オートファジー（Autophagy）

オートファジーが発がん、神経変性疾患、2型糖尿病等の生活習慣病、心不全、腎症、感染症、各種の炎症など、さまざまな重要疾患の発症を抑止していること、また発生・分化、老化、免疫などにおいて重要な生理機能を持つことが明らかになり、オートファジー研究は現在大きな注目を集めている。
　
　細胞の衰えは老化であるし、衰えの機能回復も加齢とともに衰えてゆく。生命現象の根本的なことは、まだまだ未知の世界であるが、生命を維持してゆくシステムが、進化の過程で、一元的なものではないようだ。
　免疫機能の複雑さも凄いものがあるが、この　Autophaｇyの仕組みにも、細胞内に入り込んだ細菌を分解しているのを確認されている。
　
　進化の過程では、あらゆるストレスが生命の危機的状況に遭遇したであろう。そこを生き延びてきた多細胞生物の人間は、危機を乗り越える時に、一現象に複数の対応システムを創って抵抗しながら生きながらえてきたようだ。生命環境の変化などに遭遇して、沢山の試行錯誤をしてきた痕跡が、人間の生命現象が判明する度に一つのシステムが多くの役目を重複して機能しているのに驚くのである
私たちの身体の殆どが、蛋白質でできています。そして細胞単位でこの蛋白質を使って生命活動をしているそうです。　私自身が難しいものを理解するのに時間がかかります。　解り次第に追加してゆきます。

font color="darkgreen"> 　『Auto』は自己という意味だそうです。　『Phagy』は食べるという意味だそうです。いずれもギリシャ語だそうです。自分を食べると言う意味ななります。要らなくなった蛋白質や機能不全になった蛋白質をアミノ酸に分解して再利用しています。

　どいうことかと言いますと、細胞内の多くの機能をしているのは蛋白質で、機能が衰えたり傷がついたりした蛋白質は、そのままでは細胞の機能が衰えたり、細胞が病気になたりします。
　
　そこで、細胞内にこうしたものを掃除する機能が存在することがあり、このことは、1958年ころから営々として記述されてきました。症状としては発見されていたそうです。
　
　
　しかし、日本の現・東京工業大学の大隅良典特任教授らが1993年に出芽酵母のオートファジー不能変異株群・atgの同定に成功したそうです。
　要するに遺伝子レベルでのシステムを発見したのです。これが切っ掛けで、この細胞の『Outophagy』の仕組みがドンドン調べられて、いろいろな病気を起こす仕組みが判明しつつあるのです。

　
　国際的に大きく評価されています。お歳が71歳だそうです。次のノーベル医学・生理学賞の受賞者になる可能性が指摘されています。この結果、今までは、ブラックボックスとしてきた細胞分野での研究が一機に進み始めているそうです。

　
　私たちの食事で摂るアミノ酸の量は、1日約70ｇくらいだそうです。しかい細胞で使われるアミノ酸は、1日に200ｇが必要なのだそうです。この足りない部分を細胞内でリサイクルして使っているそうです。
　
　私たちの細胞には、衰えた蛋白質をアミノ酸に分解するシステムがあり、リサイクルされて利用されてるそうです。これが、オートファジー（Auophagy）というシステムだそうです。

　これは、いらなくなった細胞内の蛋白質を、膜が出てきて包み込み、その膜の中で、その蛋白質を分解する酵素が入り、アミノ酸に分解しているそうです。この膜のことを、オートファゴソームというそうです。この膜は脂質でできているという説が、以前にはありましたが、ハッキリしてはいません。しかし、用が済むと消えてなくなります。

　細胞の中の核には遺伝子があります。その遺伝子にメッセンジャーRNAがやってきて、遺伝情報をコピーして細胞内でアミノ酸を生成しています。このシステムが生命活動の原点ではないかと言われています。
　
　このアミノ酸が前述したように食事から70ｇ、足りないアミノ酸は、細胞内でのオートファジー機能が蛋白質を分解してアミノ酸として再利用していることが発見されて、この細胞内のオートファジーが、いろいろと研究され続けて、その機能をしているたくさんのことが発見され続けています。

　
　オートファジーが発がん、神経変性疾患、2型糖尿病等の生活習慣病、心不全、腎症、感染症、各種の炎症など、さまざまな重要疾患の発症を抑止していること、また発生・分化、老化、免疫などにおいて重要な生理機能を持つことが明らかになり、オートファジー研究は現在大きな注目を集めている　

　
　こうした、細胞内の顕微鏡サイズの高分子レベルが、最近のIT技術も生かしたシステムで、動く様子まで観測できる機器の開発が大きく寄与していると思います。

　マウスの段階ですが、卵子が卵管から出てきて、精子と出会い受精して分裂を繰り返し、子宮に着床するまでの1週間くらいの間は、そのエネルギー源として、このオートファジーで細胞内の蛋白質の再利用がされて生き続けていることが解り、人間も卵管で受精した受精卵が同じように、1週間ぐらい、このオートファジーのシステムで生き延びて、子宮に辿り着いて着床して、胎盤をつくり母体からの栄養補給がで、胎児が育つ仕組みであるそうです。

　
　また、細菌感染した細胞が、その細菌をこのオートファゴソームが包み込み、細菌を分解してしまうことも発見されています。

　
　エネルギーを創る、ミトコンドリアというのいが細胞内に入っています。ミトコンドリアが何かの切っ掛けで衰えると、エネルギーと同時に活性酸素を創ってしまうことはあり、そうしたミトコンドリアもこのオートファゴソームに包まれて分解されるそうです。

　
　細胞内のあらゆる機能不全のものを分解する機能がありますが、遺伝子を内蔵している核周辺にはこのリゾソームの膜が、働かないための防御用膜であるだろうと推測される膜のようなものがあり、核は分解されずにすむそうです。

　
　脳の神経系の細胞は、新陳代謝をしない、生まれた時の細胞を死ぬまで使い続けてゆくシステムになっている。その結果、神経細胞内の機能不全の細胞や生きる活動でのシグナル（ドーパミン等）のカスが溜まってゆく。

　すると神経細胞がドーパミン等を出す勢いが阻害される。細胞の老化とも言える現象であるが、この状態が、パーキンソン病であったり、アルツハイマー病であったりします。

　脳神経細胞で、この、オートファジーによる細胞内の掃除機能が衰えることでおきる病気の改善にと研究が進んでいますが、まだ多くの解らないことがあるそうで、研究がドンドン進んでいます。

　
　人間のあらゆる部分の細胞の老化が、生命の老化でもあります。進化で許された範囲を超えて長生きをしてますが、生命現象の解明は、病気の根絶と、長生きという人類永遠のテーマである。