湯原修一の歓喜悦慶と聊かの慷慨憂愁, etc.

いつとはなしに眠りにおち微風を禿頭に感じて目が覚める。
このような生活に変わったらブログが更新されないかもしれません。

◇ スーパーカブでトコトコと ・・・ (小国行_1)

2017年01月12日 18時11分07秒 | ちょっとした出来事?

12月27日の拙ブログ記事の中で次のように書いていました。

『スーパーカブ50ccに乗ってまた、1泊のひとり旅に出ました ・・・ その旅のことについては明日~ 』

昨年のことなので随分前のことのような気がしますが、まだ2週間余りしか経っていません。

年を越しましたが、その1泊トコトコ旅行のときの写真を掲載します。


12月27日、宿明け勤務から帰宅した私は、今にも降り出しそうな空模様の下、爽快とは言えない気分で出発しました。

※あと84kmで1万キロなので、旅の途中で大台突破します。


熊本市内から杖立温泉(小国町)へのルートは、南阿蘇村経由で国道212号線を北上するのが一般的ですが、熊本地震による国道57号線消失(一部区間)により、狭い迂回路を通らなければならず、原付には危険なので、菊池市経由での峠越えで行くことにしました。

菊池市は熊本市の北北東25kmほどの位置にあります。

菊池市中心部まであと4kmという花房台から北側(菊池盆地)を望む

※八方ヶ岳(ヤホウガタケ)は標高1,051m。
平坦な山頂を持つ山で、八方どこから見ても同じように見える事からその名前がついたと云われています。

菊池平野は天下にきこえた菊池米(*)の産地です。

*:菊池平野は盆地になっており、阿蘇外輪山に源流を持ついくつもの美しい水源があります。
ミネラル分を含んだ豊富な湧水と肥沃な土壌、朝夕の気温差が激しいなど、稲作りに適した環境が整っています。
そこで収穫される菊池米の美味しさは江戸時代から有名で、天下の台所大坂(現在の堂島)で取引される藩の蔵米の中で、特別な値がつくほど人気を博し、東の大関が加賀米、西の大関が菊池米といわれたそうです。
-宣伝文句などより-

菊池市街を抜けて10kmほど山に入ると、北(大分県日田市)と東(菊池渓谷)の2方向に分かれる三叉路があります。


菊池渓谷への道は熊本地震以来通行止めになったままです。


ほとんど対向車もなく、人家もない国道387号線を上っていくと大分県へ抜ける「兵戸トンネル」があり、そこが峠になります。


このトンネルの中に県境があります。
この日は大分県と熊本県を10回以上行き来することになりましたが、その理由は後でおわかりになります。

トンネルを抜けて大分県に入ったら美しい渓流に沿った下り坂がつづきます。

※この近くに「上津江フィッシングパーク」があります。
釣り、川遊び、昆虫採集などができ、食事処や宿泊施設もあるようなので、夏休みに子供と一緒に自然に親しむには絶好の環境かもしれません。
(新緑・紅葉の頃も美しいかと ・・・ )

渓流に沿ってさらに10kmほど下るとダム湖に出ます。
この人造湖は「蜂の巣湖」という名前です。

この名前でピンときた方はシニア世代の方ではないでしょうか。
ここは室原知幸さんを中心とした日本史上最大(?)のダム建設反対運動「蜂の巣城紛争」の舞台となったところです。
室原さんとの13年にわたる激闘を演じた建設省の役人の方が名付け親なのでしょうか?
湖に水が満ちたときは既に室原さんは亡くなられていたはずですが、お役人様にしては意外な(失礼)粋な計らいに思います。

下筌ダムは轟音をたてて放水されていました。

※堤高98m、堤頂長(横の長さ)248m

ダムの一番上(天端(テンバ))にある道を通って行きますが、地理的にはその途中に大分と熊本の県境があることになるので、一旦熊本県に戻ることになります。


しばらく行くと、今度は橋を渡ります。


※この橋は、下筌ダムの直ぐ下流にある「松原ダム」によってできた人造湖「梅林湖」を跨いでおり、渡り終わった側から撮っています。

地理的にはこの橋の中央付近が大分と熊本の県境になりますので、再び大分県へ入りました。

あと3kmほどで目的地の杖立温泉ですが、予定より早く着いたので温泉街を通り過ぎて近くの名所を見に行きました。

「下条の大銀杏」

国指定天然記念物で、樹齢1000年を超えるそうですが、新緑や黄葉の季節でなかったのが残念です。

大銀杏の直ぐ近くにある「なべかま滝」

※後方に「下条の大銀杏」が写っています。

その直ぐ下流にある「下条滝」

落差50mということですが、遊歩道が崩れていて近づけないので、美しい全容を見ることができません。

15時過ぎになったので杖立温泉へ向かいました。

温泉街を望む

私が泊まる「ひぜんや」さんは杖立温泉街の北の外れにあるので、右奥の黄色い建物の陰になって写っていません。

杖立温泉は杖立川を挟んで両側に宿屋などが立ち並んでいます。
川には狭い橋が何本かかかっており、人の往来ができます。


一人寂しく泊まる部屋


さっそく露天風呂に入りに行きました。


杖立温泉は26ヵ所ある源泉から高温(約98度)の湯が自噴しており、弱アルカリ性の弱食塩泉の泉質は湯ざわりがやさしく、湯治の方はもちろん、女性にも人気の本格派のお湯だそうです。
触れた感じは、ヌルヌルではなくスベスベでした。   

