「ぼくのモンシロチョウがさなぎから出てきたんだよ」
ムギが学校で育てているイモムシの話をしてくれました。
「でもねえ。ちょっとかわいそうなことになっちゃったんだ」
言いにくそうに
「羽がねえ…。折れちゃったんだよ~」
学校のキャベツ畑でさなぎを見つけ、教室で観察していたそうです。
ところが、入れ物が狭かったため、羽化したときに
羽が当たってしまって、羽が折れ曲がったような形に
変形してしまったらしい。
かわいそうにねえ。と、話を聞いていたのですが
「それで、もう逃がしてやったの?」
「ううん。まだ観察するから」
「ふうん。餌はちゃんとあげてるの?」
「え?!…う~ん。キャベツあげてるよ。」
「キャベツ~?!蝶々になったら、お花の蜜でしょ?」
ここで、問題発覚!
どうやら、何をあたえていいのか分かっていない
らしく、羽化してから数日間何もやっていないという。
「それじゃ、死んじゃうよ~!
お花とか、砂糖水とかあげいと!」
羽が変形しただけでも不憫な蝶々。
そのうえ、飲まず食わず(?)だなんて…。
だけど、今日は金曜日。
土日も放置していたら絶対持たない…。
観察するなら、責任を持ってちゃんとお世話しなくてはいけない
ということをきちんと分かってもらわないと…。
「だって、知らなかったんだもん」
などど言い訳をするムギ。
「ムギだって、何日もご飯食べれなかったらお腹空いて
死んじゃうでしょ。蝶々だって一緒なんだよ!
お世話ができないなら逃がしなさい。」
逃がすのはイヤだというので、
砂糖水や入れ物を持って学校へ。
スイミングが終わってから行ったので、
もう日が沈みかけていました。
担任の先生がいらしたので、訳を話し教室へ。
ロッカーの上には、虫かごや飼育ケースが10個くらい置いてあり
見るとどれにもキャベツが入っていました。
キャベツ畑にさなぎや幼虫がたくさんいて、
捕まえてきては観察しているのだそう。
虫かごから脱走したイモムシが、2~3匹教室の壁で
さなぎになっているのを見て、びっくり。
「朝きたら教室に蝶々が飛んでたこともあって、
それは逃がしてやったんですけどね。」
と語る担任の先生。なんか、楽しい風景だな~。
「子供のうちに虫を飼って観察するのはいいですよね。
緑色のさなぎがだんだん茶色っぽくなって、
羽の模様が透けて見えてくるようになると
もうすぐだな~とか…。
けっこう感動するんですよね~。」
先生も子供時代にいろんな虫を育てたり、
遊んだりしたらしく、
楽しそうにお話してくれました。
ムギの蝶々は羽が折れ曲がってちょっとかわいそうな姿でしたが
元気そうで、砂糖水を綿に吸わせたものを入れてやると
すぐに口のストローを伸ばして吸いはじめました。
よかった~。まにあった~。
「お花を入れてやろうかどうしようか~と
みんなで考えていたことろだったんです。
こういう方法もあったんですね。」
って、先生。…そんなに子供まかせにのんびりしてちゃダメじゃん。
ムギの蝶のほかは、まだ幼虫やさなぎばかり。
これからどんどん羽化するんだろうな。
キャベツ畑に幼虫がたくさんいますよ。と聞いて
帰りにちょこっと探してみました。
もう真っ暗だったので、教室からのわずかな明かりで
ようやくイモムシを発見。
チョコが欲しがるのでキャベツの葉を1枚折って、
持って帰りました。
戻ってよ~くみてみたら…
「すごい!10匹以上いる~!」
暗かったから見えなかったけど、1枚の葉に
小さな幼虫がいっぱいついていたのでした。
飼育ケースは学校に持って行っちゃったので
金魚用の水槽を引っ張り出して入れました。
水槽の中にキャベツの葉っぱが1枚。
ちょっと不思議な光景です…。