「ラッパ屋 第50回公演 はなしづか」を紀伊國屋ホールへ観に行った。
【鈴木聡より】
飲み屋の席で昇太師匠に聞いた話がきっかけでしたな。「戦時中、落語家たちが浅草のお寺に『はなし塚』というものを建てたんですよ」。はなし塚?「ご時世にふさわしくない噺を禁演落語として葬ったんです。遊郭や間男が出てくるような噺を53席ね」。なるほど、今でいうコンプライアンス遵守ですな。戦時中は落語家さんたちも心を入れ替えてお国のために真面目になった。「いやいや、そんな殊勝なもんじゃないんじゃないですか。猫をかぶった人もいるんじゃないかな。なんとかメシの種である落語を守ろう、この生きにくいご時世を生き延びようって…」。へえ、いいなあ、そのたくましさ、洒落っ気。なんだか元気が出てくるなあ。というわけで今回のラッパ屋は「はなしづか」。ほんとうにあった「はなし塚」建立のエピソードを中心に戦中から戦後にかけての落語家さんやそれを取り巻く人々のエネルギーを笑いと切なさたっぷりに描きたい。昇太師匠はもちろん喬太郎師匠やラサールさんも出てくれる。なにしろ昭和100年、ラッパ屋第50回の公演ですからな、ラッパ屋らしい、よき昭和の匂いプンプンのお芝居をご覧いただきたいと思います。是非!
私が好きな柳家喬太郎が出演することもさることながら、内容に惹かれて前売り開始当日に予約して8列目をゲットし、終業後に2011年以来の紀伊國屋ホールへ向かった。
戦時下の時局に相応しくない噺五十三種(遊里・酒・妾・廓話等)を禁演落語として自粛することになり、貧乏長屋に住む落語家たちを中心に大騒動。春風亭昇太や柳家喬太郎の落語シーンも散りばめられ、柳家花緑が声の出演をしている。とにかく落語家さんは演技が上手い。大爆笑させる内容ではなくくすりとさせてくれる演出も良く、当ホールは舞台が低く客席との距離も近いうえ、さらに休憩時間もなく舞台の大掛かりな展開もないので舞台に没頭出来た。(私が生まれる前の話ではあるが)どこか懐かしい昭和の雰囲気を思い出させてくれたとても心地良い110分だった。
ラッパ屋さん所属の役者さんたちが実に良かったな~そして改めて昭和100年のうちもう半分以上を生きてるんだな~と思った。
【今日はCの誕生日。もう出会ってから22回目の誕生日なんだね。一日も早く体調万全になるように祈るばかり】