断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

10月の日銀当座預金残の速報値、あと、9月のマネタリーサーベイ

2012-11-18 12:54:07 | 日銀ウオッチ
ここのところ、政治の季節だそうで、
フランスで大統領が変わり
アメリカで大統領選挙が終わってオバマさん続投、
中国で最高指導部(?)が入れ替え、
日本で解散総選挙
とか、いろいろ重なっているらしい。
まあ、どうでもいいちゃどうでもいいんだが。。。

日本の衆議院選挙は、
もう明るい話題が何もない感じだ。
小泉劇場とか、
民主党の政権交代とか、
何やらテレビの報道を見ている限りでは
以前は多少は盛り上がりもあったようだけど、
今回は石原新党にしろ橋下新党の合流にせよ(あ、
逆か? どっちでもいいや)
今一つ二つ、熱が入らない。
まあ、メディアというのも、面倒な商売で、
前の政権交代や郵政民営化の時には
うまいことはなしを盛り上げていって、
商売に結び付けることができたのだけど、
今回は、衆議院選挙が遠いとにらんだのか、
橋下バッシングをはじめちゃって、
そのあとに解散ということになっちゃったから、
以前のようにうまいことはなしを盛り上げて
商売に結び付けることはできなかったろうな。。
まあ、まさか野田さんがその辺を見計らって解散をしたわけではあるまいけど、
メディアとしては、クリスマス商戦と重なったり、
あんまりうれしく思っていないんじゃないかな。。
まあ、世間で"旬"となっている政党には絶対投票しないおいらとしては、
どうでもいい話ではあるが(どの道、
橋下党にも石原党にも投票する気なんかなかったし)。

ただ、そうはいっても、
石原さんと橋下さんの合流というのは、
やっぱり違和感がある。だって、橋下さんというのは
地方行政の中央からの独立をずっと言ってきているわけだよ。
他方、石原さんというのは、
東京都知事とはいっても、やっぱり、国家政府優先の
考え方の人だという印象が強いんだよね。
東京都知事になっていたのは、
本来なら、中央政府がしっかりしなけりゃダメなんだけど、
それが全然そうなっていないから、
国家にも匹敵する経済力を持っている日本国の首都の都知事に
収まって、できることを(自分なりに)やっちまおう、
という発想だったような気がする。だから、
同じ知事とはいっても、目線がずっと違ったんじゃないのかなあ。
そういうのが、原発とかの政策に現れているんじゃないか、
という気がしているんだけど。

それにしても、話題がかき消されがちだったけど、
阿部さんが、日銀にマイナス金利とか、
国債の直接買い取りを求める、とか、
まあ、こっちもよく言うよなあ、という気がすごくする。
日銀の国債直接買い取りなんかした日にゃ、
自民党が、またぞろ地域のボスにカネをまいて
それで選挙を進める、予算がなきゃ、日銀にたかる、
そうやって、永久政権の夢よ、今一度、
ということなのかもしれないが、
そんなことをやっていれば、
本当に日本はだめになってしまうでしょうね。
まあ、行政単位・経済単位としての日本が
どうなろうと、とりあえず、生きていければそれでいいが。
こんなんが「愛国者」といわれているんだから、、、
まさか、日本の「愛国者」は、みんながみんな土建業者という
わけではないんだろうけど。。。

まあ、それはそれとして、

10月16日から15日までの準備預金積み期間中の平均残高が
11月16日付で発表になっている。
都銀、地銀、第二地銀、外銀、信託、その他
これらの準備預金の合計が376,030億円(速報値)で、
所要準備が77,410億円、超過準備が298,620億円と、
まあ、準備総額の80パーセント近くが
超過準備であるわけだ。その他当座預金取引先の当座残を含めると
410,960億円、と、当座残高全体では
去年の10月から20パーセント増しになっているわけだが、
所要準備のほうは、2パーセント増しになっているだけ。結局、
超過準備が38パーセントの増加になってしまっている。
このうち、付利の対象となっているのは、332,050億円。
1年前がどうだったかチェックしようとしたら、
データがない。
どこ見りゃいいんだ?
たしか、10年のころは、微々たるものだったと思ったが。。。

で、マネタリーサーベイ(9月)が14日に発表になっており、
それを見ていて、ふと思ったんだが、
中央銀行勘定の日銀当座預金を見ると、
2010年、2011年の同月残高とくらべると、
2010年は226,513億、2011年は365,323億となっており、
12年9月月末残高が439,683億円であることを考えると、
日銀当座は、10年を基準とした場合、
11年は61パーセントの伸び、12年は2年間で94パーセントの伸びというわけで、
実に倍近くになっている。ところがこれが、
ベースマネー全体となると、現金通貨発行高が
10年は865,556億円、11年は885,465億円、12年は854,476億円と、
全く増えていない、というか、逆に減ってしまっているのである。
もちろん、現金通貨というのは、特に、流通残高は、
我々のような市民が
たまたまその日、財布にいくら保有しておこうと考えるかで
決まってしまう面があるので、それが増えたから減ったからといって、
大した意味があるわけではないが、
しかし、現金通貨の発行残高は12年でも、日銀当座の倍近く、
10年には4倍近かったわけだから、
こちらが増えないことには、いくら日銀当座預金の残高が増えたところで、
ベースマネー全体は、さほど増えることにはならない(といっても、
さすがに、以前は、全体の5分の1しか占めていなかった当座預金が、
今では、3分の1を占めるようになり、その間、現金通貨のほうは
さしたる変動がないわけだから、ベースマネー全体も、それなりに増えてはいる)。

