日銀が公表する資料を中心に
個人的に思うことを書くつもりで始めたブログではあるが、
まあ、いろいろ海外の資料(といったって、
アメリカと、せいぜいイギリスやEU程度のものであるが)でも、
気になるものがあれば、取り上げてみたい。
で、手元にアメリカ商務省が10月29日に発表した
データの速報があるので、それについて、一言二言。
なお、この後、というか、先ほど見たら
同省のウェッブページで
"GDP and the Economy
advance estimates for the third quarter of 2012"
も、発表になっており、同時に"Director's message" と
"Taking Account..."(これは、同期間の、まあ、要約というのか、
総括というのか)も、発表になっていた。
それも見てから書いたほうがいいのかもしれないが、
それをやっていると、いつまでたっても進まないので、
先日公表された速報に基づいて話をするが、、、
以下、単位はすべて10億ドルである。
また、季節調整済み年換算である。
9月の個人所得は13,484.7で、これは、半年前に比べ1.4%の伸びである。
そのうち、従業員の所得は8,636.7で、全体の64%。
半年前の金額に比べ、1.1%の伸びである。賃金給与は6,940.6で、
全体の51%。半年前と比べ1.0%の伸び。
ただし、これに加えて、使用者が支払っている年金や保険料負担がある。
9月は、1,696.1である。これが全体の13%を占めている。日本にしてもそうだが、
この使用者による社会保険料等の負担というのは、
会社から見ると、結構バカにならない。
その下にある項目は
"Propietors' income with inventory valuation and
capirtal consumption adjustments"
であるが、棚卸評価額変動や固定資産の消耗による調整がある。
まあ、考え方の問題だが、これを所有者の所得変動の一部と位置付けるのは、
"Position statement"より"Balance sheet"のほうが
すわりが良い私のような人間にとっては、
何とも違和感がある。
まあ、日本もいずれはこういう方向に進むのであろうが、
ともかく、これが、実はこの半年間で、2.9%も増加しているのである。
全体に占める比率は、9%(1,224.6)と、決して少なくない。
もちろん、企業物価(消費者物価も含むのか?)が上昇すれば、
この部分の価値も増加するのは当然で、
それだけ、アメリカの物価上昇が激しいともいえるのだが
(あるいは、輸入原材料価格でも上昇しているのだろうか)、
これだけで、個人所得が増加したことになってしまうアメリカの統計というのも
まあ、会計的にいろいろあるとはいえ、
なんだかなあ、という気がする。
次が、減価償却その他償却後のレンタル収入
(Rental iocome of persons with capital consumption adjustment)であるが、
こちらは、半年前に比べて、3.9%も引き上げられている。
他方で、移転所得であるが、
政府による社会保障給付の受取は
全体で、2,344.4。これは、全体の17%を占めているわけだから、
決して少ないとは言えない。ただ、その中で失業給付について言うと
72.6であり、かなり少ないといっていいのではないか。
これは半年前と比べると、18.4%の減少である。
おいらのように単純な人間は、ついつい、
これを持って、アメリカの失業問題が緩和されているのではないか、
と思ってしまいそうになるが、もちろん、そんなことではない。
ちなみに、社会保障の政府に対する拠出額のほうは
955.2である。給付のほうが拠出よりはるかに大きく、
結局税金で穴埋めしなければならない、というのは、
どの国も同じ構図である。
これに対して、法人税や所得税といった租税 Personal current taxes のほうは、
9月は1,488.5で、これを差し引いた11,996.2が、可処分所得ということになる。
結局、可処分所得は3月に比べ、1.3%の増加である。
さて、そこから個人消費支出を差し引きすれば、個人貯蓄が出てくるわけだが、
9月の個人消費支出は11,601.2であり、半年前と比べて12.7%の伸び。
なお、この9月の値は可処分所得の97%。当然、正の貯蓄が行われており、
