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家族の肖像 作家:森村誠一さん

2015-07-15 06:13:59 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

(家族の肖像)作家・森村誠一さん チビクロ 君の命も未来も守る

2015年7月9日 朝日新聞


作家の森村誠一さん=麻生健撮影


チビクロはとっても人見知り。森村夫妻以外では、逃げ出してしまう。写真は森村さん提供。(推定6歳)

うちの場合は歴代、家に寄りつく野良猫からお気に入りを1匹選んで、家の中で遊ばせてる。
野良猫は自らの意思で私の家にくる。
そこが好き。
1991年に東京都内のいまの自宅に引っ越すと、次々と野良猫が来た。
「この家は猫好き」ってわかるんだね。
お気に入りはチビクロって名付けた6歳ぐらいのメスで、6年前からのつきあい。
自己PRがとにかくうまい。
腹ばいになったポーズは「背中をなでろ」。
ドアを開けろ、腹減ったとねだってくる。
スズメやトカゲをくわえてくるのは、プレゼントのつもりかな。
わがままだけど、私の書斎がある2階には決して上がってこない。
自分の領分じゃないってわきまえてる。
一緒に遊ぶと執筆の疲れも吹っ飛びますよ。
猫と森村家には悲しい話がある。
45年、終戦の前日の8月14日深夜、日本最後の空襲といわれる熊谷空襲(埼玉県)があって、当時12歳の私は逃げ惑った。
コゾという飼い猫を見失った。
「コゾがいない」と火の海へ戻ろうとする妹を、おやじが鬼のような顔をして引きずりながら逃げた。
翌日、コゾを探して自宅近くに行くと、川が遺体で埋まっていた。
煙に巻かれたようで、生きているみたいにきれい。
その光景は忘れられない。
焼け跡のバラックで待ち続けたが、コゾは戻ってこなかった。
うちに来る猫にコゾって名前は付けられない。
悲しくて。
いま日本は戦争をする国に進もうとしている。
けれどいつか来た道を二度と踏んではならない。
そう思う私にとって、猫とあの戦争は未来を破壊しないための原体験です。
(文・足立耕作 写真・麻生健)

もりむら・せいいち
1933年生まれ。埼玉県熊谷市出身。社会派ミステリーで知られる。代表作に「人間の証明」「悪魔の飽食」など。「猫型の宇宙」など猫が登場する作品も多数。


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