弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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まずは戒告処分をしてみて反省の色が見られないようなら同じ事実を理由として懲戒解雇したい。

2013-08-16 | 日記
まずは戒告処分をしてみて,反省の色が見られないようなら,同じ事実を理由として懲戒解雇したいのですが,問題ないでしょうか?

 懲戒処分の有効性は,一事不再理の原則を考慮して判断されるため,懲戒処分を行った事実と同一の事実について,懲戒解雇することはできないことを前提として,どのような懲戒処分に処するのかを決定する必要があります。
 反省しているかどうかは,懲戒処分を判断する際の事情として考慮すべきものです。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇した場合には無効となるリスクがそれなりに高い場合

2013-08-14 | 日記
懲戒解雇したい事案において,普通解雇すれば有効となりそうなのですが,懲戒解雇した場合には無効となるリスクがそれなりに高い場合,どのように解雇すればいいでしょうか?

 普通解雇すれば有効となりそうなものの,懲戒解雇した場合は無効となるリスクがそれなりに高い場合は,使用者としては,懲戒解雇と合わせて普通解雇の意思表示も明示的にしておくべきでしょう。
 当初,懲戒解雇のみを行ってしまったが,訴訟の審理が進むにつれ,懲戒解雇としては無効となる可能性が高いことが判明したような場合も,事後的に普通解雇の意思表示をしておくべきです。
 懲戒解雇としては無効となる可能性が高い事案であれば,本当にそこまで懲戒解雇にこだわるべきなのかどうかという話自体,再検討が必要となるかもしれません。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇通知と普通解雇の意思表示

2013-08-14 | 日記
懲戒解雇を通知した場合に,懲戒解雇の意思表示は,同時に普通解雇の意思表示でもあるという主張は認められますか。

 この問題は,結局のところ,当該解雇の意思表示の解釈(事実認定)の問題であり,事案ごとに検討するほかありません。
 懲戒解雇のみを行ったことが明らかな場合は,普通解雇であれば有効な事案であっても,懲戒解雇の意思表示が同時に普通解雇の意思表示でもあるという主張は認められません。
 裁判例の中には「使用者が,懲戒解雇の要件は満たさないとしても,当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており,懲戒解雇に至る経過に照らして,使用者が懲戒解雇の意思表示に,予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には,懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されていると認めることができる」とするもの(岡田運送事件東京地裁平成14年4月24日判決)もありますが,「使用者が懲戒解雇の意思表示に,予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合」を広く考えることはできません。
 解雇する時点で,普通解雇にするのか,懲戒解雇にするのか,その理由はどのようなものなのかを明確にしておくべきであり,懲戒解雇とともに普通解雇も合わせて行うのであれば,解雇通知書にその旨明記しておくべきでしょう。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為

2013-08-14 | 日記
懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合,懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることはできますか?

 懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合,懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることができるかどうかに関し,山口観光事件最高裁第一小法廷平成8年9月26日判決(労判708号31頁)が以下のように判示してますので,懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為は,「特段の事情のない限り,」懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできません。
 「使用者が労働者に対して行う懲戒は,労働者の企業秩序違反行為を理由として,一種の秩序罰を課するものであるから,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情のない限り,当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである。」
 「これを本件についてみるに,原審の適法に確定したところによれば,本件懲戒解雇は,被上告人が休暇を請求したことやその際の応接態度等を理由としてされたものであって,本件懲戒解雇当時,上告人において,被上告人の年齢詐称の事実を認識していなかったというのであるから,右年齢詐称をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできない。」

 懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合は,
① 山口観光事件最高裁平成8年9月26日判決のいう特段の事情があるかどうか
② 過去に行った普通解雇の理由に追加するかどうか
③ 当初の懲戒解雇とは別途,予備的解雇をする場合の懲戒解雇又は普通解雇の理由とするか
等について検討していくことになります。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇した時点では把握できていなかった懲戒解雇事由に該当する事実

2013-08-14 | 日記
懲戒解雇した時点では把握できていなかった懲戒解雇事由に該当する事実が新たに判明した場合,懲戒解雇の理由に追加することはできますか?

