和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

はじまりの『グリム童話集』。

2023-04-01 | 古典
河合隼雄著「泣き虫ハアちゃん」の中の
第7話「クライバーさん」にグリム童話が出てくる。
そこでグリムの「つぐみ髯の王様」の話を持ち出す。

はい。気になったので完訳グリム童話(小澤俊夫訳)を
読んだこともなかったのですが、ひらいてみました。

ちなみに、番号がふってあり52番に『つぐみひげの王さま』
つぎの53番は『白雪姫』でした。ぱらりとひらいていたら
34番の『かしこいエルゼ』が、私には印象に残りました。

それはそうと、河合隼雄には「『グリム童話集』を読む」
という短文がありました。うん。そのはじまりはこうです。

「グリムの昔話は、私の子どものころの愛読書であった。
 私は田舎育ちで本を読む子どもなどは少ない状況だったが、

 私の家にはアルス社の『日本児童文庫』という本がずらりと
 並んでいて、私は読書欲を相当に満足させられたものである。

 そのなかの一冊に『グリム童話集』というのがあり、
 小学二年生のときに読んだように思う。・・・

 グリムの話は大好きだったが、何度読んでも心のなかに疑問が生じてきて、
 どうしてもとけないことがあった。

 『黄金の鳥』という話は大好きだが・・・・
 『つぐみ髯の王様』も強く心を惹かれた話であったが・・・・

 空想好きなくせに妙に論理的なところがあった私は・・・
 だれも本気で相手にしてくれず、自分なりに勝手に考えるより
 仕方がなかった。・・・・・

 私は子どものときから、人間が不幸になるのはたまらない、
 というところがあって、日本の昔話の悲劇的結末に耐えられず、
 どうしたら幸福になれただろうかと・・・・

 ところで、昔話に対する私の長年の疑問がとかれる時が
 思いがけずやってくるのである。それは1962年にスイスの
 ユング研究所に留学すると、ユング心理学による昔話の解釈の
 講義が、フォン・フランツ女史によってなされており、
 そこでは私が子ども時代に抱いた疑問がつぎつぎと取りあげられて、
 見事にとかれてゆくのである。・・・

 私もまったく心を奪われてしまった。
『つぐみ髯の王様』も『黄金の鳥』もちゃんと取りあげられ、
 私のそれまで考えていたことをはるかにこえた観点から
 解釈がなされてゆくのである。・・・・        」


こうして4ページほどの短文のしめくくりは、こうありました。

「 大人も子どもも多くの人が、グリムの昔話を読み、
  自分なりの意味をそこに見出してほしいものと思う。 」

はい。わかりました。年は喰いましたけれど、これから読みます。
はじまり。はじまり。


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