シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

「実に痛快」 三谷幸喜ミュージカル

2015年12月28日 08時30分12秒 | Weblog
三谷幸喜原作『オケピ!』
実に痛快な「ミュージカルを風刺したミュージカル」
 「私、ミュージカルって本当にイヤ! なんで突然歌出すの? セリフで簡単にやれば30分で終わるような、なんでもない話じゃない」「踊らないで歩いていけば30秒で行けるのに」…。まったくこの世の中でミュージカルという公演形式そのものをこれほど容赦なくたたき、風刺するなんて一体これは何なんだ? それは今年の年末年始に上演される大型ミュージカルの中で唯一の新作『オケピ!』(三谷幸喜原作、ファン・ジョンミン演出)だ。
 今年、主演映画『国際市場で逢いましょう』と『ベテラン』で観客2000万人を動員した俳優ファン・ジョンミンが最も関心を持っていたのが実はミュージカルだった。制作は妻で公演企画会社SEMカンパニー代表のキム・ミヘ。演出は自身が手がけ、さらに主演のコンダクター役(オ・マンソクとのダブルキャスト)まで引き受けた。しかし、『笑の大学』など知的でありながらも冷笑的な喜劇で有名な日本の人気脚本家・三谷幸喜はミュージカルでも実力を発揮できるのだろうか? 人気俳優チョ・スンウの出演が白紙化されたのも不安要素だった。
 先週末、ついに幕を開けたこのミュージカル作品は、一言で言えば毎回ほぼ同じメニューで食傷気味だったミュージカルというコース料理に登場した、思いがけない珍味だった。そうだ。ミュージカルだからといって、壮大なファンタジーや摩訶不思議なストーリーでなければならないと誰が決めたと言うのか。『オケピ!』とは、「オーケストラ・ピット」、つまりステージの下でオーケストラが演奏するために設けられた空間の日本式の略語で、華やかなミュージカル公演でもスポットライトを浴びることのない場所のことだ。『オケピ!』はそのファンタジックとは言えない、平凡でそれぞれの事情を抱える人々の物語だ。
コンダクターと12人の奏者にはアンサンブル(助演俳優)がおらず、その全員が自分の物語の主人公になっている。見えっ張りのコンダクターは妻のヴァイオリン(チェ・ウリ)と別居中で、ハープ(リナ)のことが気になってアプローチしている。ヴァイオリンは新恋人のトランペット(チェ・ジェウン)と別れたことを隠している。ピアノ(ムン・ソンヒョク)は譜面が複雑だと演奏する「振り」だけし、無愛想なオーボエ(キム・テムン)は昔別れた娘との再会に胸を焦がしている。これらの物語が終盤にすべて一つになり、壮大な結末を迎える…のかと思っていたら大きな間違いだ。それぞれのエピソードは劇中のミュージカルが終わるとそのままストップする。まるで人々のリアルな日常のように。
 最初の歌が開演から15分後に登場するほどセリフが多いが、ミュージカルらしく挿入歌もなかなか魅力的だ。クラシック、ジャズ、ヒップホップ、バラードから古典的なミュージカルソング、唱歌風の歌まで広いジャンルにわたり登場するが、さらに興味深いのは歌詞だ。「猫が2本足で歩き回り」(キャッツ)、「仮面をかぶり女に歌わせて」(オペラ座の怪人)、「注射をしたら急に性格が変わった」(ジキル&ハイド)など、有名ミュージカルをパロディーにして、「ミュージカルは第1幕が終わったら帰ってもいい。第2幕は別にこれといった内容がないから」というセリフに至っては、腹を抱えて笑うしかない。今年初演されたライセンス・ミュージカルの中で最も優れた作品が、年末にやっと幕を開けた。 公演はソウル市内のLGアートセンターで16年2月28日まで。
兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報15年12月27日記事抜粋

【投稿者からご案内】  少人数のソウル観光をお手伝いします。
韓国との付合い40年以上の、ソウル定住の日本人(投稿者/60歳台)がお手伝いします。
一般の観光案内だけでなく、韓国の歴史・文化、日韓の習慣・文化の違いもお話し致します。
大人目線でソウルを同行案内いたします。 人数は1名から5、6名位までの少人数が希望です。
その他、韓国の知りたいことのお問合せもメールで応じます。
お気軽にご連絡ください。  メール:sisayoshida@yahoo.co.jp  (吉田)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。