 山口観光事件最高裁平成8年9月26日判決が,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものであり,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情ない限り,当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないと判示していますので,懲戒事由は,特段の事情がない限り追加することはできません。
 懲戒解雇事由に該当する事実が新たに判明した場合は,
① 山口観光事件最高裁平成8年9月26日判決のいう特段の事情があるかどうか
② 過去に行った普通解雇の理由に追加するかどうか
③ 当初の懲戒解雇とは別途,予備的解雇をする場合の懲戒解雇又は普通解雇の理由とするか
等について検討していくことになります。

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弁護士 藤田 進太郎

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就業規則に懲戒解雇事由が定められていない場合の懲戒解雇

2013-08-14 | 日記
労働者が重大な企業秩序違反行為を行った場合であっても,就業規則に懲戒解雇事由が定められていなければ,懲戒解雇することはできないのですか?

 フジ興産事件最高裁平成15年10月10日判決が「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」と判示していることからすれば,就業規則に懲戒解雇事由を定め,就業規則を周知(従業員が就業規則の存在や内容を知ろうと思えばいつでも知ることができるようにしておくこと。)させておかなければ,労働者が重大な企業秩序違反行為を行った場合であっても,通常は懲戒解雇することはできないと考えられます。
 もっとも,フジ興産事件最高裁平成15年10月10日判決は,過半数労働組合との労働協約で懲戒解雇事由が定められていて当該労働者に労働協約の効力が及んでいる場合や,個別労働契約において懲戒解雇事由が定められているような場合であっても懲戒解雇することができないとまでは言っておらず,これらの場合に懲戒解雇することができないと考えるべき理由もありませんので,私見ではこれらの場合にも懲戒解雇することができるものと考えています。
 私見によっても,就業規則に懲戒解雇事由が定められて周知されておらず,過半数労働組合との労働協約で懲戒解雇事由が定められていて当該労働者に労働協約の効力が及んでいる場合でもなく,個別労働契約において懲戒解雇事由が定められてもいない場合には,労働者が重大な企業秩序違反行為を行った場合であっても,懲戒解雇することはできないことになります。

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弁護士 藤田 進太郎

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パワハラ

2013-08-13 | 日記
パワハラ

 パワハラに関する紛争は近年増加傾向にあり,会社を経営していく上で,パワハラ対策は避けては通れない問題です。
 弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)は,パワハラに関する紛争を数多く取り扱ってきました。
 パワハラの対策,パワハラに関する紛争の対応は,弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)にご相談下さい。

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代表弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇を行おうとする場合に最低限必要な条件

2013-08-13 | 日記
懲戒解雇を行おうとする場合に最低限必要な条件を教えて下さい。

 労働者は,労働契約を締結することにより当然に企業秩序遵守義務を負いますが,フジ興産事件最高裁平成15年10月10日判決が「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」と判示していることもあり,懲戒解雇を行おうとする場合には,その前提として,就業規則に懲戒解雇事由を明確に規定した上で,就業規則を周知(従業員が就業規則の存在や内容を知ろうと思えばいつでも知ることができるようにしておくこと。)させておく必要があります。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇の有効性を判断する際の検討項目

2013-08-13 | 日記
懲戒解雇の有効性を判断する際の検討項目を教えて下さい。

 懲戒解雇の有効性を判断する際には,
① 就業規則の懲戒解雇事由に該当するか
② 懲戒権濫用(労契法15条)に当たらないか
③ 解雇予告制度(労基法20条)を遵守しているか
④ 解雇が禁止されている場合に該当しないか
等の項目を検討する必要があります。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇の根拠条文

2013-08-13 | 日記
懲戒解雇の根拠条文はありますか?

