シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

中国に大気汚染対策を求める前に韓国がやるべきこと【コラム】 

2016年04月29日 07時07分07秒 | Weblog

ソウルの大通り(投稿者撮影)

「砂の暴風(黄砂)が吹いて空が突然真っ黒になりました。黒風と狂風がこの村を突然覆いました」
 先週末に韓半島(朝鮮半島)を襲った黄砂を取材していると、2007年に中国の内モンゴル自治区で黄砂が実際に発生する様子を取材した時のことが思い出された。当時、現地に住んでいたある女性は「黒い風、狂った風」などと身震いしながら何度も叫んでいた。黄砂の発源地では紙やすりで顔を引っかかれるように感じるほど砂嵐が激しく、空は黄色ではなく真っ黒になるという事実を、記者はこの時に初めて知った。日本人であれば誰もが一生の間、地震に対する恐怖心を抱きながら生活するのと同じように、この地の中国人にとって数千年前から続く黄砂への恐怖心は、文字通り遺伝子に刻み込まれているのではないかと思ったほどだ。
 1990年代以降、中国で社会主義市場経済体制が本格化すると、中国人が大気汚染に対して抱いてきた恐怖心はより一層強くなったかもしれない。また最近は黄砂に加えて1億7200万台(2015年)に達する自動車、数多くの工場、火力発電所などから排出される窒素酸化物などさまざまな大気汚染物質も加わっている。米国バークレー大学の研究チームは昨年「中国国内における年間の死亡者のうち、17%に当たる160万人は大気汚染が原因」とする研究結果を発表した。この研究チームは北京の空気を「殺人空気」と表現した。
 われわれにとって深刻な問題は、中国の大気汚染が韓国にも大きな影響を及ぼしている点にある。非常に濃度の高い大気汚染物質が発生すると、呼吸をするだけでも寿命が縮まるそうだ。ちなみに環境部(省)の推測によると、大気汚染の50-70%は中国ではなく韓国国内で発生しているという。とりわけ子供は体重当たりの呼吸量が大人の数倍に達するため危険度が高く、また高齢者や妊婦、病気で体が弱っている人にとってもその心配や不安、さらにそれに伴うストレスは非常に大きくなっているはずだ。そのため韓国政府として中国に大気汚染対策を求めるのは当然のことだろう。しかし韓国側も中国を一方的に責め立てる資格があるかどうか疑問だ。なぜなら中国政府による大気汚染対策はすでに韓国よりも優れており、それはさまざまな方面で実際に見受けられるからだ。例えば自動車の排ガス対策でも、北京をはじめとする主要都市では、韓国政府が何年も前から「実行する」と口では言いながら、実際に取り組んでいないナンバープレートによる走行規制がすでに行われている。韓国政府にとっては夢の中でも考えられない自動車の購入制限も、1994年に上海で初めて導入されてから徐々に拡大し、今も強化が進んでいる。実際に北京ではこれまで年間24万台だった新規の登録台数が2014年以降は15万台にまで減り、深セン市に至っては50万台から10万台にまで一気に減少した。電気自動車をはじめとするエコカーの割合も、すでに中国は韓国の10倍以上に達している。 韓国、中国、日本の3カ国の環境閣僚による会議が4月26日から日本の静岡県で開催された。議題の中にはPM(粒子状物質)2.5対策も含まれている。もし中国の陳吉寧環境保護相が韓国に対し「韓国はどのような大気汚染対策に取り組んでいるのか」と尋ねた場合、韓国環境部(省)の尹成奎長官はどう説明するのか気になるところだ。車の走行制限、ディーゼル車の都心での走行制限といった規制は口だけではなく、手遅れになる前に一日も早く実行に移すべきではないか。
朴恩鎬(パク・ウンホ)社会政策部次長
韓国大手新聞 朝鮮日報16年4月28日記事抜粋


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