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東京下町・新小岩駅の不動産屋二代目のつぶやき

東京の下町・葛飾区新小岩で今年創業50年を迎えました不動産屋の二代目が気ままに書き綴った独り言ブログです。ブツブツ・・・

インボイス制度と下請法と独占禁止法

2023年03月28日 09時33分32秒 | 不動産屋の話~判例・法令

今年10月より適用されるインボイス制度(正式名称=適格請求書等保存方式)。請求書の発行や消費税や納税に関わる制度で、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。具体的には現行の「区分記載請求書」に「登録番号」「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。(国税庁ホームページより抜粋)

私が気になっていた点は、消費税を課税している駐車場や事業系のオーナーさんが納税義務の無い1000万以下の免税業者だった場合の取り扱いである。当社の税理士さんに確認したところ、免税業者であることを理由に消費税相当額の一部または全部を支払うわない行為は下請法で禁止されている「下請代金の減額」となり、課税業者になるように要請することは独占禁止法上の問題になる可能性があるとのこと。消費税転嫁対策特別措置法との流れをしっかり踏襲しているようだ。

そもそも今回の制度については免税業者の掘り起こしと益税とも揶揄されている消費税の納税で「免税業者であれば消費税分は受領せず、受領するのであればインボイスへの届け出が必要」になるのではと予想していたので、実に意外だった。

ただ今回のインボイス制度は色々な意味を含めての布石なような気がする。だって今回のコロナ対策でたくさん税金使っちゃったからね。

【明日3/29(水)は当社定休日となります】

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追い出し条項違法判決

2022年12月22日 09時55分46秒 | 不動産屋の話~判例・法令

借り手が家賃を2ヶ月滞納し、連絡が取れないなどの事情があれば家賃保証会社が「部屋は明け渡された」と扱えるかが争われた裁判で判決が出た。

問題となった保証会社の二つの条項「家賃を三ヶ月滞納すれば借り手に知らせず賃貸借契約を解除できる」「借り手が家賃を二ヶ月滞納し、連絡がつかず、電気・ガス・水道が長く未使用などの条件が揃えば明け渡しがあったとみなす」について、最高裁はこの二つの条項を違法と認め、契約条項の使用差し止めを命じた。裁判所の「賃貸借契約を解除できるのは保証会社ではなく貸主」はある程度納得する部分でもあるが、この手の裁判でよく登場する「部屋を使う権利が一方的に制限され、法律上の手続きなしに明け渡しが実現する状態になる」部分や「借り手の居住権が著しく制限されるという主張に正面から応えた」評価する原告弁護団のコメントには違和感が残る。

これまで滞納者の対応について2009年前後に追い出し行為が社会問題となり、それから13年が経過しても思うことは同じで、ちゃんと支払っていれば何の問題はなく、ただ何らかの事情で支払いが困難になった場合に誠心誠意対応して貰えれば応えるはずだが、「逃げてしまったら」保証会社も心穏やかではない。支払うものを支払わなければ、店舗では無銭飲食や窃盗になるものの、賃貸住宅においては「居住権・生活基盤の保護」の下、手厚く保護されてしまう。従来からの「オーナーは人に貸すほど余裕がある」の司法の考えがまだ根強く残っているように思える。

誠意なき盗人猛々しい滞納者と未払いでも手出しが出来ない家賃保証会社とでは、果たしてどちらが弱者なのだろうか?

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事故物件告知指針案

2021年06月21日 09時36分14秒 | 不動産屋の話~判例・法令

昨年10月の研修内容から少し変化を感じた自殺物件への取り扱いから半年以上が経過し、先日の新聞に「事故物件 病死は告知不要」との文字。

これまで貸室内の死亡に関しては本ブログ開始当初の「遺体発見(2006年3月)」を始め、「お祓いの準備(2010年12月)」遺族への賠償請求(2012年5月)」「孤独死の現状(2016年12月)」お人柄と最期(2017年5月)」自死遺族(2018年2月)」「事故物件情報サイト(2020年6月)」と管理物件での実体験や研修内容、新聞記事等様々投稿して来た。また室内の生存安否確認は2007年12月2012年7月2017年8月の他にも未掲載・今後投稿予定を含め多数あった。

