夏の終わりに最高の、素晴らしい映画でした。
6歳のクレオはパリで父親、乳母のグロリアと暮らしています。
クレオはグロリアを本当の母親のように信頼しており、グロリアもクレオが困った時にはぐっと抱きしめ、優しい言葉をかけたりします。
二人は深い愛の絆で結ばれていたのですが、グロリアは故郷の島(アフリカ北西部のカーボベルデ)に帰らなくてはいけなくなりました。
クレオは突然の別れに戸惑いますが、夏休みに再会できることとなり、ひとり海を渡り彼女のもとに旅立ちます。
カーボベルデではグロリアの娘、息子が暮らしており、娘は妊娠中です。息子は母親の愛情に飢え、クレオに冷たくあたります。
やがて娘は出産し、グロリアに孫ができたことで、クレオの心境に変化が訪れます。
自分だけのグロリアと思っていたクレオは、赤ん坊に嫉妬します。
いろいろな経験をしながら、クレオは成長していきます。グロリア家族とも信頼関係を築いていきますが、やがてクレオはパリに帰らなくてはなりません。
おそらくグロリアとはもう二度と会えないでしょう。ラストシーン、クレオとグロリアの姿が印象的でした。
時折出てくるアニメーションがクレオの心情を表していて効果的でした。
そしてこれは演技ではなく記録映画ではないかと思ったぐらい、クレオ役のルイーズ・モーロワ=パンザニさんと、グロリア役のイルサ・モレノ・ゼーゴさんの自然さが素晴らしかったです。
映画のレビューで金原由佳さん(映画ジャーナリスト)がこんなことを書いていらっしゃいました。
幼少期に常に楽しくおしゃべりができる相手がいて、その人は日々の小さな変化を見落とさないだけの繊細な眼差しを注ぎ続けてくれることが、いかにその子にとっては温かい環境となっているか、しみじみと思い知らされる。
当たり前のことのようですが、今の時代、大切なことだと思います。
ところでカーボベルデ共和国と日本の関係ですが、日本のマグロ漁船がカーボベルデ第二の市であるミンデロに多数寄港し、親密な関係にあるそうです。
ミンデロの人々は日本の船員を歓迎し、彼らを「サイコー」と呼ぶようになり、「Saiko Dayo」という歌も作られました。
国民的歌手にも歌われているそうです。
Saiko Dayo