goo blog サービス終了のお知らせ 

峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

夢の続きを

2017年12月12日 | スポーツ

大リーグ挑戦を表明していた大谷翔平選手のエンゼルス入りが決まったようだ。
報道によると年俸が約6100万円と破格の安さだ。これは、大リーグの新労使協定によるもので、25歳未満の新人ドラフト対象外海外選手の年俸は最大この額に制限されているそうだ。
ちなみに、2013年にヤンキース入りした田中将大投手の場合、7年総額で約161億円だったそうで、大谷選手も、あと2年待てば、田中投手以上の契約を結べる可能性があったと記事は伝えている。世俗の名利ばかりが気になる私たちとは異なり、彼は自ら描いた夢を純粋に追い求めているということなのだろう。

大谷選手は高校入学後から大リーグへの憧れが強かったという。
実際、ドラフト会議直前には大リーグ挑戦を表明。それに対し、日ハムはドラフト1位で指名することを公表、その通り、ドラフト会議で単独1位指名し、交渉権を獲得した。
だが、大谷選手は大リーグでやりたい気持ちは変わらないと日ハムの指名挨拶の訪問にも応じなかった。

結局、日ハムの熱心な口説きに応じ日ハムへ入団したものの、それも大リーグへ続く道と考えてのものだったようだ。

大谷選手は、日ハム入団翌年のルーキーイヤーから投手と打者の「二刀流」を実践、徐々に結果を残していくことになる。
2年目に、投手として11勝4敗、打者としては打率2割7分4厘で本塁打10本の日本プロ野球史上初となる同一シーズンで二けた勝利と二けた本塁打を記録。
3年目は15勝5敗、2割2厘の5本塁打に終わったものの、4年目には10勝4敗で打率3割2分2厘の22本塁打と再び同一シーズンでの二けた勝利と二けた本塁打を達成。
5年目の今シーズンは怪我の影響でシーズンを通し満足のいくプレーが出来なかったようだ。3勝2敗の打率3割3分2厘、本塁打8本は、彼にとっては不本意な成績だったろう。

大リーグ挑戦を正式に発表した日の記者会見で、大谷選手は日本プロ野球界でのプレーを振り返り「この5年間に自信は持ってもいいのかなと思っている」と語った。
持って生まれた才能を努力によって磨き上げ、結果を出すことによって周囲を認めさせ、常識を超えてきた大谷翔平選手。
「個人的には継続してきたものをさらに伸ばしたい。どこか一つをあきらめるということは、今の時点で考えていない」と強い決意を披露してみせた。

そして、その通り主体的に動き、大リーグ通算614ものホームランを打っている指名打者のアルバート・プホルスを1塁に回し、指名打者の座を、また、ローテーションを変更してまでも先発の座を用意し、投打ともに彼を最も必要とする姿勢を示したエンゼルスへの入団を決めた。

日本プロ野球で私たちファンに見せてくれた「二刀流」は、これまで誰にも真似することの出来ない偉業であった。来春からは大リーグという檜舞台で大谷選手の挑戦が新たに始まる。そして、私たちはその夢の続きを目撃することになるのだろう。
果てしない人間の可能性を教えてくれるスーパースターの挑戦に心が震える。


カシオワールドオープン2017から

2017年11月27日 | スポーツ

昨日、最終日を迎えていた男子プロゴルフ・カシオワールドオープン、残念ながら終日家を出ていたのでテレビでの観戦が叶わなかったが、石川遼選手、時松隆光選手、河本力選手など、このところ個人的に注目している選手が出場していたので、初日からトーナメントのHPで彼らのスコアの推移を追っていた。

石川遼選手は、国内復帰から5試合連続予選落ちするなど苦しんでいる様子だった。しかし、先週のダンロップフェニックスで久しぶりに予選を通過、最終日に68をマークして27位タイに食い込み復調の兆しが見られていた。
そして今週のカシオワールド、初日から74・70・66・66の276、6アンダーで、優勝したスンス・ハン選手に1打差の2位タイと健闘した。取り組んでいると言われているスイング改造が段階的に進んでいるのだろう。来年1月早々から、アメリカの下部ツアーに参戦するという。遼くんの巻き返しを期待している。

時松隆光選手は極めてユニークな選手と言えるだろう。生後間もなく心臓に病が見つかり、4歳で手術を受けたという。
特徴的なのがクラブの握り方、いわゆるグリップだ。プロアマ問わず、オーバーラッピングかインターロッキングで握る選手がほとんどの中、時松選手はベースボールグリップで握る。その名の通り、野球のバットの握り方と同じ握り方だ。
病弱だった子供時代の時松選手を心配したお父さんが、彼の健康のために始めさせたというにゴルフ、自然と体への負担が少ないとされるベースボールグリップになったのだろう。身長が168cmとプロゴルファーとしては小柄な時松選手だが、他の選手に負けない成績を残しているのは、そのベースグリップ故ということも言えるだろう。
時松選手も、石川選手と同じく2位タイでフィニッシュした。