これまで課題であった「告知が必要な内容」「告知の期間」について国交省が指針案を初めてまとめた。告知が不要な事案として「病死・老衰などの自然死」「転倒などの日常生活に伴う不慮の事故」が盛り込まれ、告知すべき事案としては「他殺・自殺・(不慮の事故以外の)事故死」「事故死か自然死か不明な場合、長期間放置され臭いや虫が発生する場合」とし、告知期間は賃貸契約の場合で死亡からおおむね3年間(売買は期限なし)とした。2014年5月に投稿した増えるワケあり物件」に書いた私案とほぼ一緒である。

背景には増加する単身高齢者の入居と孤独死に伴う高齢入居者入居への拒否感があり、2020年2月に(私は呼ばれていない)検討会を設置してとりまとめた。これから喧々諤々な意見が飛び交うだろう。ただ指針に基づいて対応した場合でも業者の民事上の責任は回避できるものではないとされているので取り扱いは慎重である。

「告知しなくていい」「いつまで告知する」は大切な線引きではあるが、「隠すこと」「言わなくてもいいこと」に趣を置かずに夏の公表内容を注視したいと思う。

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自殺の賠償

2020年10月06日 09時39分06秒 | 不動産屋の話~判例・法令

新型コロナウイルスの影響で、毎年国際フォーラムで行われる不動産協会の法廷研修会が中止となり、後日eラーニングでの研修を受けた。今回不動産取引における紛争事例として、自殺した場合の貸室の取り扱いについて損害賠償の算出方法や責任の及ぶ範囲の講義があった。

例題はサブリースに関してのことではあったが、私が一番知りたかった告知義務の範囲や期間についてはまだ明確な定めは無かったものの、損害賠償の計算方法の中で興味深い裁判所の判断があった。

「・・・本件事故の発生に対して通常人が抱く嫌悪感ないし嫌忌感という心理的な事情が一定の時の経過によって希釈されるものであること、いったん本件建物に新たな入居する者(短期は除く)が現れれば、本件事故の発生がその後の賃貸借には影響をあたえるものではない」とのこと。

そして「・・・通常、1年間は賃貸不能であり、2年間は相当賃料等額の2分の1の額を賃料等として設定」と続いた。

そして不動産業者の留意点として「賃借物件内での自殺の場合、一定期間は賃料が0になること、その期間を経過した後は一定期間は賃料は半額となることを前提に・・・」との説明があった。あくまでも裁判所や事情によりまちまちで、期間も一定期間と明確にはしていない。ちなみにこれは賃貸でのことで(終の棲家になりえる)売買の場合は10年経過しても瑕疵を認められる場合があるとのこと。

少しずつ状況が変わりつつあるな~と思いつつ、動画配信の方が集中して受講するような気がした。

【明日10/7(水)は当社定休日となります】

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心理的瑕疵について再考

2014年05月19日 09時30分33秒 | 不動産屋の話~判例・法令

先日新聞に「増えるワケあり物件」の見出しの記事が掲載されていた。

高齢者の孤独死、自殺等が起きたワケあり物件の増加と共に異常死や自殺者数の増加・高水準、そしてオーナーが告げない場合は瑕疵担保責任を追及され、契約解除や損害賠償を請求されることになり、不動産業者には宅建業法第47条で「告知義務」が存在する・・・と書かれている。

「告知義務の範囲」について2年前に本ブログでも書いた(2012年5月)が、この記事にも自然死と事故死、物件「外」での孤独死の場合や飛び降り自殺の場合について、オーナー側と仲介業者との間で認識が異なり、基準があいまいと書かれている。

そりゃ~訳あり物件には好き好んで住みたく無いだろう。これだけ物件が供給過多であれば尚更である。自殺した場所の6割は自宅と記事にも書いてあるが、人間誰しも必ず亡くなる。過去を振り返れば大昔、その地ではきっと誰かしら亡くなっているだろう。結局また「じゃあ~それはいつまで・どこまで告知しなければならないのか?」に話が戻ってしまう。

当社でもこれまで数例あった。すべて自然死ではあったもののすべて告知して、現在全室満室になっているが、その物件が空いた場合、また説明する義務が出て来るのだろうか?オーナー側からすると財産の価値が大きく目減りすることになる。前回のブログにも書いたように近年自殺については遺族へ賠償請求を起こす傾向にあるが、事故に巻き込まれた場合や自然死の場合はなかなか難しいであろう。となると泣き寝入りか?不運だったのひと言だけなのか?きっと「亡くなる事もありきで貸与している」と司法は判断するだろう。そうなるとやはりちょっとバランスがおかしい。だからやはり告知義務の範囲についてある程度線引きする必要があるであろう。

