の陰が産み出すルール違反の逆ハンデの構造が産み出しているのです。
 それが判っていて、破裂する暴動に危機を感じて、更に独裁色を強化しようというのが今回の全人代の温家宝首相の宣言です。
 それはますます危険な匂いがします。経緯はいろいろありますが、そもそも胡錦濤、温家宝体制は、自由経済の導入で今日の繁栄を築き、江沢民の独尊的な姿勢を転じ、世界に受け入れられるようになり、国内でも指示されてきたと理解しています。中国の歴代の指導者でも相対的に見ると稀な政権と理解していました。前回までは、政治改革の匂いもして普通の国への脱皮の期待も抱かせないでもなかったと...。
 国民の支持があるから、無理に反日に目をそらせて国をまとめる必要がなくなってきた。(輸出の大得意先なのですから逆に配慮した。)
 胡錦濤の次の主席と言われるあの習国家副主席は、江沢民派の流れを汲むとも言われています。中国は、またあの暗黒の時代に逆戻りするということなのでしょうか?もしもそうだとしたら、これも世界から稼いだお金を人民開放軍にまわし、軍の力を強めたことの影響とも言えます。
 
 世界の経済が、陰を持つことで競争に打ち勝つ国にリードされる。そんなことが長続きしてはなりませんし、温家宝主席も格差社会の解消に力を入れるといっていますので、独裁の強圧ではなくグローバルで長期展望した方法での解決を進められることを期待しています。



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