野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アラカシ

2019-01-24 | フィールドガイド地質
アラカシ(ブナ科)
常緑の高木で、ドングリの木です。
武庫川周辺の山にもっともよくあるカシの木で、カシの木の仲間では、日本で一番広く分布しています。
葉はムラサキシジミというチョウの幼虫の餌になります。 (武庫川大探検より)
 
関西ではカシの木というと、アラカシが多い。 関東地方でカシといえばシラカシ(生きている鶴見川)
アラカシの葉は大きく鋭い鋸歯が葉の半分ほどある。葉の裏は緑灰褐色・絹毛があります。
アラカシの芽は、4月上旬から伸びだします。
冬の間は、鱗片が5列に並んでいます。アラカシの芽の鱗片は、托葉になります。 

環境省の身近な林と動植物の関係調査から
「近畿地方ではクヌギよりアラカシが多く見られます。
屋敷林・社寺林ではもっとも普通のドングリです。
中国地方ではコナラ・アラカシ・クヌギがほぼ同じ割合で 見られます。
ここでもアラカシは屋敷林・社寺林にもっとも 普通のドングリです。
四国地方ではアラカシのほうがコナラより多くなります。
市街地・住宅地の屋敷林・社寺林の約90%でアラカシ。
コジイ(ツブラジイ)やウバメガシの出現が多いこともこの地域の特色です。」

2019年最初の満月1月21日(月)の画像

2019-01-23 | photo
2019年最初の満月は、1月21日(月)。
この満月、実はアメリカの多くのメディアでスーパームーンとして紹介されています。
スーパームーンは正式な天文用語ではありません。
1979年に占星術師リチャード・ノーレによって造られたものです。
定義によれば、満月または新月でスーパームーンと呼ばれるためには地球への最も近く、361,740キロメートル(またはそれ以下)以内に来る満月または新月を、スーパームーンと呼ぶそうです。
スーパームーンの満月は、1年で最も小さい満月に比べて、約14%大きく、最大で約30%ほど明るく見えると言われています。
反対に
マイクロムーン:月の中心が地球の中心から405,000キロメートル以上離れているときに行われる満月または新月。

《2019年の満月時の地球と月の距離》
1月21日…約357,700km
2月20日…約356,800km
2月がたのしみな距離になる。

子どもの本がおもしろい㉝「自然科学読み物生き物のちえ① 助け合う生き物の話」

2019-01-23 | 資料を読む
資料を読む 子どもの本がおもしろい㉝「自然科学読み物生き物のちえ① 助け合う生き物の話」伊藤年一文 学研
自然科学読み物生き物のちえシリーズの5巻のうちの1巻目

目次
水の生き物(クマノミとイソギンチャク
ダテハゼとテッポウエビ
ヤドカリとイソギンチャク
マンボウとカモメ
カクレエビと魚とスナイソギンチャク)
動物と鳥(ウシツツキとサイ
ラーテルとミツオシエ
クジラとハイイロヒレアシシギ)
動物(ウシと原生動物
シママングースとイボイノシシ)
こん虫(クロオオアリとクロシジミ
クロオオアリとアブラムシ
ハキリアリとキノコ)
 
クマノミとイソギンチャクで、国語の教科書と比べ読みができるかもいうのが広告文にあった。

注目したのはこん虫(クロオオアリとクロシジミ)
クロシジミはクロオオアリと共生するシジミチョウのなかま。
現在、絶滅危惧種に指定されている。
草に産みつけられた卵からふ化した幼虫は、アブラムシの分泌物をなめて大きくなる。クロオオアリも見張りを兼ねてエサあたえたり守ったりして地上で成長させる。
3れいになるとクロオオアリによって巣に運ばれ、クロオオアリと同居生活をするようになる。 巣ではクロオオアリに口移しでエサをもらいながら成長する。
ほとんど見られないチョウだが、ヤマトシジミやルリシジミはアリに蜜を与えて守ってもらう幼虫であることが紹介されている。
 
内容は面白い。身近で観察できる生き物を載せてあるともっとよいのだが、
春になるとゆっくり観察してみよう。

アセビ

2019-01-22 | フィールドガイド--植物編--
アセビ(ツツジ科)
常緑の低木です。春先にスズランのような白いツボ状の花をいっぱいつり下げます。
この木には毒があり、ウシやウマが葉を食べると、酔っぱらったようになることから“馬酔木”と書かれます。(武庫川大探検より)
 
花・・・花も有毒。枝先に白い花が多数垂れ下がって咲く。
花冠は壺形で先は浅く5裂する。
花期は武庫川流域では、まだ肌寒い2月頃から咲き始め、5月頃まで。
幹は縦にねじれている。
奈良公園では、鹿が食べないため、アセビの木が多く繁殖している(生きている大和川より)
白い花や赤い実を付けるので、
庭木や公園によく植えられている。