私が考える告知義務の範囲としては・・・

【告知義務なし】

病気等による自然死(死後■日以内で搬出されたことが条件)

死後、一度でも入居した場合(但し、最低■年間の入居及び生活していた事実が必要)

未遂の場合を含め、室内において死亡していない場合 

【告知義務有り】

室内における自殺・他殺(但し、発覚後■年以内まで)

期間を定めるとしたらどれくらいなのかは判断がつかない。また余りにも細かく定めるとそれをクリアする変な工作の可能性も出て来るので難しいところである。また告知義務はなしの場合でも訊ねられたら答えるかどうか?等々・・・課題は少なくないだろう。

もちろん隠くことが前提ではないが、誠実と商売との狭間でグレーな部分がある限り、ある程度の区切りは貸主・借主にとっても必要だと思う。

【明日5/20(火)~5/21(水)は当社連休となります】

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民法改正中間試案

2013年11月01日 09時42分47秒 | 不動産屋の話~判例・法令

先日「不動産取引の視点で読み解く民法改正中間試案」なるセミナーに出席した。

現行民法において「財産法(総則・物権・債権)」は明治29年に公布(同31年施行)され、約120年経過し、社会・経済状況の変化に対してかなり遅れており、平成21年より「分かり易いものに見直し」する方向で進められていて、学者や弁護士、有識者を中心に今年2月に中間試案が出た。

今回とても興味深かったのは「損害賠償額の予定と拘束力の変更」であった。現行民法では「第420条(賠償額の予定)1.当事者は、債務不履行について損害賠償の額を予定する事が出来る。この場合において、裁判所は、その額を増減することはできない。2.賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。3.違約金は、賠償額の予定と推定する」となっているものの、現実の裁判では「1項後段」は必ずしも貫徹されておらず、過大な予定額は、信義則、公序良俗の一般条項を活用して額を縮減する裁判例も少なくないものの、1項後段の条文の存在が額の認定に当たり裁判官の判断を抑制的に機能しているとみられ、改正法では後段は削除する方向とのこと。つまり損害賠償額は実際にそれだけの損害を受けたかどうかを判断された上で、これまで以上に増減出来ることになりそうだ。これって結構画期的である。

そもそも旧態依然とした法律は、パソコン・携帯電話やインターネットの復旧した現代社会とは当然不具合が生じるのは勿論なのだが、一番の違いはその当時と人間性が全く違って来たことであろう。だから今後も色々な改正がどんどん進み、六法全書はさらに分厚くなるだろう。

想定外が多過ぎる現代社会である・・・

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罹災証明

2013年04月11日 09時23分30秒 | 不動産屋の話~判例・法令

震災などでの家屋の被害を証明する「罹災(りさい)証明」を迅速に発行するため、行政と消防が相互利用できるシステムを、全国で初めて東京・豊島区が本格的に導入し、担当職員の研修が東京消防庁と合同で行われた。これまで罹災証明は、家屋の倒壊に関するものは区市町村が、火災に関するものは消防署が発行することになっていて、被災者の把握や被害の状況把握に時間がかかり、発行の遅れなどが指摘されてきた。首都直下地震では、地震と火災による被害が想定されるため、豊島区は、東京消防庁と連携し、家屋の被害状況の調査や、被災者に関する情報を合わせたデータベースを新たに作り、家屋が倒壊によるものか、火災によるものかに関わらず、罹災証明を迅速に発行できるようにした。今後、罹災証明手続きの迅速化が期待される・・・とのニュース。

先日当社の管理物件の隣で火事が発生した。隣接の建物は全焼したものの、幸い死傷者も無く、管理物件はエアコンカバー等が一部溶けただけで済んだ。火災保険を契約して頂いていたので、保険金請求の手続きを行い、罹災証明書を発行して貰う為、消防署まで出掛けた。これまで罹災証明は所有者さんに取って頂いていたが、所有者さんの都合により当社で初めて代行した。

証明書と言う割には自署する項目がやたら多く、所有者ではない管理会社だと色々と煩雑な手続きが続く。発行時間はそれほど掛からなかったものの、「入口」の部分で結構時間を擁した。今回のニュースでは倒壊と火災の連携だったが、もう少し抜本的な部分に対しても簡素化・迅速化が出来れば嬉しい限りである。

