和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『安房酪農百年史』の序文

2024-04-20 | 安房
昭和36年発行の「安房酪農百年史」(安房郡畜産農業協同組合・金木精一)
という本がありました。その序文を水田三喜男氏が書いておりました。
ここには、その序文を引用しておきたくなりました。
序文は昭和36年1月とあり、大蔵大臣水田三喜男となっております。

「 待望されていた『安房酪農百年史』が漸く刊行されることになりました。
 安房畜協金木組合長によって、8年の年月を費し、資料をととのえられた
 だけあってまことに立派な編纂であり、貴重な業績であります。

 嶺岡は私の生れ故郷であると同時に、安房酪農の発祥地です。
 百年史の中に私の祖父竹蔵と、父信太郎が嶺岡牧場に関係が
 あったことを書かれていますが、ゆかりの三代目として私に
 序文をかく様金木氏から求められました。

 酪農家としては不肖の三代目ではありますが、
 昔懐しさに欣然として御引受けした次第です。

 私が3才か4才の頃ではなかったかと思うのですが、
 今はない畜産会社の庭に咲いていた赤い木瓜の花をむしり
 取って叱られたことをかすかに覚えています。
 会社の事務所で北三原の相沢林蔵さんという人から、
 三角の袋に入っている落花生を貰って嬉しかった記憶も
 まだ私の頭に残っています。

 あの山の上に芝居小屋がかかり、
 物売りが沢山出た記憶もかすかに残っています。
 あの山の上の有名な馬とり場の跡に立って周辺を
 見下しますと何里四方か人家は一軒も見えません。
 50年の転変を思うと懐旧の情に耐えません。

 嶺岡山を中心とする房州酪農の歴史が本書によって
 はっきりとここに残されますことは何といっても嬉しいことの限りです。

 ・・・・・・        」


はい。本文をめくっていると、大正12年の関東大震災前の
安房酪農の様子が、工場の立地とともに、よくわかります。

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