自動車運転者は横断歩道に気をつけよう

2019-12-30 23:49:20 | 交通・保険法
【例題】Xが自家用車を運転して車道を走行していたところ、進路前方にある横断歩道に差し掛かった。

 

[法律上の横断歩道の位置付け]

・車両等が横断歩道や自転車横断帯に差し掛かった際(法文上は「接近する場合」)、次の行動が求められる(道路交通法38条1項)。

[a]横断しようとする歩行者等がないことが明らかな場合;そのまま通過してもOK。

[b]横断しようとする歩行者等がいるかもしれない場合;徐行まで減速する。

[c]横断中or横断しようとする歩行者等がいる場合;横断歩道手前で一時停止し、かつ、歩行者等の通行を妨害してはならない。

・刑事罰;38条違反は反則行為(反則金6千~1万2千円)となり(→関連記事;交通違反に対するサンクション(その2):交通反則通告制度)、反則金不納付によって刑事罰の対象となる(道路交通法119条1項2号;懲役~3月/罰金~5万円)。

・行政上のサンクション;38条違反は一般違反行為(基礎点数2点)ともなる(→関連記事;交通違反に対するサンクション(その1):点数制度)

・民事上の責任割合;車両と横断歩道上の歩行者とが接触した場合、歩行者側の過失相殺率は0%となるのが原則である。

 

[実情]

JAFによる2019年の調査によると、横断歩道直前での一時停止義務が課せられる状況下で一時停止した車両は17.1%(全国平均)に止まる。

・道路交通法38条の規定は、警察実務や裁判実務で用いられているので「妥当性(validity)」をもつ。もっとも、8割を超えるドライバーがそれを遵守していない現実は「実効性(efficacy)」が薄いと表現されよう。□瀧川ほか〔宇佐美〕192,198,211-2

 

瀧川裕英・宇佐美誠・大屋雄裕『法哲学』[2014]

コメント    この記事についてブログを書く
« 離婚の準拠法と裁判管轄 | トップ | 刑事実体法における「写真コ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

交通・保険法」カテゴリの最新記事