夢の中の自分の叫び声が、無意識の領域からいきなり飛び出してきた。
「あんまり、ふざけたこと言うんじゃねーよ!」
わたしは、声の大きさに驚いて、目を醒ました。
鎌倉の家の風呂の中に、スズメガのエメラルドグリーンの幼虫がたくさんいたのである。
わたしは全裸。右手にシャワーヘッド、左手にティッシュペーパーを握り、芋虫に熱湯を浴びせかけながら、ティッシュペーパーで死骸をつまみ取っている。
芋虫は、なかなか手強い。
熱湯に強い種類らしい。
振り向くと、珍念さんが脱衣場にある洗濯機から濡れた洗濯物を引き出しているところだった。
珍念さんは、脱衣場にある植木鉢の椿の枝に、洗濯物を干しはじめる。
椿の葉という葉には、チャドクガの幼虫が貼り付いているというのに――。
「そこに、洗濯物干しちゃダメ! チャドクガがいっぱい!」と、わたしは珍念さんに注意する。
しばらく、風呂場のスズメガの幼虫を退治しようと奮闘する。
全裸で、寒い。
早くお湯に浸からないと、風邪をひく。
たけはインフルエンザだ。
ふと、脱衣場を見ると、珍念さんはやはり、椿の枝に洗濯物を干している。
チャドクガの幼虫はさっきよりも椿の葉を食い荒らし、枝先に蜘蛛の巣の塊のような巣をいくつも作っている。
「ちょっと!そこに干さないでって言ったよね!チャドクガの毒刺でかぶれるから!」わたしは激怒する。
珍念さんは、洗濯物を干す手を止めず、ニヤリと笑って言う。
「甲冑を干すな、と言われたから、甲冑は干してない。これは、甲冑じゃない。洗濯物です」
そこで、わたしを目覚めさせた、冒頭の叫び声に繋がる。
「あんまり、ふざけたこと言うんじゃねーよ!」
――目覚めたら、寒かった。
ここは、岩手。
外は、雪である。
こたつを引き寄せて、こたつに足を突っ込む。
わたしの叫び声で、隣室で寝ている城戸さんと桂子を起こしてしまったのではないか、と不安になる。
そして、寒い。
目覚まし時計を見ると、5時40分――、起きて、バスタオルを抱えて、内湯に――。
いま、温泉に浸かっています。
「あんまり、ふざけたこと言うんじゃねーよ!」
わたしは、声の大きさに驚いて、目を醒ました。
鎌倉の家の風呂の中に、スズメガのエメラルドグリーンの幼虫がたくさんいたのである。
わたしは全裸。右手にシャワーヘッド、左手にティッシュペーパーを握り、芋虫に熱湯を浴びせかけながら、ティッシュペーパーで死骸をつまみ取っている。
芋虫は、なかなか手強い。
熱湯に強い種類らしい。
振り向くと、珍念さんが脱衣場にある洗濯機から濡れた洗濯物を引き出しているところだった。
珍念さんは、脱衣場にある植木鉢の椿の枝に、洗濯物を干しはじめる。
椿の葉という葉には、チャドクガの幼虫が貼り付いているというのに――。
「そこに、洗濯物干しちゃダメ! チャドクガがいっぱい!」と、わたしは珍念さんに注意する。
しばらく、風呂場のスズメガの幼虫を退治しようと奮闘する。
全裸で、寒い。
早くお湯に浸からないと、風邪をひく。
たけはインフルエンザだ。
ふと、脱衣場を見ると、珍念さんはやはり、椿の枝に洗濯物を干している。
チャドクガの幼虫はさっきよりも椿の葉を食い荒らし、枝先に蜘蛛の巣の塊のような巣をいくつも作っている。
「ちょっと!そこに干さないでって言ったよね!チャドクガの毒刺でかぶれるから!」わたしは激怒する。
珍念さんは、洗濯物を干す手を止めず、ニヤリと笑って言う。
「甲冑を干すな、と言われたから、甲冑は干してない。これは、甲冑じゃない。洗濯物です」
そこで、わたしを目覚めさせた、冒頭の叫び声に繋がる。
「あんまり、ふざけたこと言うんじゃねーよ!」
――目覚めたら、寒かった。
ここは、岩手。
外は、雪である。
こたつを引き寄せて、こたつに足を突っ込む。
わたしの叫び声で、隣室で寝ている城戸さんと桂子を起こしてしまったのではないか、と不安になる。
そして、寒い。
目覚まし時計を見ると、5時40分――、起きて、バスタオルを抱えて、内湯に――。
いま、温泉に浸かっています。