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遺族へ賠償請求

2012年05月29日 09時16分42秒 | 不動産屋の話~判例・法令

「遺族への賠償請求相次ぐ」との記事。賃貸住宅での自殺をめぐり、遺族が貸主側から損害賠償を求められるケースが相次いでいる。自殺があった物件は「事故物件」として賃料が安くなり、資産価値が下がるのが理由である。

このようなケースは実際数年前から話には聞いていたものの、その当時は「(遺族の胸中を察すると)人道的に出来ない」とまだ消極的な立場をとっていた弁護士も少なくなかった。実際問題、オーナーさん側からすると死活問題である。当社の管理物件においては幸いにもまだ自殺物件は無いが、ニュースで取り上げられる残忍な事件を目の当たりにする度、事件現場となった管理会社の立場として事件を見てしまう。

先日アパートの入居者さんがお亡くなりになった。入居されてからしばらくして病気になったとは聞いていた。毎月賃料のお支払い時にお会いしていたが、数ヶ月前からかなり体調が悪くなっているのが目に見えて分かった。最後にお会いしたのは連絡のあったわずか二日前だったが、かなり衰弱している様子で一年前に入居された時と比べ、かなり体力的にもきつそうだった。故人はご高齢ではあったものの、入居当時は仕事をされていて非常にお元気で、とても気さくで穏やかな方だった。最期の瞬間とはその人のこれまでの生き方や人柄を象徴していると思っているので連絡があった際も、私はとても穏やかに受け入れる事が出来たのかも知れない。

ただこのような自然死の場合でも告知はすべきなのだろうか?病室ではなく貸室で亡くなることも当然あるだろう。高齢化が進む中では確率も当然増えるだろう。一般的に「自然死」の場合は、告知しなくても良いとされているのが通例のようだ。また弁護士や同業者によって「五年(または十年)は告知義務有り」とか「一度入居者が入ったらそれ以降は告知義務なし」と様々な見解が分かれているのだが、それはあくまでも「事故物件」の場合である。そもそも自然死の場合の告知義務自体に明確な取り決めが無い。では自然死は告知しなくても・・・と考えそうになるがもし私が入居する立場だったらやはり知らせて欲しいと思う。自然死での発見が遅れた場合や、事件での「加害者」「被害者」とではまた事情が変わって来るだろう。

だから当社では自然死でも告知をするようにしているのだが、残念ながら成約率は低くなる。そうなると賃料を始め、契約条件を下げる必要が出てくる。結局「自ら命を絶つ」自殺の場合と何ら変わりは無くなってしまう。じゃあそうなると遺族へ賠償請求するのか?となるとそれこそ人情的に出来ないだろうと思うし、すべきではないと思う。またおそらく司法は「死亡の可能性を含んだ上で貸し出している」との判断になるであろう。

最近餓死事件を始め、様々な残忍な事件を目のあたりにする度、大家さんや管理会社サイドで事の成り行きを案じてしまう。今後、まったく手つかずの状態である法整備がどのように進んで行くか注目している・・・そんな事を考えていたが、内容が内容だけに書いては修正してを繰り返していたら、もう10ヶ月が経過してしまい、画像の記事は昨年9月の内容である。すると先日、業界の新聞社より取材を受けた。テーマは「孤立死の対応」についてだったので、今回書き綴ってきた内容をベラベラと喋ってしまった・・・

【明日5/30(水)は定休日となります】

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家賃取立法案廃止

2012年01月29日 09時53分34秒 | 不動産屋の話~判例・法令

昨年12月9日の臨時国会閉幕に伴い、家賃滞納者を強引に退去させる「追い出し屋」などを規制する「家賃取り立て行為規制法案」が廃案となった。一部野党は継続審議を強く求めていたが、賃貸住宅業界には「正当な家賃回収もできなくなる」との反対意見もあり、衆院国土交通委員会理事会で廃案を決めた。国交省は追い出し屋に絡むトラブルについて監視を続ける。同法案は滞納者の脅迫や住居の鍵を無断で取り換えるなど業者による強引な取り立てなどの規制が目的で、違反者には刑事罰を科すとしていた。

