シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

MERSパニック、情報公開で国民不安を解消せよ【社説】 

2015年06月06日 09時34分36秒 | Weblog
中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染拡大に対する不安と恐怖が韓国全土に広まっている。全国の幼稚園や学校ではすでに700カ所以上が臨時休校となり、映画館やデパートでは閑古鳥が鳴いている。また不特定多数が集まるイベントも次々と開催がキャンセルされ、体調不良を感じつつも病院に行かない患者も増えている。国のずさんな対応が原因で、国民全体がまさにパニック状態にあると言っても過言ではない。
 ところが医療分野の専門家たちは「MERSの危険性が誇張されている」と指摘している。例えば致死率が40%を上回るとされている根拠だが、これは患者数が最も多いサウジアラビアにおいて、ここ3年間に1016人が発病し、うち43%に当たる447人が死亡したという統計に基づいたものだ。しかしこれについてドイツの研究チームがサウジアラビアの国民1万人のサンプルを調査したところ「実際の致死率は10%前後」とすでに発表している。またワクチンや治療薬が開発されていない点も恐怖心をあおる原因となっているが、これについても専門家は「肺炎治療に準じて治療を行えば、その効果は十分に見られる」と主張している。実際に今回発病した患者のうち数人は、すでに完治段階にあるようだ。
 だとすれば不安が高まる原因は実は別のところにあるわけだが、それは要するに国が初期段階での対応に失敗し、国民の信頼を失ってしまったことに他ならない。保健福祉部(省)や疾病管理本部は「MERSの感染力は弱い」と何度も説明してきたが、実際は各地で3次感染者が確認されている。そのため国民は「国はMERSのリスクを大したことがないようにと思わせようとしている」などと不信を抱くようになった。また患者の発生した病院が公表されていないことについても「国は病院の利益を最優先に考えており、国民が危険にさらされるリスクからは顔を背けている」といった不満の声が出ている。このような状況が続くようでは、実際は非常に小さなリスクであるにもかかわらず、かつて政権の存立まで脅かした狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)問題と同じ轍(てつ)を踏むような事態を招きかねない。
 政府は3日、遅きに失した感はあるが、大統領府で民間の専門家も出席させた対策会議を開催し「官民合同タスクフォース(特別チーム)」を立ち上げた。また民間の専門家らは翌4日、28人の感染者が出た首都圏のある病院について「最初の感染者が入院した5月15日以降、少しでも病院にいた全ての外来患者と訪問者全員を追跡し検査を行ってはどうか」と国に提案した。これは簡単なことではないが、このような特段の措置を取る姿勢を国民の前に示すこともある意味必要だ。
 さらにできる限り多くの情報を公開し、民間人を意思決定に直接参加させ、共に対策を練っていけば、国の感染対策に対する国民の信頼も取り戻すことができるはずだ。そうなれば国民の間に広まる際限のない恐怖も収まり、国が打ち出した指針や呼び掛けを地方自治体、医療機関、さらには国民も受け入れるようになるだろう。今となっては手遅れかもしれないが、それでもこれらを実行に移すことこそが正道だ。
韓国大手新聞 朝鮮日報15年6月5日記事抜粋



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。