
ハーブをお料理に使うとき、様々な使い方をしますが、おもな二通り。
一つはブーケガルニ。煮込み料理、スープなどの香り付けとして、乾燥、または生のままお鍋に入れて一緒に煮込みます。伝統的なブーケガルニはローリエ1枚、タイム3~4本、パセリ2本です。
フィヌゼルブは柔らかいデリケートなハーブを生のままみじん切りして使います。ふつうは数種類のハーブを混ぜ合わせブレンドされた香りを楽しみますが、1種類のみでも十分色や香り、味を楽しめます。伝統的なフィヌゼルブは、パセリ、チャイブ、タラゴン、チャービルです。最近ではこれにとどまらず、ミント、タイム、バジル、マージョラムなど、好みでいろいろなものをいろいろな用途で楽しむようになりました。

英語でタラゴン、フランス語でエストラゴン、これはフレンチタラゴンで、一般的に使わていますが、対してロシアンタラゴンというものもあります。
どちらもシベリア原産の多年草で、暑さや多湿を嫌います。
個性的な香りで、少量でも高い芳香を放ちますが、ドライにすると風味が弱くなりますので、フレッシュとドライの使い分けを上手にしてください。
キッチンハーブとして合う食材
白身魚、サーモン、えび、鶏、ラム、にんじん、じゃがいも、卵、チーズ、バター、酢、アイスクリーム

地中海東部が原産。cilantro(中南米)、香菜(中国)、パクチー(タイ)など、地域により色々な呼び名がありますが、和名はコエンドロ。
セリ科の一年草。
胃腸を整える働きがあります。
独特な香りで日本人には苦手な方も多いようですが、多くの地域で使われています。
種はコリアンダーシードといい、スパイスとして利用されます。生葉とは違った、柑橘系の爽やかな香りがします。
キッチンハーブとして
エスニック料理の薬味。中南米料理のサルサやスープに。中華料理、ポルトガル料理の薬味。

ヨーロッパ南部、地中海沿岸地方原産の多年草です。
属名のサルウィアは救う、治すという意味があり、ギリシア・ローマ時代から医薬として用いられてきました。日本にも江戸時代後期の書物に記述されていたほど古くから伝わっていたようです。葉の精油はうがい薬として、また胃腸炎に内服します。
昔からヨーロッパでは家畜の肉を貯蔵するさい、防腐や香り付けにタイムやセージなどのハーブを使いましたし、現在でもハム、ソーセージなどに使われています。
家庭では肉料理や煮込み料理に使われます。
ポプリや入浴剤にも使います。
キッチンハーブとして合う食材
豚肉、ラム肉、鶏肉、たまねぎ、パン、赤ワイン、食肉加工品

地中海沿岸地方が原産で、雌雄異株の常緑小高木です。属名ラウルスはケルト語のlaur(緑)に由来しています。ギリシアのオリンピアでマラソン勝者の冠となったり、この頃から競技の場でも見られました。
精油成分は芳香性健胃薬や塗布剤にされます。
葉は香辛料として月桂樹、ローリエなどの名前でも親しまれており、煮込み料理などによく使われます。
キッチンハーブとして合う食材
スープ、シチュー、ラム肉、牛肉、豚肉、魚介類、にんじん、じゃがいも、トマト、なすなど。
原産地はインドからアフリカ東北部です。フェンネルに形は似ていますがそれより小ぶりの一年草です。
葉の部分は、フレッシュでは青い草のような香りがし、魚やシーフードの料理によく合います。ドライのものは干草のような、青海苔にも似た香りがします。種はディルシードとしてピクルスなどに使われますが、葉とはまた違った風味が楽しめます。
精油成分は芳香、駆風薬として使われてきました。また鎮静作用もあります。乾燥させた葉や種を枕に入れると安眠できると言われてます。
キッチンハーブとして相性のいい食材
・葉 鶏肉、魚、えび、サーモン、いんげん、じゃがいも、トマト、きゅうり、にんじん、アボガド、キャベツ、ヨーグルト、チーズ、ピクルス
・種 ラム肉、キャベツ、トマト、チーズ、ブレッド、ピクルス、酢、ポテトサラダなど

