〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(66)

2016年03月14日 20時28分48秒 | 哲学書
もし君が幼児をつかまえて、お得意の哲学的理神論だの美的徳操だの羞恥心だの、普遍的博愛だのを、君の時代の高邁な趣味に従って気前よく恵んでやろうなどとしたら、それこそ千倍もばかげている。博愛などという美辞麗句を並べ、寛容を看板にかかげてはいるが、そのじつは民衆に圧制を加え、啓蒙開化を口にしながら搾取を事としているありさまなのだ。幼児をつかまえてだって。冗談ではない。君こそが愚昧きわまる悪たれ小僧ではないか。しかも君はこうして、幼児のよりよい性情を、幸福と本性の基礎を奪い、君のばかな計画がうまくいったあかつきには、幼児をこの世の最も耐えがたい化物に――三歳の老いぼれにしてしまうのだ。
(ヘルダー「人間性形成のための歴史哲学異説」より)
「世界の名著38 ヘルダー ゲーテ」責任編集 登張正實 中央公論社1979年
                                  富翁 
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