貯蓄は395.0であるが、これは、3か月前に比べて、9.6%の減少であり、
そろそろ貯蓄嫌いのアメリカ人の本性が表れてきたか、という感じか。
ちなみに、この間の人口増加は0.4%であり、無視して差し支えないであろう。
さて、半年前と比べて、短期的な趨勢を言えば、
貯蓄が減って、所得が増え始めたパターンで、
当然、再び貿易赤字は拡大する方向に向かうことになる。
これはある意味で、アメリカの経済構造の病理的な側面だが、
現在の世界経済が
アメリカの輸入に大きく依存している、つまり、
アメリカ経済の病理構造のおかげで、
ナントカ世界経済が支えられている、という面もあるわけで、
さてさて、といった感じである。
もっとも、日本は円高のおかげで、このアメリカの輸入増加の
恩恵を受けれない、ということであるが。
とはいえ、連銀の量的緩和のおかげでアメリカの株価が維持されており、
それが景気の下支えになっている一方で
日本にとっては、輸出の障害になっているわけだから、
なかなかつらいところである。
オバマさんが、ロムニーさんに勝利したとき、
これで、円高が一層進む、日本経済は
ますます苦しくなる、というような論調が一部にあったが、
そういうことを言っている人たちは、
じゃあ、ロムニーさんが大統領になり、
社会保障などに大ナタを振るい、
財政支出を引き締め、金融を
タイト化させればよかった、と思っているのだろうか。
そうすれば、円が安くなり、日本の輸出が増える、とでも?
それはそれとして、
この資料には、毎月の変化ばかりでなく、2010年、2011年、そして、
今年に入ってからの4半期ごとのデータ(年換算)も掲載されている。
で、だ。
12年第三四半期の個人所得は13,446.7で、2010年は12,321.9であり、
9.1%の伸び。
他方、従業員所得は8.1%の伸び。
棚卸、固定資産の所有者評価損益は9.9%の伸び(1,212.9)。
固定資産のレンタル収入は32.8%の伸びである。
一時、住宅価格が値崩れし、当然レンタル価格も大きく低落したのだろうが、
それが急速に回復していることをうかがわせる。
さらに、個人の利子所得が2.9%のマイナスになった(金融政策の
成果か?)のに対し、配当収入は、何と266%の伸びである。
これは、もともとが少なかった(2010年実績581.7に対して、
2012年は736.5)わけで、伸び率だけで判断してはいけないが、
それにしても従業員の所得の伸びに比べ、
激しすぎやしないか。ちなみに、
失業給付は138.9から75.0へと、大激減している。
この間、失業者が(失業率ではない)減った、というような
報道は、なかったように思うし、仮にあったとしても
46%もの、つまり半減に近い減少ぶりである。
失業者が減って、給付も減るなら結構な話である。
だが、失業者は、減っているのかどうなのか。
何か、今のアメリカという国の景気回復の内容、
あるいは、アメリカという国の経済状況そのものを
象徴しているかのような数字である。
個人の可処分所得の伸びは7.5%
支出の伸びは9.0%と、つまり、この2年間で、
貯蓄のほうは、21.5%の減少である。
リーマン直後の、貯蓄超過国、アメリカの姿は、
今や風前のともしびであろうか。
ちなみに、可処分所得に占める貯蓄の比率は
10年は5.1%、12年の第3四半期では3.7%にまで下がっている。
これは、世界景気にとって望ましいことといえるのだろうか。
さて、本資料は、この後、さらに機関の前期からの差額および前期比の
データが続き、かなり詳細なものであるが、
さしあたっては、個別データの前月比・前期比変動額については
さほど興味もないので、ここでは割愛する。
ただ、一言言いたいのは、これだけ詳細なデータでも、
ページ数は8ページしかない。
文字が細かいのが難点といえば難点だが、
しかし、日本の統計局の発表する四半期ごとGNPやら、日銀の
月次報告は、1回の発表で30ページとか50ページになる。
字が大きく、説明も行き届いているといえば、
確かにそうだが、しかし個人がプリントアウトしてみるには、
あまりにもページ数が多すぎる。読者として想定しているのが
国会議員だけなのかもしれないが
(ほとんどの国会議員は、そんなものを見ていやしないだろうが)
それにしても、もう少し何とかならないものか、
と、というのが、本日の結論。
個人的に思うことを書くつもりで始めたブログではあるが、
