夢地蔵

田舎の映像作家の備忘録

EDCam で収録した映像

2022-06-21 04:50:06 | Weblog
一昨日の話の続きです。

1990年から6年に渡って鬼無里の山里を四季を通じて EDC-50 で収録した映像があります。
それはまさに絵のような風景でした。以下、動画から切り出した静止画です。


一見何の変化も無い情景ですが、西風に乗って曇が流れ、その影が落ちて戸隠山の色が刻一刻変わります。

冬晴れの情景を撮った直後、父が倒れて入院し、二週間後息を引き取ったこともあり様々な思いが滲みこんでいます。
フィルムカメラでも何枚も撮りましたが、回しっ放しのビデオカメラで収録したのは正解だったと思います。
―フィルムカメラで撮った写真はこちら 

眩しいほど明るい雪景色でレンズが絞り込まれた結果、絵画の世界では考えられないコバルトブルーの空が記録されました。
何度も出掛けて曇天の暗い日にもカメラを回しましたが真冬なのにこんな冬晴れに遭遇したのは奇跡。

収録した当時は深く考えず単に「いい風景」としか考えませんでしたがあのときの父の歳を越えた今、やっと見えてきた世界です。


風に揺れる寒冷紗の中はタバコの苗です。

タバコ畑の先に今は解体されて跡形もない萱葺きの家と背後の戸隠山。


写っていませんがしばらく前にお婆ちゃんとお嫁さんと思われる二人がタバコの葉を摘んでいました。
猛烈に暑い八月です。

それぞれの収録テープには2時間回しっ放しの映像が記録されています。
それをモニター(LCDじゃなくCRT)で流しながら水彩画を描いたらどんな結果になるか、今から楽しみです。
自分で現地に行って収録した映像を再生しながら素材にするのは誰かが撮った写真を見て描くのとは違って裏付けがあると思うのです。
絵の具は透明水彩と不透明水彩を併用しないとこの雰囲気は表現できないだろう、なんて勝手に考えています。
まあ、それなりの絵が描けるようになったらの話ですが。
コメント
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