2017年1月 きのこの話

2019-01-21 | 野生生物を調査研究する会歴史
2017年1月29日(日) キノコの話
今月はキノコの話を伺いました。去年10月の大雨の後、里山でもキノコがニョキニョキ生えてきました。名前はほとんどわかりませんでしたので、この機会にそれも見ていただきたいと思います。
まずはキノコの各部の名称や生活環を見せて頂きました。菌類であるキノコは普通「菌糸体」という菌糸の状態で存在し、温度や湿度、栄養などの条件が合ったときに「子実体」が出現します。私たちが食べているのはこの「子実体」とよばれる部分です。
キノコの利用法としては、「食用」「薬用」「植林」があるそうです。「食用」「薬用」のキノコは身近にありなじみ深いですが「植林」とはどういうことなのでしょうか。植物の根は、生育に必要な水や養分を土から吸収する大事な役割を果たしています。その根には、ある種の菌類が共生しています。例えばマメ科の根に付く根粒菌があります。実はキノコの菌糸体の中にもそういう役割を果たす「菌根菌」というものがあります。
キノコについてのいろいろなお話を伺いました。木と共生しているキノコがあります。「菌根菌」は、植物の根に付く菌で糸状の組織を土の中に張りめぐらせ、樹木の細い根に共生して、「菌根」を作ります。そうして、土の中から養分や水を吸収し、菌根を通して樹木に届け、そのかわりに樹木は、光合成で作った糖類などを菌類に与え、その命を支えているそうです。
 
兵庫県治山林道協会が発行した「兵庫県のきのこ図鑑」には、たくさんのキノコが載っています。興味のある方はぜひご覧ください。
キノコは似たものが多く特定はなかなか難しく、傘の上からだけではなく、横からの写真や「つば」「つぼ」「ひだ」の状態も見て判断するそうです。持参した写真はほとんどが上からの写真、相当分かり難かったようです。申し訳ありません。
次回からはあらゆる方向から撮るようにします。名前が判明したものを載せておきます。

オシドリ

2019-01-20 | フィールドガイド--野鳥--
環境省が毎年実施するガンカモ類の生息調査によれば、オシドリの観察数は1980年代に1万羽以上になり、2014年度には3万羽を超えたといいます。
オシドリは警戒心が強く、普段は岸辺のやぶに潜んでいて、20~30羽の群れが基本のようです。
オスは美しい飾り羽があり、色彩はとても華やかできれいだ。
それに比べて、メスはずっと地味な色をしている。
頭部は灰色、メガネ模様と喉が白く、背面は緑色がかった暗褐色。
都市部の谷間、砂防ダムでたまった水辺でみられた。
その数30羽。
広く開けた水面より林に囲まれたような場所、まさにぴったりのところで見つけた。
ドングリなどの木の実を好み、斜面はコナラやアラカシがたくさんはえている。
鳴き声がケェーとかクァッと谷間を響かせます。
谷の上は住宅街
こんなところにも、ここ3年やっていきています。

2007年1月28日 エコバスツアー『淡路島ぐるっとひとめぐり』

2019-01-18 | 野生生物を調査研究する会歴史

淡路島からスイセンの便りが聞かれます。

今年度の冬は暖かいのか見ごろは例年より早いとか。

2007年の報告です

2007年1月28日 エコバスツアー『淡路島ぐるっとひとめぐり』
今年のエコバスツアーは淡路島をぐるっと回りました。明石大橋を通ってまずは北淡震災記念公園へ。次に伊弉諾神社。その後、南端の灘黒岩水仙郷を訪れて、そのまま北端の県立淡路島公園へ。本州と淡路島は明石大橋で結ばれ、三宮からは50分で震災記念公園まで行けますが、淡路島はさすが大きいですね。南端まで行って最後の県立淡路島公園を訪れると、4時近くになってしまいました。
震災記念公園では野島断層保存館を見学。これは震災によって約10kmにわたって露出した断層の一部を保存したものです。屋根で囲われた断層は約140m。断層が動いたために出来たさまざまな地表の変化を見ることができます。

さらに地層を掘り下げたトレンチ展示も。異なる地層が動いてせり上がった様子がよく分かります。
バスの中でK先生より断層とプレートのお話を伺いました。実際に動いた断層を見ると、プレートが別のプレートの下にもぐりこんで地震が起こると言う壮大な話も実感できるような気がしました。

断層からわずか1mのところに建っていた民家が保存・展示されています。この民家は基礎に普通の倍のコンクリートを使っていたため倒壊を免れました。断層を横切って置かれてあった花壇の縁取りのレンガは断層の動きよって約1.2mもずれてしまっています。

淡路島は雨が少ない瀬戸内式気候でタマネギの栽培が盛ん。またマルチを使ってレタス、キャベツ、ハクサイなどを周年作っています。手前のレタス畑はもう収穫が終わっています。その向こうにはタマネギの苗が植えつけられています。
バスで海岸沿い道を走っていると、乾燥に強いダンチクが生い茂っているのが見られました。暖地の海岸沿い、川沿いに生えるアシの仲間で常緑です。竹のようにも見えるのでダンチクという名前がつけられたそうです。葉の形がヨシ(葦)に似ていて茎が竹に似ているのでヨシタケの別名もあります。

