「心のバリアフリー化」を図るための研究報告書が発行された。
次のタイトル書である。
心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業企画実行委員会 委員長 坂巻 熙(さかまき ひろむ)編「平成22年度心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業」平成24(2012)年2月29日刊(社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会)
本誌の「心のバリアだと感じた体験や事例などありますか」(p.21~p.23)という設問に回答した内容について、3日間にわたって14の事例を紹介してきた。
今度は、逆に「心のバリアフリーだと感じた体験や事例などありますか」(p.37~p.39)という16の事例が紹介されている。
3日間にわけて順次紹介する。
本日は、はじめの5つ(p.38)を、以下に引用する。
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【引用始め】
〈事例〉
① 「うちの子はこういう障害があるので、このように接してもらえるとありがたい」というように、積極的に説明していったら、理解してもらえた。パニックになった時、騒がず、じっと見守ってくれたり、周りの人がそっと配慮してくれた。
② 将来、地域で生活しやすい環境を作りたくて、子どもを地元の小学校へ入れた。幸い、理解ある担任や同級生に恵まれた。社会人となった今、地元で活躍している同級生に、スーパーなどで声を掛けられると、嬉しい。
③ 学童保育で、障害児のできなかったなわとびや竹馬を、健常の子ども達が根気強く励ましてくれて、できるようになった。卒所の会で、他のお母さんから、「おたくのお子さんがいてくれて、他の子ども達にもとても良かった」と言われた。
④ 障害者施設と小学校が交流している。子どもの時から知的障害者を身近に見て接することで、変な目で見ることもなくなる。
⑤ いろいろなサービスが使えるようになり、社会参加も増えてきて、少しずつ理解が進んでいると感じる。契約制度で、利用者と位置づけられるようになって、福祉現場では丁寧な声がけがされるようになった。職員も利用者も全員、「さん」付けになった。
【引用終わり】
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以上のように「心のバリアフリー」の事例は、時間を要したものばかりだ。
今すぐできるものでない。
長年お付き合いして、だんだんと理解が進んだ結果、今こうなっていますと言うことである。
一石二鳥というわけにいかない。
障がい者側、障がいがない側ともに歩み寄る姿勢が必要だ。
一方的な要求だけではうまくいかない。
相互の交流を盛んに行うことが一番大事となる。
(ケー)