ピノコ誕生の畸形嚢腫の時と同様になるほどそこまで考察するかとおもったのが、”霊のいる風景”です。
ある少年に取りついた霊の言動から手術をする羽目になったブラックジャックの話 なんですが。
普通に読めば少年の体にできた腫瘍を、少年にとりついた霊が教えてくれて、それをブラックジャックが治すという不思議な話なのですが、、
そもそもなぜ霊媒師を使ってあんな儀式をおこなっていたのか?そこが不思議に思っていたところですが、しかも日本で、それ以上の考えに及ばないのが凡人の私です。
作者は手塚治虫はこの憑依を使って、精神障害、精神の問題を霊的なものに置き換えて表現させていたのではないかと考察している。いまも昔も精神の問題は決し医療ドラマでは取り扱われないし、
タブー視されている面はある。だから霊を使って表現したのではないかと、もしかしたら憑依した少年が精神の問題を起こしているシーンもあったのかもしれない、ブラックジャックの一話完結の限られたスペースには収まらず、カットされたのではと私は思う。結果として霊がブラックジャックの問診を受けるシーンが残ったのではないだろうか?
ブラックジャックの霊がついた少年に対しての言動は明らかに初めから問診であり、咳は?息苦しさは?痛みは?嚥下のときにどうか?
初めから縦郭腫瘍を念頭に置いたものであり、何故この少年に憑依したのか?年齢は?いつから?とか本来なら焦点が当たる場所に全く頓着していないこと。そして手術をすると縦郭腫瘍がそこにある、そして霊は彼から離れていき昇天してしまう。
一読するだけでは不思議に話。そんなこともあるものかな?(凡人)
なぜ縦郭腫瘍?(天才)
以下ネタバレ
診断までは
きっちりと考察されていますので、本書をお読みください。
最終診断は
縦郭腫瘍による抗NMDA受容体脳炎
触診、視診、問診はなんと大切なんだろうと改めて思いました。
あらためて手塚治虫は天才なんだと思いました。
この解釈にいたった作者もまた天才だと思います。
ebookではブラック・ジャック 18巻の第一話 霊のいる風景にありますので、無料でちょっと読めます。