【口永良部島噴火】「明日からでも住める」変わらぬ島に募る思い
2015年06月01日 産経新聞
会見で、一時帰島した口永良部島の様子について話す、屋久島町消防団口永良部分団長の山口正行さん(左)と熊毛地区消防組合屋久島北分遣所長の日高寛昭さん
=1日午後、鹿児島県・屋久島町役場(門井聡撮影)
家も道路も何も変わらない、普段通りの島だった。
口永良部(くちのえらぶ)島・新岳(しんだけ=鹿児島県屋久島町)の爆発的噴火後、初めて一時帰島した消防団員は「明日からでも島で生活を始められるくらいだった」と、故郷への募る思いを会見で語った。
町側は条件次第で今後も一時帰島を実施する意向。
避難生活でストレスと疲労をため込んだ住民らも「色んな用事をこなし、無事に帰ってくれた」と喜んだ。
町によると、住民11人を含む計29人が口永良部島に上陸。
民家の多い本村(ほんむら)地区と湯向(ゆむぎ)地区の計89棟を巡回した。
着の身着のままで避難した住民らが心配していたのは、自宅の戸締まりとガスの元栓や家電製品の電源など防火面。
住民代表らは消防隊員の指揮のもと炊飯器やポットなどのコードを手際よく抜いて回った。
家畜の牛や豚、ペットには餌を足し、飼育されていた鶏はケージから開放した。
家の中に閉じ込められていた猫2匹は保護し、避難所の飼い主に届けた。
作業は想定より早く進み、預金通帳や印鑑の回収など住民の個別の要望にもある程度応えられたという。
会見した消防団分団長、山口正行さん(46)は5月29日の噴火以来、3日ぶりに戻った島の印象について「家畜、ペットへの被害もなく、まったくいつも通りだった」と話した。
ただ、火砕流を受けた場所は木がなぎ倒され、近づくことができなかったという。
山口さんは「期間が空けば庭や道は荒れ、どんどん生活を再開するのが困難になる」と、もどかしそうに語った。
屋久島町の荒木耕治町長も「上空のヘリコプターから島を見たが、人がいないだけで普段通りだった」と振り返った。
今回、島に立ち入れなかった住民からも一時帰島の要望は強く、荒木町長も「またやりたい」と前向きな姿勢だ。
公民館に避難している水本勝男さん(77)は「本音を言えば自分だって一時帰島したい。けれど、自分よりも若い消防団員が行ったほうがいい。色んな用事こなしてきてくれて感謝の気持ちでいっぱいだ」としみじみと語った。
一湊港に戻り、口永良部島から運び出した猫(右のオレンジのケース)や、住民の荷物を運び出す消防隊員ら
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