ヨーロッパ南部が原産です。
古代ギリシャ・ローマ時代は、勇気、優雅、品位の象徴とされ、男性は入浴後、タイムの香りをを胸にすりつけたといいます。
タイムの水蒸気蒸留した精油成分は香水の原料のほか、十二指腸駆除薬、鎮咳薬にされます。
お料理ではお肉、魚の香味料としてフレッシュ、ドライとも使われます。香味が強く、ほかのハーブに比べドライ、フレッシュであまり香りの違いはありません。単独でも、ブーケガルニとしても使用。肉類、乳製品の加工には古くからセージとともに使われてきました。
通常タイムとして使われるものは20~30センチほどの立性ですが、ほふく性のものもあり、香りはさまざま(レモン、オレガノキャラウェイ、ラベンダーなど)なものがあります。ほふくしますので敷き石の間に植えると歩くたびに香りがただよいます。
キッチンハーブとして相性のいい食材
牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉、七面鳥、魚、ソーセージ、加熱トマト、たまねぎ、卵、酢など、何にでも合わせやすいです。

熱帯アジア原産でシソ科のバジル。和名をメボウキといいます。種を水に浸すとゼリー状になり、それで目のごみを取ったことが由来で、日本には はじめ種が漢方として入ってきました。
属名は旧名に由来し、basilicosは王様の~という意味で、この草が王の薬や香料にされていたことによります。中国、インド、ヨーロッパで、古くから薬として珍重されてきました。用途は消化剤、催淫剤、眼薬などです。
お料理には、トマトに合うハーブなのでイタリア料理に多用されていますが、にんにくに合うとして台湾料理でも使われています。その他鶏肉料理、魚料理、パスタなど、活用範囲は広いです。新鮮葉、乾燥葉ともに利用されますが、乾燥葉を長く保存すると風味が落ちやすいので、オイル浸けにしたり、ペーストにするなどをお勧めします。
本来多年草ですが、日本では越冬が難しく、一年草の扱いになっています。夏に花をつけますが、そうなると香りが弱くなりますので、芳香を利用するのであれば、花を咲かせないよう花芽を摘み取るとよいでしょう。
キッチンハーブとして相性のいい食材
牛肉、ラム肉、豚肉、サーモン、えび、鶏肉、卵、チーズ、トマト、なす、グリンピース、にんじん、パスタなど。

地中海沿岸原産で高さ50から120センチになる常緑低木です。
属名のロスマリヌスの“ロス”は露、“マリン”は海という意味で、長い航海を経て地中海に帰って来た水夫達が漂うローズマリーの香りで故郷を感じたということです。
花は薄紫、紫、白色のものがあり、早春から夏に見られます。
ヨーロッパでは健胃、食欲増進の効果があると言われてきました。精油はロスマリン油といい、皮膚刺激、疥蘚の治療薬とされてきましたが、現在は香料原料に使われています。
香味料としては、羊や山羊、その他肉料理によくつかわれますが、香味が強いので心得て使って下さい。
また、ポプリやハーバルバスにも利用できます。お料理で余ったらお風呂に浮かべて子羊気分を楽しんでみては。
栽培されているローズマリーには、料理用で人気のトスカナ・ブルー、イギリスで古くから親しまれるミス・ジェサップ、アメリカで耐久性のある種として使われるアルプなどがポピュラーで、これらは立性です。これ以外でも、ほふくする形のもの、それぞれの中間のものがあり、食用、ハーブガーデンなどいろいろな楽しみ方をされています。
キッチンハーブとして相性のいい食材
豚肉、ラム肉、鶏肉、牛肉、じゃがいも、サーモン、チーズ、ワイン、ブレッド、フルーツサラダなど。