楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

畦地梅太郎の山男。

2008-04-28 00:32:55 | 買いもの。
いつも週末にやってくるクリーニング屋に洗濯物をお願いしていると、宅急便の配達の知らせるチャイムが鳴った。慌てて洗濯物を渡していると小さな包みを持った配達員がやってきた。「貴重品・ワレモノ注意」と書かれた包みの中身が何かは分かっているから、早速、包みを持って荷物が届いたことを相方に伝えると、やはり到着を心待ちにしていただけに喜んだ。中身の分からない包みも楽しいけれど、期待の詰まった心待ちにしている荷物もまた楽しい。
外箱の包装を丁寧に外すと、梱包材が現れた。その梱包材を外すと箱が出てきたので、早速取り出して開けてみると、また梱包材が現れた。また丁寧に梱包材を外すと、ようやく布の袋が見えた。少しずつ小さくなっていく様はマトリョーシカのようだ。最後の包みを取ると、茶色の額に入った青色が見えた。マトリョーシカを最後まで取り出したような感覚、けれども心待ちにしていた荷物だけに嬉しさはひとしおだ。
数週間前に職場で新聞を眺めていると地域欄のベタ記事に新宿の百貨店で畦地梅太郎の展覧会のお知らせを見つけた。早速切り取って自宅に持ち帰り、手帳のカレンダーに初日の日付を書き付けておいたから、当日は仕事も早々に切り上げて新宿に向かった。久しぶりの新宿、あまり来ることもない小田急百貨店で迷って焦る。焦りながら辿り着いた呉服売り場の奥にある催し物会場はガランとしていた。ゆっくりと数十点の作品を眺める。最も著名な「白の像」の値段に驚きながら、ひと通り眺め、同行していた相方にどれが気に入ったかを尋ねると、青いバックに山男が描かれた版画の前に立った。
他にいくつか気になったものの間を行ったり来たりしていると、店員がそれらを並べて解説を始めた。ひと通りの説明を聞いてからもう一度眺めてみる。やはり青いバックの山男が好ましく思えてきた。その旨を店員に伝えると嬉しそうにしている。勿論、他に気になるものと一緒でも良いと言われたが、そんな豊かな懐は持ち合わせていない。発送は会期が終了後で良い旨を伝えて支払いを済ませ、会場を後にした。それからというもの、まだ来ぬ山男を部屋のどこに飾ろうかという相談を毎日していた。やっと届いた絵を眺める。こちらの嬉しい気持ちはこの不思議な山男に通じているだろうか。

*畦地梅太郎を初めて見たときもブログに書いていました。

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