まあ、いろいろ海外の資料(といったって、
アメリカと、せいぜいイギリスやEU程度のものであるが)でも、
気になるものがあれば、取り上げてみたい。
で、手元にアメリカ商務省が10月29日に発表した
データの速報があるので、それについて、一言二言。
なお、この後、というか、先ほど見たら
同省のウェッブページで
"GDP and the Economy
advance estimates for the third quarter of 2012"
も、発表になっており、同時に"Director's message" と
"Taking Account..."(これは、同期間の、まあ、要約というのか、
総括というのか)も、発表になっていた。
それも見てから書いたほうがいいのかもしれないが、
それをやっていると、いつまでたっても進まないので、
先日公表された速報に基づいて話をするが、、、
以下、単位はすべて10億ドルである。
また、季節調整済み年換算である。
9月の個人所得は13,484.7で、これは、半年前に比べ1.4%の伸びである。
そのうち、従業員の所得は8,636.7で、全体の64%。
半年前の金額に比べ、1.1%の伸びである。賃金給与は6,940.6で、
全体の51%。半年前と比べ1.0%の伸び。
ただし、これに加えて、使用者が支払っている年金や保険料負担がある。
9月は、1,696.1である。これが全体の13%を占めている。日本にしてもそうだが、
この使用者による社会保険料等の負担というのは、
会社から見ると、結構バカにならない。
その下にある項目は
"Propietors' income with inventory valuation and
capirtal consumption adjustments"
であるが、棚卸評価額変動や固定資産の消耗による調整がある。
まあ、考え方の問題だが、これを所有者の所得変動の一部と位置付けるのは、
"Position statement"より"Balance sheet"のほうが
すわりが良い私のような人間にとっては、
何とも違和感がある。
まあ、日本もいずれはこういう方向に進むのであろうが、
ともかく、これが、実はこの半年間で、2.9%も増加しているのである。
全体に占める比率は、9%(1,224.6)と、決して少なくない。
もちろん、企業物価(消費者物価も含むのか?)が上昇すれば、
この部分の価値も増加するのは当然で、
それだけ、アメリカの物価上昇が激しいともいえるのだが
(あるいは、輸入原材料価格でも上昇しているのだろうか)、
これだけで、個人所得が増加したことになってしまうアメリカの統計というのも
まあ、会計的にいろいろあるとはいえ、
なんだかなあ、という気がする。
次が、減価償却その他償却後のレンタル収入
(Rental iocome of persons with capital consumption adjustment)であるが、
こちらは、半年前に比べて、3.9%も引き上げられている。
他方で、移転所得であるが、
政府による社会保障給付の受取は
全体で、2,344.4。これは、全体の17%を占めているわけだから、
決して少ないとは言えない。ただ、その中で失業給付について言うと
72.6であり、かなり少ないといっていいのではないか。
これは半年前と比べると、18.4%の減少である。
おいらのように単純な人間は、ついつい、
これを持って、アメリカの失業問題が緩和されているのではないか、
と思ってしまいそうになるが、もちろん、そんなことではない。
ちなみに、社会保障の政府に対する拠出額のほうは
955.2である。給付のほうが拠出よりはるかに大きく、
結局税金で穴埋めしなければならない、というのは、
どの国も同じ構図である。
これに対して、法人税や所得税といった租税 Personal current taxes のほうは、
9月は1,488.5で、これを差し引いた11,996.2が、可処分所得ということになる。
結局、可処分所得は3月に比べ、1.3%の増加である。
さて、そこから個人消費支出を差し引きすれば、個人貯蓄が出てくるわけだが、
9月の個人消費支出は11,601.2であり、半年前と比べて12.7%の伸び。
なお、この9月の値は可処分所得の97%。当然、正の貯蓄が行われており、
貯蓄は395.0であるが、これは、3か月前に比べて、9.6%の減少であり、