今回不動産業界を始め、各種団体からの要望・陳情もあり、めでたく廃案となった。現行法は借家人の権利が保護されないとの理由で、借家人保護を目的とした内容なのだが、不払い入居者に対してどこまで手厚く保護するべきなのだろうか?もちろん度が過ぎた取り立てにはある程度の規制は仕方が無いとは思うが、もし今回法案が通ってしまったら、借家人が催促時に「威迫された」と訴えれば、催促者は刑事罰に問われる可能性があったそれはそれはとても恐ろしい法案であった。催促した側に刑事罰が問われ、滞納者には無罰と言うのはどう考えても腑に落ちない。

最近ちょいちょい消費者過保護の時代に終わりを告げるような判例が出始めている。まだまだ日本も捨てたもんじゃない。

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更新料有効判決

2011年07月16日 10時01分48秒 | 不動産屋の話~判例・法令

賃貸借契約更新時に必要となる更新料の有効・無効について争われていた注目の裁判結果が昨日最高裁で出た。

マンションの借り主が賃貸借契約の更新時に貸主に支払う「更新料」は、消費者に一方的な不利益を押しつける「無効」な契約条項だとして、借り主が貸主を相手取り、支払った更新料の返還などを求めた3件の訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷は更新料は「有効」とする初判断を示し、貸主側の勝訴が確定した。

更新料は約40年前から主に京都や首都圏で慣習化しており、契約件数は全国で100件以上とみられる。今回の3件は、京都と滋賀のマンションの借り主3人が07~08年、賃貸借契約で「1年ごとの更新時に月額賃料の2ヶ月分を支払う」などの条項が盛り込まれたことについて「消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効」との消費者契約法の規定に触れるとして別々に提訴。一審は3件中2件を有効、1件を無効と判断したが、二審では無効が2件となった。

上告審で貸主側は「借り主は更新料条項も合意のうえで契約締結しており、踏み倒しは許されない」と主張。更新料契約が長年続いてきたのは一定の合理性があるからだとの姿勢をみせた。これに対し、借り主側は「契約時に情報や交渉力に格差がある以上、締結せざるを得ない状況に置かれていた」と反論。借り主に更新料を支払う義務があると定めた法律はなく、不合理な慣行だと主張していた。

マンション賃貸借契約を巡っては、借り主が退去する際、貸主が敷金の一部を無条件に取得できると定めた「敷引特約」について最高裁が3月、有効とする初判断を示している。

まずこれは「京都圏」における特別な契約条件が土壌にあるので、通常「2年契約」「更新料1.0~1.5ヶ月」が主流とされている東京圏とは少し事情が異なる部分があるが、今回争われた3件の更新料の中で最も高額だった「1年毎の更新料約2.2ヶ月分」でも有効とされる事により今後東京圏の契約条件が変わるとは思えないが、3月の「敷引特約有効」に続き、これまでの「消費者超優遇傾向」の流れに反する判決は非常に意外であった。ただどちら判決も「不当に高額でなければ」と金額については明確にしていないのが特徴である。

そもそも話を面倒にしているのは当事者間で自由に契約を締結出来る「契約自由の原則」が民法上の基本原則としてあるのだが「公の秩序や強行法規に反しない限り(つまり一方に明らかに不利である場合)」は除かれる点である。この根本的な矛盾が拡大解釈を生ずる要因のひとつでもあると思う。

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不動産広告の規制

2010年01月08日 09時26分29秒 | 不動産屋の話~判例・法令

昨年末公正取引協議会の「不動産広告の規制について」の研修会に出席した。簡単に言えば「消費者を騙すような広告を出しちゃいかん」と言う内容である。

「表示規約」では例えば納戸(サービスルーム)がある場合の表記は「4LDK+納戸」は正しく、「4LDK+S」は違反になり、「○○小学校450m」は正しいが「学校至近」は違反になると言う内容から、「路地状部分で道路に接する土地」や「著しい不整形地等」の表記の仕方や、バスや自転車での駅までの時間の計測方法までなかなか御馴染でないルールや規制の説明があった。

また別に「景品規約」の説明もあった。一般消費者に対して景品類を提供出来る限度額や計算方法、違反になる景品の種類の説明とこれまた私にとっては御馴染でない内容が続いた。

ちなみによく分譲マンションである「家具付き」はOKだが、「家具プレゼント」は景品との見解になるそうで、現金キャッシュバックは実質「値引き」なので景品とは見なさず限度はないが、それが抽選になると景品となるそうだ。

