シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

【萬物相】中国の歓待外交

2013年06月29日 10時10分18秒 | Weblog
韓国大手紙・朝鮮日報13年6月27記事抜粋
 2000年代初め、中国・北京駐在の韓国特派員たちが釣魚台の国賓館に招待された。武装警察が警護する正門を過ぎ、うっそうとした木々の間を抜けると、「四季庁」とも呼ばれる第18号楼に到着した。廊下には真っ赤なカーペットが敷き詰められ、高級な紅の木の家具や陶磁器、書画などが並べられていた。最高の調理師たちによる10品ほどの料理は、満腹になっても「もっと食べたい」と感じさせるようなものばかりだった。深いスリットの入ったチャイナ・ドレス姿の女性たちは、器に入った茶や酒が飲み干される前から次々と注いできた。その場にいた韓国人記者たちは「自分たちは丁重な接待を受けている」と誰もが自然に感じていた。
 北京の北西部にある釣魚台には、42万平方メートルの森の中に5万平方メートルの玉淵潭と呼ばれる湖がある。釣魚台という名称は、およそ900年前に金の皇帝の章宗(1168-1208)が土台を築き、釣りを楽しんだことに由来する。清の乾隆帝は玉泉山(現在の湖北省)の池の水を釣魚台にまで持ってこさせて湖を作り、行宮(皇帝の一時的な滞在場所)を建設して「釣魚台」という文字を扁額(へんがく)に直接書いた。その後しばらくは歴代皇帝の別荘の釣り堀として使用されていたが、1949年の共産革命で現在の政府が成立してからは、海外の元首たちが滞在する迎賓館として使用されるようになった。
 釣魚台にある16の建物はいずれも深い森の中にあり、ほかの建物に誰が滞在しているのか分からないようになっている。現場で働く職員たちも、滞在客を「○○号のお客さま」としか呼ばない。これらの別荘のうち最も景色が見事なのが第18号楼の「総統楼」だ。いわゆる「ピンポン外交」と呼ばれる卓球での交流をきっかけに中国を訪問した米国のニクソン大統領をはじめ、レーガン大統領、ブッシュ大統領、クリントン大統領といった歴代の米国大統領、英国のエリザベス女王にサッチャー首相、日本の今上天皇も宿泊したことがある。さらに韓国からは盧泰愚(ノ・テウ)大統領、金泳三(キム・ヨンサム)大統領、金大中(キム・デジュン)大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、李明博(イ・ミョンバク)大統領も宿泊した。北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席がトウ小平氏と会談し、金正日(キム・ジョンイル)総書記が1日宿泊したのもこの第18号楼だ。韓中国交正常化に向けた極秘接触もここで行われた。
 中国が海外の首脳をかつての皇帝の別荘に宿泊させ、最高の料理とサービスで歓迎する理由は、古くから伝わる外交手法の一つだ。かつての王朝時代、東アジアの中心的な国家だった中国は、周辺国から貢ぎ物を受け取り、それに対して恩賜を与え、その国の王に対して王になることを命じる「冊封」によって周辺国を管理してきた。中国の皇帝は各国からの使臣を常に手厚くもてなし、持ってきた貢ぎ物よりも多くの恩賜を持たせて帰らせた。これは使臣たちに自国に戻ってから中国を称賛するよう促す狙いがあったわけだ。唐の太宗は娘の文成公主を吐蕃(チベット)のソンツェン・ガンポ王のきさきとし、吐蕃を婿の国として扱った。
 韓中首脳会談のためきょう中国に向けて出発する朴槿恵(パク・クネ)大統領の宿泊先は、釣魚台の18号楼だ。朴大統領は2008年に大統領特使として中国を訪問したときもここに宿泊した。朴大統領を迎える中国も歓迎の熱気に包まれている。環球時報は「朴大統領は中国語を話すことができ、中国の歌『甜蜜蜜』を歌うこともできる」と紹介した。ただし、大きな歓迎を受けるのは確かに気分がよくありがたいことだが、外交の本質は歓迎を受けることとは別問題だ。どこに宿泊しどのような歓迎を受けたとしても、首脳外交で何らかの実質的な成果を手にしなければならないことは何も変わらない。
池海範(チ・ヘボム)論説委員





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