そろそろ貯蓄嫌いのアメリカ人の本性が表れてきたか、という感じか。
ちなみに、この間の人口増加は0.4%であり、無視して差し支えないであろう。
さて、半年前と比べて、短期的な趨勢を言えば、
貯蓄が減って、所得が増え始めたパターンで、
当然、再び貿易赤字は拡大する方向に向かうことになる。
これはある意味で、アメリカの経済構造の病理的な側面だが、
現在の世界経済が
アメリカの輸入に大きく依存している、つまり、
アメリカ経済の病理構造のおかげで、
ナントカ世界経済が支えられている、という面もあるわけで、
さてさて、といった感じである。
もっとも、日本は円高のおかげで、このアメリカの輸入増加の
恩恵を受けれない、ということであるが。
とはいえ、連銀の量的緩和のおかげでアメリカの株価が維持されており、
それが景気の下支えになっている一方で
日本にとっては、輸出の障害になっているわけだから、
なかなかつらいところである。
オバマさんが、ロムニーさんに勝利したとき、
これで、円高が一層進む、日本経済は
ますます苦しくなる、というような論調が一部にあったが、
そういうことを言っている人たちは、
じゃあ、ロムニーさんが大統領になり、
社会保障などに大ナタを振るい、
財政支出を引き締め、金融を
タイト化させればよかった、と思っているのだろうか。
そうすれば、円が安くなり、日本の輸出が増える、とでも?
それはそれとして、
この資料には、毎月の変化ばかりでなく、2010年、2011年、そして、
今年に入ってからの4半期ごとのデータ(年換算)も掲載されている。
で、だ。
12年第三四半期の個人所得は13,446.7で、2010年は12,321.9であり、
9.1%の伸び。
他方、従業員所得は8.1%の伸び。
棚卸、固定資産の所有者評価損益は9.9%の伸び(1,212.9)。
固定資産のレンタル収入は32.8%の伸びである。
一時、住宅価格が値崩れし、当然レンタル価格も大きく低落したのだろうが、
それが急速に回復していることをうかがわせる。
さらに、個人の利子所得が2.9%のマイナスになった(金融政策の
成果か?)のに対し、配当収入は、何と266%の伸びである。
これは、もともとが少なかった(2010年実績581.7に対して、
2012年は736.5)わけで、伸び率だけで判断してはいけないが、
それにしても従業員の所得の伸びに比べ、
激しすぎやしないか。ちなみに、
失業給付は138.9から75.0へと、大激減している。
この間、失業者が(失業率ではない)減った、というような
報道は、なかったように思うし、仮にあったとしても
46%もの、つまり半減に近い減少ぶりである。
失業者が減って、給付も減るなら結構な話である。
だが、失業者は、減っているのかどうなのか。
何か、今のアメリカという国の景気回復の内容、
あるいは、アメリカという国の経済状況そのものを
象徴しているかのような数字である。
個人の可処分所得の伸びは7.5%
支出の伸びは9.0%と、つまり、この2年間で、
貯蓄のほうは、21.5%の減少である。
リーマン直後の、貯蓄超過国、アメリカの姿は、
今や風前のともしびであろうか。
ちなみに、可処分所得に占める貯蓄の比率は
10年は5.1%、12年の第3四半期では3.7%にまで下がっている。
これは、世界景気にとって望ましいことといえるのだろうか。
さて、本資料は、この後、さらに機関の前期からの差額および前期比の
データが続き、かなり詳細なものであるが、
さしあたっては、個別データの前月比・前期比変動額については
さほど興味もないので、ここでは割愛する。
ただ、一言言いたいのは、これだけ詳細なデータでも、
ページ数は8ページしかない。
文字が細かいのが難点といえば難点だが、
しかし、日本の統計局の発表する四半期ごとGNPやら、日銀の
月次報告は、1回の発表で30ページとか50ページになる。
字が大きく、説明も行き届いているといえば、
確かにそうだが、しかし個人がプリントアウトしてみるには、
あまりにもページ数が多すぎる。読者として想定しているのが
国会議員だけなのかもしれないが
(ほとんどの国会議員は、そんなものを見ていやしないだろうが)
それにしても、もう少し何とかならないものか、
と、というのが、本日の結論。
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