河本 力選手は、愛媛・青陵高校3年生のアマチュア選手だ。身長183cm・体重78kgの恵まれた体格から繰り出されるドライバーショットは平均300ヤードを誇る。
今年4月のPGM世界ジュニアゴルフ選手権日本代表選抜西日本決勝大会では通算2オーバーの146で優勝、2年連続でPGM世界ジュニア日本代表になるなど将来が期待される逸材だ。
残念ながら、今大会は73・76で予選落ちとなった。

男子プロゴルフ、今シーズンも残すところ今週木曜日から始まる「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を残すだけとなった。小平選手と宮里選手の賞金王争いが見所の1つだ。


ラグビーシーズン到来

2017年11月23日 | スポーツ

ラグビーが本格的なシーズンを迎えている。

関東大学ラグビー対抗戦、早稲田対慶應戦が今日午後2時から秩父宮ラグビーで行われ、NHKEテレの実況中継で観戦した。
前半10分過ぎ、慶應が先制のトライを決め、ゴールも決めて7点をリードした。対する早稲田はペナルティゴール2本を返したもののノートライに抑えられ前半は7-6で慶應がリードする。

後半に入り、間もなく早稲田がペナルティゴールを決めて9-7と逆転。しかし、慶應もすぐに1トライ1ゴールで14-9と再逆転、さらに1トライ1ゴールを重ね21-9とリードを広げた。

ここまで慶應の出足が鋭く、ボールを持つ選手に対し、常に数的優位を保ち、早稲田得意の横への展開を封じ込めている。試合の流れは明らかに慶應ペースだった。

ところがである。勝負の行方というのは本当に分からないものだ。もしかしたら、慶應フィフティーンの心に「守り」あるいは「逃げ」の気持ちが生じたのかもしれない。
20分過ぎ頃から、早稲田の反撃が始まる。フォワードとバックスが一体となった連続攻撃で、右へ左へと大きく揺さぶり、立て続けに2トライ2ゴールを決め、23-21と鮮やかにシーソーゲームを制した。

両校の持ち味がよく出た好ゲームだった。

時を同じくして行われたのが全国高校ラグビー長崎県大会決勝戦。
花園への切符をかけて南山と北陽台がぶつかった。両校の決勝での対決は4年連続。ずっと北陽台の前に涙を呑んでいた南山だったが、今日、見事にその雪辱を果たし、13年振り3回目の全国大会への出場を決めた。

南山高校の花園での活躍を期待したい。



大相撲で起こった前代未聞の珍事

2017年11月22日 | スポーツ

先日、ゴルフのラウンド中にバンカーの土手から後ろ向きにもんどりうって転がり落ちた安倍首相のことを書いたばかりだが、またもや前代未聞の珍事が起きた。
その珍事は大相撲九州場所、今日の取り組みの結びの一番、横綱・白鵬対関脇・嘉風戦で起こった。テレビ中継中の出来事だからご覧になられた方も多いことだろう。

今場所、昨日10日目が終わった時点で全勝は白鵬ただ1人、2敗で北勝富士と隠岐の海が追う展開、北勝富士と隠岐の海は今日も勝って星を伸ばし共に9勝2敗とした。
結びの一番、優勝争いの一番手を走る横綱・白鵬が土俵に上がる。対戦相手は、ベテランの域に達しながらも依然として、けれん味のない相撲を取り続けている関脇の嘉風だ。
昨今、すぐに引いたり、はたいたりする相撲が多い中、嘉風の相撲は観ていて気持ちがいい。好感の持てるお相撲さんだ。

さて、両者制限時間いっぱいとなり、立行司・式守伊之助の軍配が返り、両者立ち上がった。
白鵬は例によって左から嘉風の頬を張って出る。
白鵬の張り手は強烈で、それだけで脳震盪を起こし土俵に転がる力士もいる程だ。一発で倒れないまでも、張り手を食らい一瞬ひるむ相手をしりめに有利な態勢を築く、白鵬の常とう手段だ。
しかし、嘉風は張り手を食ってひるむようなそんな柔な関取ではない。
横綱より一瞬早く立ち上がった嘉風はもろ差しに成功する。勝利を確信する作戦が見事に当たった。後の勝利者インタビューで嘉風はそのように語っている。
もろ差しからの一気の寄り身で、土俵際で突き落としをみせる白鵬に体を預け、寄り倒しに仕留めた。