さて、このことの意味を、どのように考えたらいいんだろうか。
手持ちのお金というのは、当然、企業が小口現金として金庫においているものもあれば、
個人が当座の出費のため、財布に入れているものもあるだろう。
そして、銀行が、その日の払い出しに備えて金庫においている分、
これは、貨幣ではないけれど、
現金通貨の発行高には含まれている。ちなみに、
預金取扱機関勘定の中央銀行向け信用の残高(12年9月)が488,963であることから、
おおざっぱに言って、金融機関が保有する現金の残高は49,280に、
やや欠ける線ぐらいであろう。
もちろん、我々が手元に持っている貨幣の残高なんて、
もちろん物価水準が上昇するか、平均貨幣所得が上昇すれば、
増えるではあろうが、
手持ち残が増えれば、物価が上昇する、平均貨幣所得が上昇するなどという関係には
絶対に、ないだろう。ここを増やすために能動的に働きかけることができるとすれば、
休祭日を増やす、とか? シルバーウイークなんてのを秋の連休に
作るなんてな話があったが、さらに加えて、カッパーウイークでも
作れば、いっそう、現金発行残高も増えるかもしれない。
ただ、徐々に白髪も増え(こちらはまだそれほどでもない)、
最近、頭の、特に頂点部がさみしくなってきた(こちらは深刻)おいらとしては、
シルバーウイークにつづいてカッパーウイークというのは、
どうにもいい気持ちがしない。いやまあ、そんなことはどうでもいいんだが、、、
いや、そんなことより、
現金通貨の発行残高が減少した理由の一つは、
クレジットカードの利用が、小口の支払いの場合、
サインなしで使えるようになったため、以前より
はるかに気軽にクレジットカードが使えるようになったことなどの影響も
少なくないんじゃないか、という気がしている。
(まあ、我が家の話を、日本国全体に当てはめるのも
どうかという気もしないではないが。。。)
クレジットカード云々の当否は別として、
他にも今は様々な支払い方法が普及しており、
現金の手持ち残高を増やす必要がなくなりつつあることは
事実である。そうなってくると、
マネタリーベースの増加の意味を、どのように考えるべきなのか、
非常に難しくなってくるような気がする。
日銀が、アメリカやイギリスに比べ、ベースマネー供給の伸び率が
低い、というのは、常に指摘されているし、
数字を見る限り、これは明らかに事実だ。
ただし、金融部門の融資活動を通じて貨幣供給の増減に影響を与えるのは、
現金通貨ではなくて、日銀当座預金のほうだ。
現金通貨の、少なくとも流通残高は、経済活動の結果として増減するにすぎず、
ベースマネーを増やしたからといって、それと同率で増えるわけではない。
この辺が、教科書流の信用乗数の
説明と現実の齟齬で、ベースマネーが増え、貸出が増え、
マネーサプライが増えたといっても、現金流通量が増えるのは、
経済活動の結果として、財布を厚くしようとするためであり、
現金を貸出して、そのうち一定量を財布の中に残して、
残りを預金する、などということではない。
確かに、経済が安定的に推移している限り、
財布の中身も、全体的な貨幣の流通残高も、
だいたい等しい比率で増加し続ける、と考えることは、
それほど問題ないだろう。だから、教科書流の
信用創造の説明も、それなりに、意味があるだろう。
だが、経済が一定水準を超えて不安定になれば、
つまり、relevant range を超えてしまえば、
もはやそのような関係は想定しないほうがいい。

そうすると、金融政策の目先は、
マネタリーベースというよりは、中央銀行当座残高のほうを
重視するほうが、よいのではないか、そう思えてくる。
例えば、アメリカやイギリスと、日本の中央銀行のスタンスを
比較する場合、日頃の取引のため、小切手やカードより
現金を利用する性向の強い国の場合、
マネタリーベースの増加幅は少なくても、
中央銀行当座預金の増加幅は大きくなる。
その場合には、ひとたび、経済活動に拍車がかかった時(そういうときが
あればいいが)、資産価格の上昇幅が大きくなり、
ひどい資産インフレを引き起こす懸念が高くなるのではないだろうか。

というわけで、アメリカ連銀や英国銀行の値も
調べようと思ったが、今日はもう疲れたので、
おしまい。また、今度。


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