数々の規制や様々なルールはあるものの、つまりは「曖昧」な事は駄目で、「明確」な事は良いと言う事なのである。非常に簡単な話だ。

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債務不履行と居住権

2009年12月28日 09時27分06秒 | 不動産屋の話~判例・法令

昨年暮れから色々と問題となっていた「追い出し屋」について、先日鳩山内閣が次の通常国会で「追い出し規制法(通称)」を提出することになった。



追い出し屋とは家賃を滞納した借主が賃貸保証業者・不動産業者等から強制的に退去を迫られる行為で、今年の初めから次々と判決が下っており、その動向をこの一年間見続けて来た。

最近の賃貸借契約では「家賃保証契約」を保証会社と締結する事が条件の契約が増えている。家賃保証とは連帯保証人がいない場合や、連帯保証人と二重の保証をする目的で広く浸透しており、当社でも数年前から導入している。おかげで滞納時の対応業務はかなり軽減されているのだが、昨年末から「追い出し屋」被害が全国で起こっており、今年2月にも家賃保証会社の深夜の督促が違法性を認定されている。

【昨年12月の記事】
家賃の支払が遅れた際、法的手続を踏まず不当に高率な損害金を請求したり玄関ドアに別の鍵を取り付けたりする等の方法で賃貸住宅からの退去を迫られたとして、入居者4人が家賃保証会社及び家主に対し、1人あたり約110万~約140万円の慰謝料等を求める訴訟を簡裁に起こした。

【今年2月の記事】
敷金・礼金が不要な「ゼロゼロ物件」と言われる賃貸住宅に入居した30代男性が、未明にわたる家賃の強引な取り立てを受けたとして、家賃保証会社と社員3人に100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、簡裁は同社に慰謝料5万円の支払いを命じた。「全国追い出し屋対策会議」(大阪市)によると、家賃の取り立てに関する保証会社への賠償命令は初めてとのこと。
判決理由で野瀬裁判官は、午前0時を過ぎた取り立ては「生活の平穏を害して精神的苦痛を与えた」と指摘。「社員に脅迫を受け監禁された」とする男性側の主張は「犯罪に相当する強引な取り立てがあったとは認められない」と退けた。
判決によると、男性は月額約5万円の家賃を3ヶ月間滞納し、2007年8月31日午後9時ごろから翌午前3時まで、約6時間にわたって社員3人から取り立てを受けた。

【今年3月の記事】
敷金・礼金なしで部屋を手軽に借りられるとして人気の「ゼロゼロ物件」をめぐり、家賃支払いが遅れた際に勝手に鍵を交換されたなどとして、元借り主の男性(35)が9日、不動産会社の前社長と社員に対し、不動産侵奪と住居侵入、窃盗の疑いで東京地検に告訴状を提出した。弁護団によると、ゼロゼロ物件を扱う不動産業者の刑事告訴は初めて。
告訴状によると、男性は2007年、同社と契約し、中野区内のアパートに入居。家賃支払いが約1週間遅れた2008年6月、同社は部屋の鍵を交換して勝手に部屋に入り込んで荷物をすべて撤去し、別の人に賃貸した。男性は以前にも2回、鍵を交換されたという。同社に対しては、男性を含む元借り主ら9人が慰謝料など計3400万円の賠償を求め地裁に提訴している。

前回の「鍵交換」と同様なケースである。今回のケースでは詳細が報じられていないが、保証会社や不動産業者はいきなりそのような「暴挙」に及んだ訳ではないと思う。何回も連絡を取り→約束期日を決め→反故を何度か繰り返した挙句の行動だと思う。今回の入居者側には不誠実な対応はなかったのだろうか?一年未満に複数回鍵を交換(=滞納)されていることも、3ヶ月もの長期間に渡り滞納していることもかなり悪質だと思う。

そもそも大前提は「期日までに家賃を支払うこと」である。当たり前の事である。但し、様々な事情により支払が困難になる場合も出てくるであろう。この未曽有の不景気ならば尚更であろう。そのような場合はまず第一に「人として」事前に事情を説明して、支払期日を猶予して貰い、もしもそれを守れなかった場合は、ちゃんと自己責任で対処すべきではないかと思う。

これまで数多くの滞納者を見て来たが、最終的にはその人自身の「誠実さ」次第である。以前ブログで紹介した滞納者さんはその後も毎月きっちりと分割して支払い、先月ようやく完済した。完済時に彼に「偉いとは言わないが、よく頑張りました」と言った。偉いのはやはり毎月きっちりお支払いしている入居者さんだと思っている。