つぎに伊弉諾神宮へ。この神社は『国生み神話』の二神、イサナギ・イザナミが祭られています。境内は天然記念物の『夫婦大楠』をはじめ照葉樹林に覆われています。
さっそく先生に解説をしていただきました。ヤブツバキ、クロガネモチ、クスノキ、ヤマモモ、ウバメガシ、サンゴジュ、モチノキなどを観察。日本の照葉樹林は開発やスギ・ヒノキなどの植林によってだんだん失われてきていますが、神社などは聖域として人が手をつけなかったたため、その面影を残しています。

伊弉諾神宮を後にして灘黒岩水仙郷へ。ここは淡路島の最南端にあるので、ちょっと時間がかかります。ここで先生からクイズが。「神宮・大社・神社とありますが違いは何でしょう?」答えは下記のとおり。
神宮・・・皇室にかかわる神を祭る神社
大社・・・国津神を祭っている神社
神社・・・もろもろの神を地域で祭っている神社
灘黒岩水仙郷は今が真っ盛り。急な斜面を水仙が覆いつくしています。写真には見えていませんが向かいには沼島(ぬしま)が浮かび、とても穏やかな光景です。
ここの横の谷でキセキレイ、ジョウビタキ、メジロ、ヒヨドリを見ました。野鳥を見ることは想定していなかったので超望遠レンズをもっていなくて残念。200mmのレンズで何とか写しましたがキセキレイ、メジロはカメラに収めることができませんでした。残念!

最期に訪れた県立淡路島公園で記念撮影。今回のエコバスツアーは総勢31名が参加。淡路島の自然を学び、楽しんできました。

 


武庫川の樹木--アケビ--

2019-01-18 | フィールドガイド--植物編--
武庫川の樹木から
アケビ
アケビには、よく見られるのにミツバアケビ、とゴヨウアケビがあります。
花は4月~5月頃、1本の長い枝に花粉を出す雄花と、実になる雌花を別々に咲かせます。
秋にできる果実は6~10cmほどの長い卵のような形をしています。
厚い果皮と、中に種と共に白いゼリー状の果肉が入っていています。
古くから食用にされいて、果皮も果肉もどちらも食べることができます。
ツチアケビ
アケビと名がつくがラン科植物である。
腐生植物(菌従属栄養植物)なのだが、草たけが高く、大きな真っ赤な果実がつく。実の形がアケビと似ている。名はそこからついた。
※腐生植物とは光合成をやめてしまい,共生する菌類から栄養や水をもらって成長する植物。ギョリンソウ(ベニタケ科の菌から栄養をもらっている)
シュンラン(葉緑素をもつが、個体によっては体内の 60%程度の炭素は共生する菌から奪っているそうだ。)

アカマツ

2019-01-17 | フィールドガイド--植物編--
生きている武庫川樹木編
アカマツ(マツ科)より
常緑の高木です。樹皮が赤く、2本の針のような葉は、クロマツに比べて柔らかで痛くありません。
昔は三田盆地や篠山盆地の山は美しいアカマツ林で、この木の根元のまわりには、マツタケが生えます。
以下
アカマツの生育地は内陸部、クロマツは海岸部(写真右下)と、生育地をすみ分けている。
雄花が咲き終わるとその先に現れるのが雌花。
アカマツの葉は、クロマツより柔らかくて細く、緑色でやや白みがある。クロマツの葉は、濃緑色で、かたい。
掌でさわってみるとよくわかる。
アカマツはいたくないが、クロマツは痛い
また、葉はクロマツのほうがアカマツより長く太いので「雄松」、アカマツは「雌松」と呼ばれる。
アカマツは先駆樹種(パイオニア)
伐採跡や崩壊地などの裸地へ初期に侵入するのがマツ。すでに他の植物が生育している場所には侵入できない。
武庫川流域では、アカマツ林となっているところが多い。
松茸山となっていて10月ごろからは入山禁止になっている。

アオキ

2019-01-16 | フィールドガイド--植物編--
アオキ
林の日陰によく見られる雌、雄別々の株の常緑低木で、大きくなっても枝が青々していることから、この名前がついています。
赤い実と光っている葉が美しいので、庭木としてよく植えられます。
 
以上が武庫川の樹木で説明したところ
以下付け足し
 
日本特産種
分布は北海道、本州、四国、九州、南西諸島に分布する常緑の低木。
長くミズキ科とされてきましたが、APG植物分類ではガリア科(アオキ科という言い方もできるようです)になりました。
「兵庫県におけるニホンジカの嗜好性植物・不嗜好性植物リスト」 藤木大介兵庫県森林動物研究センターによると
シカの簡易な生息指標として活用しやすい嗜好性植物としては、イヌツゲ、アオキ、 ナガバモミジイチゴ、リョウブ、イタドリの 5 種が考えられた。
と報告がある。
 「これら 5 種は、これまでシカの分布が確認されなかった地域でシカの侵入をいち早く 確認するため指標として活用しやすい植物種といえる」
とあった。