断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

日銀短観(2014年3月度調査)-中小企業資金繰り判断の話

2014-04-15 23:51:24 | 日銀ウオッチ
ついに、中小企業の資金繰りも
「楽である」が「苦しい」を上回った!
こりゃ画期的なことである。

なんせ、いざなみ景気の時は
とうとう最後まで、中小企業の資金繰りは
「楽である」が「苦しい」を上回ることは
一度もなかった。

もちろん、企業財務の観点からは
「楽である」が「苦しい」を上回るのが
必ずしもいいというわけではない。
入金は、前の期から繰り越される売掛金や受取手形の回収、
出金は、前の期から繰り越される買掛金や
未払金のほか、賃金給与を中心とする月末払いのものが
多数あるので、
一般的には、むしろ好況から不況に転じるときのほうが
資金繰りは楽になり、
他方で、受注が急激に伸びるような、停滞から好況に転じるときのほうが
資金繰りは苦しくなる。
だから、中小企業の資金繰りが楽である、というのは、
必ずしも景気にとっても企業自身にとっても、いいこととは言えないことが
少なくない。

だがもちろん、企業の利益がある程度安定して出るようになり
借入金の返済なども軌道に載って
預貯金残高が増えれば、
それだけ資金繰りは楽になる。特に、現在のように
金融機関に資金がだぶついており
金融庁も積極的に中小企業への融資を勧めているような状況では、
企業の経営見通しが少し良くなり、
財務内容がさほどひどくなければ
低金利での融資を受けやすいのだろう。
いわゆるモラトリアム法の後処理としての
金融庁・中小企業庁のパッケージ政策で中小企業再生支援機構の
認定計画を作成すれば、
借入金の返済も、比較的簡単に猶予してもらえる。

こうした場合は、確かに、景気の回復とともに
中小企業でも資金繰りが改善するはずだ。
また、小売業においては
景気回復による入金の増加のほうが
掛仕入の支払いの増加より先行するから
当然、景気の回復が資金繰りの改善につながる。
クレジットカード支払の普及は、こうした、
景気回復が企業の資金繰りの改善に結びつきやすくなっている、
という傾向に対するマイナス要因だが
プリペイド式の電子マネーの普及はプラス要因だ。
こうしたプリメイド式の電子マネーの普及が
特に小売業や最終サービス部門において、
資金繰りの改善に一役買っていることも
間違いないと思う。


求人についても、
中小企業では、人手不足が、過剰を上回った。
これは、特に建設業における需給のミスマッチのような問題も
あるには違いなかろうが
景気が改善していることを示す、という意味では
いい兆候であろう、と思う。

率直に言って、おいらは
今の極端な金融緩和政策に対しては
必ずしも好意的とは言い難い。
正直を言えば、円安・株高にけん引されている現在の
景気「回復」自体、あまりいいことだとは思っていないし、
それも、アメリカやヨーロッパの経済情勢の安定に追うところが大きく、
黒田バズーカの威力というには、ちょっと
首をひねってしまう。この程度の円安なら
民主党政権のままだって、実現していたと思う。

とはいえ、やはりいい兆候はいい兆候として
観察される事実は事実として
とりあえず、備忘のため、ブログに書き留めておく次第である。

ただ、中小企業の財務担当者の立場から言わせてもらえば、
なんというのか、最悪のタイミングで
消費税の増税をやっちゃったのかなあ、という気もしないでもない。
モラトリアム法が切れてから1年。
今のところ、まだ金融庁の金融機関に対する態度は変わっていない。
基本的には出口戦略として
中小企業庁とのパッケージ政策によって
中小企業の状態が正常化するまでは、
金融庁の態度も変わらない、といわれている。
しかし、このパッケージ政策による認定計画は
これからが正念場になる。
多くの企業が、「3年以内の黒字化」を義務付けられている。
もちろん、通常の状態であっても
赤字企業が黒字化を目指すのに「3年」という期間は短いとは言えない。
ただ、今回の場合は、総需要のショックを前提として
そこから回復を目指しての3年である。
多くの企業が、黒字を目指して、一斉に費用を切り詰める、
つまり、需要が減退の圧力が大きくなる中での
3年である。
そんな中での消費税増税であるわけだから
多くの、やっと黒転に向けて動き出した中小企業の景気に
冷や水を浴びせることになるだろう。
そして、ここで黒転に失敗すれば、
強制的な「実抜計画」への移行だ。
やれやれ、他人ごとではないのだが。。。

消費税増税の影響が、それほどひどいものにならないことを
切に願う次第。。。


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