シニア花井の韓国余話

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【社説】白血病で死亡したサムスン労働者

2011年07月02日 20時01分30秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 11.6.24記事抜粋)
 サムスン電子半導体事業部に勤務し、白血病にかかって死亡した従業員の遺族が、勤労福祉公団を相手に起こした訴訟で、ソウル行政裁判所は6月23日、従業員の死亡を産業災害(日本の労災に相当)と認定し、補償金の支給を命じる判決を下した。2人はサムスン電子器興工場の半導体生産ラインで働いていたが、2006年と07年にそれぞれ白血病で死亡した。裁判所は「2人の白血病発病の経緯が医学的に明らかにされていなくとも、事業場で勤務する間に、各種の有害化学物質などにさらされ続けて発病したか、少なくとも発病が促進されたと推定できる」と判断した。これに先立ち、勤労福祉公団は09年5月、2人の死亡は労災とは認められないという決定を下し、遺族が昨年1月に訴訟を起こしていた。
 がんを引き起こす要因は、化学物質のほかにも放射線・ウイルス・紫外線など非常に多い。加えて、がん細胞が発生しても、症状が現れるまでに数年かかるため、がんの発病原因を特定して究明するのは極めて難しい。産業災害関連団体では「職業がんにかかる労働者は年間6000人以上いるが、労災と認定されるケースは10人にも満たない」と主張している。
 今回の裁判で、サムスン側がソウル大学産学協力団に作業環境の測定を依頼した結果、半導体の製造工程で90種類以上の化学物質が使用されていたことが分かった。洗浄の過程で10種類の化学物質が使用され、その中には世界保健機関(WHO)の傘下にある国際がん研究機関(IARC)が発がん性物質に指定した物質も含まれており、白血病の危険因子といわれるベンゼンが検出された場所もあったという。
 サムスン電子は、韓国を代表するグローバル企業だ。死亡した労働者に対する被害補償も問題だが、4万5000人の現場労働者たちが毎日白血病を心配しながら出勤すれば、生産性にも悪影響を及ぼす。裁判所の判決を契機として、会社が自ら有害化学物質の使用を最大限抑制し、作業場内には徹底的に換気設備を設置しなければならない。特に、半導体の製造工程で使用される化学物質が労働者の健康にいかなる影響を及ぼすのか調査し、対策を講じ、労働者が長時間有害化学物質にさらされないよう交代時間を調整するなど、作業環境を改善すべきだ。
 勤労福祉公団も、微量の有害物質による労働者の健康被害を積極的に認定する態度を持つ必要がある。それが、病気で窮地に立つ労働者とその家族の生計や再起を支援するという、産業災害補償保険法の本来の趣旨を生かす姿勢だ。





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