シニア花井の韓国余話

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パン屋の新規出店制限、2位業者の店舗が大幅増

2012年12月04日 00時20分30秒 | Weblog
韓国大手紙・朝鮮日報12年12月2日記事抜粋
既存店舗の利益を守るため
同一ブランドの新規店、半径500メートル以内は出店禁止
 昨年退職したキム・ヒソクさん(57)は、退職金と預金を使ってソウル市の江北地域に「パリ・バゲット」というパン屋をオープンする予定だったが、最近になって諦めた。
 キムさんは最初、パリ・バゲットの本社に新規店舗の出店について問い合わせた。すると本社からは「公正取引委員会が4月から既存の店舗の半径500メートル以内に新規店舗を出店することを禁止したため、希望する場所には新たに店を出すことができない」という回答が返ってきた。これを受け、キムさんは売りに出されているパリ・バゲットの店舗を探すことにし、立地条件のいい物件を見つけた。ところが元のオーナーが権利金として1億4000万ウォン(約1060万円)も要求してきた。流動人口の少ない地域であるにもかかわらず、権利金が高かったのだ。キムさんは不動産仲介業者から「元のオーナーは4年前に権利金として2000万ウォン(約150万円)を支払ったが、その7倍の額を要求している。政府の規制のために新たな店舗をオープンできなくなったため、既存の店舗の価値が高騰したことで生じた現象」という説明を聞いた。キムさんは結局、パン屋のオーナーになるという夢を捨て、他の事業を模索している。
■加盟店オーナー、店舗売却時に権利金を引き上げ
 公正取引委員会が相次いで「既存の店舗の半径500メートル以内に同じブランドの新規店舗の出店を禁止」する基準を導入している。今年4月のパン屋を皮切りに、5月にはピザ屋、フライドチキン、11月21日にはコーヒー専門店にも同じような基準が適用された。公取委は年内にコンビニにも同じ基準を適用する予定だ。公取委は、同じ商圏に同じブランドのフランチャイズがいくつも乱立することを防ぎ、既存の加盟店オーナーの利益を保護すると同時に、大型フランチャイズが商圏の全てを支配するようになる現象を阻むために、このような基準を導入した。
 ところで予想だにしなかった現象が起こっている。製パン業界2位の「トゥレジュール」がこの規制のおかげで利益を得ているのも、その一つだ。業界によると、新たに創業するオーナーは、ほとんどが1位の業者の門からたたく。一定の収益が保障されると信じているためだ。ところが公取委が規制を始めて以来、1位業者の看板を付けて新たに創業することはほとんど不可能になった。昨年末時点で、全国のパリ・バゲットの加盟店数は3095店舗に上る。
 しかし、2位のトゥレジュールは多少状況が違う。業界の関係者は「トゥレジュールの加盟店舗数は昨年末時点で1281店舗とパリ・バゲットの半数にも至らず、新たな基準の適用後も新店舗を出店できる場所が多い。パリ・バゲットとして出店しようと思っていたオーナーがトゥレジュールに変更するケースが増えている」と説明した。
■2位の業者が躍進
 実際に規制開始以降、トゥレジュールの新規出店数はパリ・バゲットを大きく上回っている。規制される前の1-4月には、パリ・バゲットの新規出店数が40店舗で、トゥレジュールの36店舗よりも多かったが、5-10月にはトゥレジュールが72店舗と、パリ・バゲットの30店舗を大幅に上回った。これをめぐって業界からは「公取委が中小企業の神話を破壊し、大企業の系列会社を生かそうとしている」と批判する声も上がっている。トゥレジュールがCJグループの系列会社であるのに対し、パリ・バゲットは中小企業として出発した中堅企業だからだ。
■規制の趣旨に反発の声も
 結局同じ地域内に多くの加盟店を重複して出店できないようにし、加盟店のオーナーの被害を防ごうとした規制の趣旨に反発する声も上がっている。従来のパリ・バゲットの半径500メートル以内に新たなパリ・バゲットだけが参入できず、トゥレジュールのような他のブランドはいくらでも参入できるためだ。すぐ横にオープンしても何ら問題にはならない。
 最近ソウル市の江北地域にトゥレジュールを新たにオープンしたイ・ミンギさん(45)さんは「最初はパリ・バゲットを開きたかったが、仕方なくトゥレジュールを選択した。パリ・バゲットの顧客の目に付きやすくするために、パリ・バゲットの近くにオープンしたが、思ったよりも売り上げが伸びず、パリ・バゲットのオーナーの冷たい視線を浴びるなど、今では後悔している」と話した。こうした状況について、パリ・バゲットの関係者は「流動人口を基準にすれば、既存の加盟店に損害を与えることなく新たに出店できる場所がまだ残っているにもかかわらず、公取委が全ての基準を距離だけで設けたため、新規出店ができなくなってしまった」と話す。
 これに対し、トゥレジュールの関係者は「われわれも公取委の規制を受けることには変わりない」とした上で「行き過ぎた店舗拡大を慎みながら引き続き成長しようという方針を維持しているだけで、この規制によって利益を得ているわけではない」と反発する。
 公取委は「新たな基準が施行されたばかりであり、評価するには早過ぎる」との立場だ。公取委の関係者は「既存の加盟店オーナーの利益が深刻に侵害されるのを阻む基盤が整ったという点が何よりも重要だ。競争激化の緩和など基準導入の効果は、時間がたてば徐々に見えてくるはずだ」と付け加えた。





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