しかしそのような人は非常に稀で、残念ながら大半は様々な理由を付けては支払期日を延ばし、途中から「いつ支払えるか確実な予定がつかず、嘘は付きたくないので連絡出来なかった」と言い、最後は大抵「引越する費用すらない」と開き直ってしまうパターンである。そして上記のような「居住権」を主張する記事。

以前も書いたように貸主側にとって「賃料未払い」は死活問題である。ローンの返済がある場合は尚更である。決してボランティアではない。もちろん借主側にとって「衣食住」の基本となる「住」を失う事は死活問題である。「住」が無ければ就職先を見つけるのは至難の業である。

だからと言って「支払えませんが住み続けます」と言うのはいささか都合が良過ぎるのではないだろうか?例えば一括返済が無理であるならば分割して支払う方法だってあると思う。貸主も仲介業者も誠実さには誠実さで応える準備はあると思う。

「借地借家法」を始めとする、賃貸における関連法規の整備はかなり遅れている。滞納したとしても消費者を守る法規は整備されているが、貸主側を保護する法規はいつまで経っても手付かずのままである。貸主側からすると簡単に言えば「入れるのは簡単、出すのは大変」なのである。

以前から事ある毎に、議員さんには要請しているのだが、彼らは異口同音に「少数意見(借主>貸主)をあえて反映しない」スタイルである。絶対数的に貸主の数より借主の数の方が断然多いので、それも分かるのだが・・・

少子化やマンション建設ラッシュで賃貸物件の供給過多は年々増加している。そしてこの不景気・・・このような世情を踏まえて、入居時の条件を色々と緩和・調整して少しでも困っている方々に提供出来れば、最終的に三者(貸主・借主・業者)が喜べるのでは?と常日頃から考えてはいるのだが、滞納が発生しても即退去は出来ない。最終的な解決までは非常に時間と費用が掛ってしまうし、オーナーも不動産業者も出来ればそのような事態は避けたいと思うので、保証会社を利用して、安心感を得るのだが、このような訴訟が起きてしまうとならば最終的には「余計な事はしないに限る」と思ってしまう。非常に悪循環である。良かれと思った事が最終的にやらなきゃ良かったになる事ほど虚しい事はない。

先日新聞の投書欄に非正規雇用者さんの投書が掲載されていた。賃料を遅延していて、管理会社から「期日までに支払わなければ鍵を交換する」と威圧的に言われたそうだ。自分自身の非は認めるとした上で、最後の一文が非常に気になった。

「儲け本意の弱者切り捨ての事態が日本各地で起きていると推測できる」・・・

う~ん~儲け主義か~そんな風に言われてしまうと何もかも嫌になってしまうな~

有限会社やな瀬不動産


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消費者保護の波

2009年12月11日 09時32分37秒 | 不動産屋の話~判例・法令

先日弁護士先生が講師となり「賃貸契約に関わるトラブル判例解説」の研修会に参加した。

「外国国籍を理由に入居を拒絶した場合は民法90条に定める公序良俗違反になるのか?」「原状回復特約と消費者契約法」から現在民主党が推し進めている「定期借家契約締結上の留意点」まで三時間の研修はあっという間に終了した。

その中で非常に興味深かった内容が「建物の瑕疵と賃貸人の法的責任」の項であった。

民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)には「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた時は、その工作物の所有者は被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。但し占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした時は、所有者がその損害を賠償しなければならない」とある。つまりどのような場合においてもオーナーの無過失責任を負う非常に珍しい法律との解説だった。

その中で例としてひとつの判例が取り上げられていた。
【事案】賃借人の妻が洗濯物を干す際に二階の窓から転落死。窓に手すりや柵等が設置されていなかった賃貸人の瑕疵を認めるか?
【状況】本件窓は床面から約73cmの位置に窓枠下部があり、二枚の窓ガラスをスライドさせて開閉する構造。網戸は設置されていたが手すりや柵等は無し。
本件窓の両脇の外壁には伸縮式の物干し竿受けが設置されていたが、すでに錆付いており伸縮出来ない状況。

