シニア花井の韓国余話

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内需と輸出に黄信号、韓国経済に異変

2014年05月12日 08時00分31秒 | Weblog
韓国大手新聞 朝鮮日報14年5月8日記事抜粋
 「何としてでも営業は続けようと全力を挙げている」
 ソウル市永登浦区で中学・高校生向けの現場研修を専門に扱うK旅行社は、旅客船「セウォル号」沈没事故で倒産の危機に追い込まれた。受注した修学旅行7件だけでなく、首都圏一帯での日帰り研修約50件にキャンセルが相次いだためだ。結局従業員6人のうち4人が会社を去った。
 同社関係者は「5月は書き入れ時で、1億ウォン(約990万円)以上の収益を予想していたが、全て吹き飛んだ。10年以上旅行会社を営んでいるが、こんな苦境は初めてだ」と漏らした。
 K旅行社のように5月の需要を期待していた旅行業界は、セウォル号事故の直撃を受けている。旅行業界の関係者は「セウォル号事故までは日帰りのバス貸切料金が40万ウォン(約3万9500円)を超えていたが、現在は半額の20万ウォン(約1万9800円)になった」と嘆いた。
 セウォル号事故で旅行、宿泊、飲食業をはじめとする内需業種が影響を受ける中、ウォン高で輸出にも影が差している。経済をけん引する輸出と内需が同時に衝撃を受けている格好だ。
 5月8日のソウル外国為替市場では、ウォン相場が一時1ドル=1021ウォンまで上昇し、取引時間中としては2008年8月8日(1017.50ウォン)以来5年9カ月ぶりのウォン高水準となった。4月9日に1050ウォンを割り込んで以降、約3%のウォン高が進み、輸出企業を苦しめている。
 現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「内需と輸出が同時に悪化すれば、今年の成長率は予想に比べ大きく落ち込む可能性がある。為替問題には対応が難しく、内需活性化に向けた景気浮揚策が求められる」と指摘した。
■セウォル号事故の後遺症
 セウォル号事故の余波で消費が落ち込んでいることを示す端的な証拠は、クレジットカード利用額の減少だ。セウォル号沈没事故が起きた4月16日から同月末までのクレジットカード7社(新韓・サムスン・KB国民・現代・ロッテ・ウリ・ハナSK)の決済額(1回払い・分割払いの合計)は1日平均9701億ウォン(約958億円)で、前月の同じ時期に比べ5%減少した。特に風俗店、飲食、レジャーなどで落ち込みが目立った。
 韓国金融研究院は8日、セウォル号事故で今年の民間消費が1兆ウォン(約990億円)減り、内需低迷で経済成長率が0.1ポイント押し下げられると予測した。その上で、最大で成長率は0.3ポイント押し下げられる可能性があるとした。
 同院のパク・ソンウク・マクロ経済金融研究室長は「セウォル号とは逆に消費拡大要素となるサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会、仁川アジア大会などの影響も考慮した数値だ」と説明した。
 金融研究院によると、セウォル号事故で第2四半期(4-6月)の消費心理が低迷し、今年の成長率は当初予想(4.2%)を0.1ポイント下回る4.1%にとどまる見通しだ。成長率低下分の80%は、セウォル号事故の直接・間接の影響による消費低迷によるものだ。特に衣料、靴、かばんなど準耐久財、酒類、たばこ、食品、外食、娯楽、観光など短期的消費で大幅な減少が見込まれている。
 実際は状況がさらに悪化する可能性もある。成長率が0.1ポイント低下するとの予想は、セウォル号事故による消費低迷が第2四半期に限られ、第3四半期(7-9月)からは回復するとの前提に基づくものだ。仮に第3四半期にも民間消費の低迷が続けば、成長率は3.9%まで落ち込むとの予想が示された。
■構造的ウォン高、政策的対応困難
 サムスン電子と現代・起亜自動車は今年、年平均のウォン相場を1ドル=1050ウォンと予想し、事業計画を立てたが、全面的な見直しが避けられなくなった。現代自動車と起亜自動車は、ウォン相場が10ウォン上昇すると、それぞれ1200億ウォン(約119億円)、800億ウォン(約79億円)の減益要因となる。中小企業はさらに状況が深刻だ。中小企業中央会が昨年12月、輸出企業101社を対象に実施した調査によると、中小企業が損益分岐点とするウォン相場は1066.86ウォンだった。
 最近加速しているウォン高は、一時的な要因によるものではなく、構造的なものであり、相当期間続く可能性が高い。25カ月連続で経常黒字を計上し、輸出で稼いだドル資金がだぶついている上、米連邦準備制度理事会(FRB)が当面金融緩和を維持する可能性が高まり、世界的にドル安が進んでいるからだ。
 このため、市場では為替当局による介入も難しいとの見方が支配的だ。主要投資銀行24行による今年第4四半期(10-12月)のウォン相場予測値は、先月初めの1060ウォンから最近は1045ウォンまで上昇した。
 ウォン相場が1000ウォンを割り込むとの予想も示されている。スイス系金融大手UBSは8日、韓国の経常黒字が続き、ウォン高傾向を示し、年内にウォン相場が975ウォンまで上昇する可能性があると指摘した。日系の三菱東京UFJ銀行も第4四半期時点のウォン相場を975ウォンと予想した。
 為替当局の関係者は「ウォン相場が最近数日で急激に上昇した背景には、投機勢力の存在があるとみている。手をこまぬいてはいない」と述べた。同関係者はまた「ウォン相場が1000ウォン以下まで上昇した場合、輸出などに相当の影響を与えるとみて、それに備えている」と付け加えた。
李陳錫(イ・ジンソク)記者





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