当然、行事の軍配は東・嘉風に上がり、審判からの物言いがつくことなく勝負はついた。見事な金星である。
勝負がついた後、両者は再び土俵に上がり、互いに一礼し、敗者は土俵を去り、勝者は、そんきょして勝ち名乗りを受ける。これが勝負に決着をつけた後の力士の当たり前の所作である。

ところがである。白鵬が土俵に上がろうとしないのだ。どうやら、行事に向かって「待った」したと訴えているようだ。その間にビデオテープが流されたが、明らかに両者とも両手をついて立ち上がり、確かに白鵬の張り手はもろに嘉風の頬を捉えている。疑う余地のないきれいな立ち合いだ。

それでも白鵬はしばらくの間、土俵に上がるのを拒み続け、その後、しぶしぶ上がった土俵上でも嘉風が勝ち名乗りを受けているさまを、立ったまま後ろから恨めしそうに眺めていた。

駄々っ子のようにごねる横綱、それに対し、手をこまねき速やかな処置をとれない行事と審判員、この前代未聞の光景を目の当たりのして、子供の頃から見てきた大相撲が全く変質してしまっているような気がして、なんだか寂しい気分になってしまった。


ダンロップフェニックストーナメント2017

2017年11月19日 | スポーツ

男子プロゴルフ「ダンロップフェニックストーナメント」競技の模様を昨日の3日目、そして今日の最終日とテレビ観戦した。

最終日、今年の全米オープンゴルフ選手権者で、今回のダンロップフェニックスの昨年度の覇者であり、3日目までのトーナメントリーダーであるケプカ選手に松山選手がどこまで迫れるかというところに最大の興味があった

2日目の予選ラウンドが終えたところまでは初日からトップを走るケプカ選手に韓国のH・W・リュー選手と共に1打差の2位タイと好位置につけていた松山選手だったが、3日目に71を叩き、64で回ったケプカ選手に8打差をつけられてしまっていた。

さて最終日、まだ放送には入っていなかったが、松山選手は出だしの1番でバーディーと絶好のスタートを切っていた。さらに3番のショートホールでは何と彼自身日本ツアー初めてというホールインワンを達成、猛追が予感されたようだったが、6番のショートホール、9番のミドルホールでボギーをたたき、続くインの10番ミドルホールでダブルボギーをたたき万事休す。最終的に優勝したケプカ選手と10打差の5位でフィニッシュした。

松山選手は、8月にアメリカ・オハイオ州アクロンにある「ファイアーストーン・カントリークラブ」で開かれたブリヂストン招待選手権でPGAツアー5勝目となる勝利を挙げた後、調子を落としていたと聞く。
それでも、久し振りに見る日本ツアーでの松山選手のプレー、願わくば、3日目、最終日と優勝争いを演じてほしいところだったが、そんな中、世界ランキング4位の実力の片りんは随所に見せてくれた。

全米オープンで2位に終わった後、涙を見せていた松山選手だったが、その全米オープンでメジャー初制覇を果たしたケプカ選手も「彼は世界のトップ選手」と認めている。来季、主戦とするPGAツアーでの活躍、そしてメジャー制覇を楽しみにしたい。

優勝したケプカ選手のプレーは、やはり圧巻だった。
先ず、圧倒的な飛距離だ。3日目はドライバーを手にすることがなかった。3番ウッドで同じ組の他のプレーヤーのドライバーショットを上回るほどの飛距離が出ていた。そして、ほとんど曲がらない。
13番ミドルホール、最終日わずかにグリーンを外したものの3日間ワンオンでイーグルかイーグル外しのバーディーだった。さらには、たまにティーショットを曲げても、そのリカバリーショットが完璧だった。さすがにメジャー覇者は違うと思わせるてくれるほどの素晴らしいプレーを見せてくれた。

また、このところ予選落ちが続いていた石川遼選手が久しぶりに決勝ラウンドに進み、72・71・70と徐々にスコアを伸ばし最終日68の3アンダー、27位タイで上がっていた。早く、調子を取り戻し、遼君らしいアグレッシブで歯切れのいいゴルフを見せてほしい。


気になるチャンプの動向

2017年11月18日 | スポーツ

今年4月に5度目の防衛を果たしたWBA世界フライ級王者の井岡一翔選手、試合後には他団体との統一戦、さらには階級をスーパーフライ級に上げ、日本人初の4階級制覇も視野にというような話も出ていた。
ところがである。報道によると、今月9日に父親でもあるジムの会長が記者会見を行い、井岡選手のベルトを返上したことを明らかにしたという。理由は、大晦日に計画していた6度目の防衛戦に向けて心身の準備が整わないためとし、引退の可能性についても触れたという。