宿は杖立川に沿って建っています。

※露天風呂の中から撮ったもの。

風呂から部屋へ戻るときもここを通りました。


「是より豊後路(大分県)」と彫ってあり、廊下に線が引いてあります。
つまり、線の向こう側は大分県で私が立っているところが熊本県になります。



「ひぜんや」さんは大分県と熊本県を跨いで建っているので、建物の中に県境が記されているのです。

※それにしても、肥後(熊本)と豊後(大分)に建っているのに、なぜ佐賀にゆかりの「ひぜんや(肥前屋)」という名前になったのか?

フロア案内図

※私の部屋は熊本館7階の一番左端(南側)

散歩に出かけるにも、レストランや風呂(豊後の湯)に行くにも県境を越えることになります。

前のほうで書いた「この日は大分県と熊本県を10回以上行き来することになりました」のわけをご納得いただけたかと ・・・

※熊本館に泊まっている私が豊後の湯で破廉恥行為をして部屋に逃げ帰っていたら、どちらの警察にご厄介をかけることになるのでしょう  |(-_-)


夕食はビュッフェスタイルでした。
食べ過ぎないように気を付けたつもりでしたが ・・・



※このエビ天はお代わりしたもの

ここでのアルコールは瓶ビール1本と日本酒1合です。

※このステーキもお代わりしたもの

〆 の「だんご汁」


箸袋の裏に書かれていた「杖立小唄」と

「ひぜんや小唄」の歌詞に誘われて


小雨模様でしたが派手な黄色い傘を借りてそぞろ歩き?に出ました。

ひとしきり迷路のような小道を歩き回りました。
温泉街唯一(?)のコンビニ(らしき店)があったので、飲み処をおしえてもらうために入りました。

一人で店番をされていた女性は若い頃(一世代前)は "杖立小町" と褒めそやされていたと思しき、それはそれは美しい方でした。
その方は、3軒の店の名を挙げ店の感じを教えてくれました。
どこにしようか迷った私でしたが『直ぐ近くの店は "妹" がやっています』という一言で迷いが吹っ切れました。
姉(美人)→ 妹(・・・)という図式が頭に浮かび、"外れ" の心配がないと思ったからです。

温泉街に有りそうな?少し怪しげな色の看板を出した、その「カジカ」という店


入ったら中は意外に広く、色んな物が綺麗に飾り付けられていました。
しかし、一人の客もいませんでした。

カラオケ用ステージの横にいるデカイ「くまモン」も暇そうにしていました。

※あとでわかったことですが、この良く出来た「くまモン」は妹さんの手作り品でした。

私の席にウィスキー(ロック)と水を運んできてくれたのは高齢の女性でした。
コンビニの女性の "妹" にはとても見えませんでした。

話好きな方で、私からきくまでもなく、コンビニの女性の "母親" であるということをおしえてくれました。
(ということは70歳過ぎ(?))
しかし血は争えないもので、この母親にしてあの女性あり。
かなりの美しい方でした。
コンビニ女性より一世代前の「杖立小町」だったはずです。
杖立で生まれ育ち、20歳のときに結婚しからもずっと杖立温泉で暮らしてきたということでした。



カウンター内でオードブル(写真)を作ってくれた方が "妹" さんということでした。
遠目だったので、姉に似ているかどうかは確認できませんでした。


私が3杯目を飲み始めた頃、若者(男ばかりの忘年旅行客?)が7名入ってきました。

若者たちは、酒が進むにつれてヒートアップしました。
コスプレ(**)カラオケ大会の様相になってきました。

**: あろうことか、おとなしそうに見えた妹さんが若者を促して服を剥ぎ、着替えさせていました。
ランドセルと制服姿の小学生,メイド服に金髪のカツラ,○○モッコリのレオタード姿, etc.

私のほうは、賑やかで楽しくはあるが色気は全くない男ばかりの踊りを横目で見ながら、呆れているくまモンに私の唄を聴かせてあげようと思い、曲を選び始めました。

しかし、濡れた作業ズボンの湿気た客が傍にいたら若者たちも弾け切れないだろうと思い直し、元「杖立小町」と名残りを惜しみながら、腰を上げました。

別れ際に、お母上様から言われました。

『あなたは客を呼ぶ福の神です。今日はありがとうございました』

宿に戻る途中で前「杖立小町」がいるコンビニに寄って間食用アーモンドチョコを1個買いました。

『ありとうございました』の言葉だけでした。

その日は私以外の客が少なかったのかもしれません。


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