賃借人は賃貸人に対し、債務不履行ないし不法行為に基づき、約4280万の損害賠償を求める訴えをおこしたと言うもの。

第一審では「・・・窓から転落する危険性はなく、床面からの高さに照らし、通常の注意を払えば転落する事は無い」と請求を棄却したが、高等裁判所の判断ではそれが「一部認容」された。最終的に妻にも極めて大きな過失があったことは否定出来ず、その割合は90%に及ぶとして「10%に相当する約482万」の損害賠償請求権があるとした。

講師の補足では「従来では過失90%に及ぶ場合は棄却されていたような案件ではあるが、近年の消費者保護の波は司法の世界にも及んでいる」と解説していた。

私の予想を遥かに超える早さで「消費者保護」の流れは進んでいるようだ。防衛策としてはとにかく建物・設備の点検はもちろんの事、使用方法の説明、書面での承諾等がさらに必要になるであろう。あぁ~煩雑、煩雑・・・

本当に恐ろしい世の中になったものだ。

有限会社やな瀬不動産


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お知恵を拝借

2009年10月06日 09時19分25秒 | 不動産屋の話~判例・法令

最近アパートマンションにおけるトラブルの内容が変わって来ている。もちろん相変わらず家賃滞納は上位ではあるのだが、これは逆に言えば「分かり易い」トラブルである。

最近増えているのは「契約違反にならないような内容で他人に迷惑を掛ける」事案である。簡単に言えば「昔ならば起きないようなトラブル」で、さらに言えば「普通ならそんな事しないだろう」と言う内容である。もちろん色々考えて対処・対応するのだが、それでも「そう来たか~」とか「あり得へん(大阪弁風)ような事」が起きることがあり、解決まで時間が掛かってしまうケースがある。

行き詰まった時はいつも知り合いの女性弁護士さんにお知恵を拝借する。

どうやって違反を立証するのか?
証拠の集め方は?
書類の書き方や今後の対応等々・・・最近の傾向を踏まえながらいつも先生からはいいアドバイスを頂く。おかげで今回長期に渡っていた事案もどうにか無事に解決に至った。



ちなみにその先生とは彼女が司法試験に受かる前からのお付き合いなのでもう30年近くなる。だから今でも私は「名前+先生」で呼び、先生は私の事を「ゆうじ君」で呼ばれるので、何だかちょっとだけ照れる・・・

有限会社やな瀬不動産


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不当要求防止責任者・その2

2009年06月26日 09時23分49秒 | 不動産屋の話~判例・法令
不当要求防止責任者定期講習会では、所轄担当官より日本全国の暴力団の勢力図から地元葛飾区の暴力団まで、多岐にわたる話が出た。跡目争いが繰り広げているとある組の主流派はどうで、反主流派は今こんな動きをしているなどと、その様子は非常に不謹慎ながらまるで映画「仁義なき戦い」のようで、非常に興味深く聞いてしまった。

そしてこの研修会でふと思い出した出来事がある。

今からもう20年以上も前の話。お客さんがトラブルとなり、その仲裁役として事情を確認する為、私は相手の指定する喫茶店に向かった。今思い出してもよくもま~二十歳そこそこの小僧がひとりでノコノコと出て行ったものだな~と変な感心をしてしまう。

細長い店内の一番奥に座り、店内を眺めるていると、三人組の「明らかに」それと分かる三人組が店員に向かって私の名前を告げている。

ひぇ~

そのまま帰っちゃおうかと思ったが、店内にはカップルや家族連ればかりで、背広姿は私しか居ない。震える声で私の名前を呼ぶ店員さんに小さな声で返事をする私。彼らがズカズカと歩み寄る。

四人掛けのテーブルで私を取り囲むように座り、現在では禁止されている「所属」が分かる名刺を差し出され、色々な要求を突き付けられた。怒号が時折店内に響き渡る。隣のお客さんはそそくさと店を出て行った。そりゃそうだろう?私だって帰りたい・・・

今思い返しても恐ろしい体験だったし、眠れない夜が続いたものだ。しかし二回目の時に、三人組のリーダーと思われる男性が「この間、下手やっちゃって」と指に包帯をグルグル巻いて登場した。いくら私が小僧でも「下手=包帯」の意味は分かる。ただその様子が余りにも映画的で、何故か非常に落ち着いてしまった事をよく覚えている。

今ならばすべてが法に触れる行為のオンパレードである。今はもっと巧妙になっているんだろうな~

有限会社やな瀬不動産

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