ばりばりの現役世界チャンピオンのベルト返上など前代未聞である。
引退の理由については、結婚生活のことを始めとしてあれこれ憶測を呼んでいるようだが、実は、井岡選手がジムに顔を出していないとのジム関係者の話が8月末には一部マスコミで紹介されていた。その時、父親との関係悪化が原因ではとの声が上がっていたのだが、今回の引退発表に当人である井岡選手の姿がなかったのが気になる。

井岡選手他、先月22日に初防衛したWBC世界ライトフライ級王者の拳四郎選手、現WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥選手、少し前の亀田興毅選手等々、親が我が子を指導して一流アスリートへと導く例がボクシング界だけではなく他のスポーツにおいても多く見られるようになってきている。
彼らのような成功例を見て、よし自分もとはなかなかならないだろうとは思うが、彼ら親子のようにそうそううまくいくとは限らない。むしろ稀なことだと思う。

私塾を営み、これまで多くの親子の関係を見てきて、しみじみと思うことがある。それは、親子の関係というのは極めて情的な関係であるということだ。親が我が子をある目的に向かって教え導こうなど始めた時、往々にして情的にこじれるように思う。
井岡選手親子がそうでないことを願うばかりだ。

いずれにしても、早く問題が解決されることを祈る。統一戦、4階級制覇へ向けての井岡選手の挑戦を見てみたい。


常識をはるかに超えて

2017年11月13日 | スポーツ

一昨日、日本ハムの大谷翔平選手が日本記者クラブで記者会見し、大リーグ挑戦を正式に表明した。

日ハム入団当初から、投手と打者の二刀流に対し、専門家の間でも否定的な声は少なくなかった。しかし、彼は結果を残すことでその声を打ち消してきた。

記者からの大リーグでも二刀流を貫くのかとの質問に、二刀流を続けてきた5年間、多くのファンの方に応援してもらい、(二刀流は)もう自分だけのものではないのかなという思いもある。そういう環境が(大リーグ球団の中に)あるのか話を聞いてみたい、と自らのスタイルを貫いてみたい旨、意欲を示した。

移籍で利用するポスティングシステム制度の問題や大リーグ機構と選手会が合意した新労使協定の問題など、大谷選手にとって決して順風満帆の船出ではないが、彼が少年の頃に夢見たメジャーリーガーへの憧れを、誰も何も止めることはできない。

これまでの常識をはるかに超え、誰もが歩いたことのない大谷翔平選手だけが切り拓いていく道を見てみたい。


約束されていた躍進

2017年11月12日 | スポーツ

政治・経済界は相変わらず狡く不愉快な話ばかりだが、スポーツの世界はわくわくするような話題に満ちている 。

サッカーJ2のV・ファーレン長崎が昨日、ホーム最終戦でカマタマーレ讃岐に3-1で勝ち、初のJ1昇格を決めた。
今季リーグ開幕前、経営不振が明らかとなったVファーレン、その後、しばらくごたごたが続いたが、最終的にジャパネットホールディングスの支援を受けることになり、その創業者の高田明さんが4月に新社長に就任し、経営をすっきりさせた。
そのかいあってのことだろう。チームは今季前半戦を4位で折り返したが、そこから粘り強い戦いを続け、8月27日の京都サンガF.C.に勝利して以降、昨日の対カマタマーレ讃岐戦まで連続負けなしを記録している。

3月末、お孫さんが将棋を指すというご縁から、毎年恒例となっている深浦九段に馴染みの仲間内の彼を囲む会に、秀楽先生が高田明さんを招かれた。
実際に高田さんにお会いし、お話をさせていただいて驚いた。テレビショッピングでのあの甲高い声、押しの強い口調に態度、正直、好ましい印象を持っていなかった。ところが、高田さんを目の前にして、私の抱いていた彼へのイメージは全く覆ってしまった。

高田さんは一代であれだけの会社を築かれた。天狗になるなと言ってもそれは無理だというもの。それくらいの成功者だ。普通であれば傲慢・不遜になっても仕方のないところだろう。しかし、高田さんからそれらを微塵にも感じることはなかった。
決して出しゃばることなく、終始、小さな声でぽつぽつと話された。私は、すぐに高田さんの素のお人柄に魅了されてしまった。これまでもジャパネットの商品を購入してきたが、これからはジャパネットの商品だけでいこう。そう思わせるほど、高田さんは魅力的な人だった。

