木がらしや東京の日のありどころ
元日や手を洗いをる夕ごころ
などは、ひどくまっとうな句だが、ある心の情景を的確に伝えている。だが、おそらく芥川の俳句の絶唱は、
木がらしや目刺にのこる海のいろ
であろう。卑俗な目刺に広大な海の名残を見るこの句は、ある象徴の高みに達している。
(「文人俳句」より)
「詩歌遍歴」木田元著 平凡社新書 2002年
富翁
元日や手を洗いをる夕ごころ
などは、ひどくまっとうな句だが、ある心の情景を的確に伝えている。だが、おそらく芥川の俳句の絶唱は、
木がらしや目刺にのこる海のいろ
であろう。卑俗な目刺に広大な海の名残を見るこの句は、ある象徴の高みに達している。
(「文人俳句」より)
「詩歌遍歴」木田元著 平凡社新書 2002年
富翁