 懲戒解雇は使用者の懲戒権の発動による解雇であり,普通解雇とは性質が大きく異なります。
 したがって,私見では,民法627条はあくまでの普通解雇に関する根拠条文であって懲戒解雇の根拠条文ではなく,懲戒解雇には直接の根拠条文はないと考えています。

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弁護士 藤田 進太郎

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懲戒解雇とは

2013-08-13 | 日記
懲戒解雇とはどのような解雇のことをいうのですか?

 懲戒解雇とは,使用者が有する懲戒権の発動により,一種の制裁罰として,企業秩序に違反した労働者に対し行われる解雇をいいます。

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弁護士 藤田 進太郎

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整理解雇に臨むスタンス

2013-08-12 | 日記
整理解雇に臨むスタンスとしては,どのように考えていますか?

 使用者が労働者に対して人員削減の必要性を丁寧に説明し,退職の条件についてそれなりに配慮したような場合は,労働者が早期退職募集や退職勧奨(合意退職)に応じてくれることも多く,整理解雇する必要性がある人数が大幅に減ることも珍しくありません。
 私としては,丁寧な説明・退職条件の提示により,労働者の同意を得た上で退職してもらうことを中心に考えるべきであり,整理解雇は,使用者が誠意を持って丁寧に説明・交渉しても話の通じない労働者に限定して,例外的に行うべきものであると考えています。

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弁護士 藤田 進太郎


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手続の相当性

2013-08-12 | 日記
④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 労働協約で整理解雇に先立ち労働組合と協議する義務が規定されているような場合は,労働組合と協議せずに行った整理解雇は原則として無効となります。
 事前協議義務を定める労働協約がない場合であっても,裁判所は,使用者は労働者に対して整理解雇の必要性と時期・規模・方法について説明を行った上で,誠意を持って協議すべき信義則上の義務を負うと考える傾向にあります。
 要するに,使用者が労働者の理解を得るための努力をどれだけしたのかが問題となるわけですが,説明に十分な時間をかけず,資料の提示を行わず,抽象的な説明に終始したような場合には,この要素を満たさないと判断されることになります。
 会社の財務状況が極めて悪く,早期退職募集整理解雇による退職自体は不可避であったとしても,労働者に対して人員削減が必要な理由と時期・規模・方法についての説明をすることはできるはずですから,誠実に説明する努力を尽くすべきでしょう。

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弁護士 藤田 進太郎

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人選の合理性

2013-08-12 | 日記
③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ③人選の合理性に関しては,人選基準そのものの合理性と実際のあてはめの合理性を検討する必要があり,その基準は使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。
 人選基準を設けなかった場合や客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇がなされた場合は,③人選の合理性を欠くと判断されるリスクが高くなります。
 したがって,まずは客観的で合理的な人選基準の設定を行い,人選基準に基づいて整理解雇の対象となる労働者を選定して,後日,訴訟になった場合には,客観的で合理的な人選基準に基づいて整理解雇を行ったことを説明できるようにしておく必要があります。
 人選基準の設定を行わずに整理解雇し,紛争が表面化してから後付けで人選基準を考えるというのでは,訴訟の見通しは暗いと言わざるを得ません。

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弁護士 藤田 進太郎

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解雇回避努力

2013-08-09 | 日記
②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ②解雇回避努力として,使用者は,整理解雇を行うに先立ち,希望退職の募集,配転,出向,一時帰休などの他の手段によって整理解雇回避の努力をする信義則上の義務を負うと考えられており,他の手段を十分に検討せずにいきなり整理解雇を行った場合,解雇権の濫用と判断されるリスクが高くなります。
 この要素が否定された事案では,そもそも解雇回避措置の検討すらされていない事案が多いので,使用者としては,たとえ人員削減の必要性がそれなりに高い事案であっても,整理解雇を回避する努力をする必要があるケースが多いということを,まずは理解する必要があります。
 整理解雇を回避する検討すらせずに整理解雇し,紛争が表面化してから後付けで解雇回避努力の説明をしたのでは,訴訟の見通しは暗いと言わざるを得ません。

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弁護士 藤田 進太郎

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