昨日試合が行われた諫早市のトランスコスモススタジアム長崎には、高田さんの呼びかけに応じて約2万2千人のサポーターが応援に詰めかけたという。高田明さんの人となりが選手のみなさんを鼓舞し、サポーターの気持ちを燃え立たせた。

来季、J1でのV・ファーレン長崎の活躍を楽しみにしたい。


プロボクシングの醍醐味

2016年09月19日 | スポーツ

WBCダブル世界戦のもう1つの試合は、バンタム級チャンピョン山中慎介選手対同級1位のアンセルモ・モレノ選手との再戦だった。
チャンピョン山中選手はここまで10連続防衛中とまさに今が旬のボクサー、対する挑戦者のモレノ選手は、元WBAバンタム級チャンピョンで12連続防衛記録を持つスーパー王者だ。

1R開始のゴングが鳴ると同時にモレノ選手が前に出て来る。山中選手への2度目のタイトル挑戦、今回こそはチャンスをものにするために間違いのないKOでの勝利をとの意気込みが感じられる。
一方、山中選手もKO勝ちで完全決着をの気が溢れている。

両選手共にサウスポーなので、お互いに右足を前に踏み出しているのだが、その踏み出している右足がほとんどくっ付くほどの間合いで向き合っている。そのままジャブを出せば互いに当たる距離だ。
序盤、鋭いジャブの応酬から山中選手はタイミングを計りながら左ストレートを放ち、対するモレノ選手は右アッパー、右フック、さらには山中選手の右に合わせクロスに右を打ち込む展開。

1分過ぎたあたり、ジャブの差し合いからモレノ選手のワンツースリーフォーまで繰り出したパンチが山中選手の顔面を捉えると、山中選手の腰がわずかに落ちる。
しかし1R終盤、モレノ選手のやや大振りの右アッパーカットに合わせた山中選手の左ショートストレートがモレノ選手のあごを捉え、ダウンを奪う。

4R後半、山中選手が左から右と切り返しのフックを振るうよりわずかに先にモレノ選手の右フックが山中選手のあごを捉える。山中選手たまらずダウン。
5R中盤、やはり互いに左から右と切り返す瞬間、再びモレノ選手の右フックがカウンターとなって山中選手のあごを捉える。山中選手の腰が落ちかけるがなんとかダウンは免れる。

6Rに入り、徐々に山中選手の左ストレートが増えてくる。そして中盤、ついにその左ストレートがモレノ選手の顔面にヒット、さすがのモレノ選手もクリンチで逃れる。

そして7R、山中選手が一気に倒しにかかる。先ず、強烈な左ストレートでダウンを奪う。明らかに効いているようだったがモレノ選手は立ち上がって来る。
残り2分、ダメージの残っているモレノ選手を青コーナーに追い詰めた山中選手、狙いすました左ストレートを繰り出すと、モレノ選手は崩れるように腰を落とした。

それにしても、両試合共、ほとんどクリンチのない真っ向からの打ち合いで、高い技術とプロボクサーとしての気迫が伝わってくる素晴らしい試合だった。


気迫のボクサー

2016年09月18日 | スポーツ

昨日行われたWBCのダブル世界戦、久し振りに心を揺さぶられるボクシングを観た。

スーパーバンタム級5位の長谷川穂積選手が王者のウーゴ・ルイス選手に挑んだ一戦、クライマックスは9ラウンドにやってきた。ルイス選手の左アッパーカットが長谷川選手のあごを捉える。一瞬、長谷川選手がよろけたのをルイス選手は見逃さない。ルイス選手は36勝中32のKOを誇るハードパンチャーだ。ここが勝負の決め所とばかりに左右フックの連打で猛攻をかけてきた。
ロープを背にした長谷川選手は絶体絶命の大ピンチだ。しかし、勝負あったかと思ったところから長谷川選手の奇跡的ともいえる反撃が始まった。体格的に一回り大きいルイス選手に対し、長谷川選手はなんとノーガードでの打ち合いに応じたのだ。

長谷川さんは過去、WBCバンタム級王座を10度に渡り連続防衛した名チャンピョンだった。だが、その長谷川選手も現在35歳、王座から陥落して5年が経過し、このところの試合ではさすがに衰えさえ感じられるようになっていた。2年前の4月、3階級制覇を狙いIBFスーパーバンタム級で王座に挑んだが敗れている。
しかし、このロープ際の危険な打ち合いを長谷川選手はチャンスだと思っていたと試合後語っている。長谷川選手の気迫は決して衰えていなかった。

10ラウンド、ルイス選手は立ち上がってくることができなかった。長谷川穂積選手の3階級制覇がなった瞬間だった。