和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

震災コラム。震災歌集。

2020-03-13 | 地震
竹内政明(まさあき)さんが気になり、中公新書ラクレの
「竹内政明の『編集手帳』傑作選」を注文。
その古本が昨日とどく。

竹内政明は1955年(昭和30)生まれ。
2001年7月から読売新聞一面コラムを担当。
2017年体調不良により一線から引退。

そういえばと本棚をさがす。東日本大震災の本の間に、
中公新書ラクレ「読売新聞『編集手帳』第二十集」が
それ以降の続編数冊といっしょに並べてある。

その2011年3月12日のコラムをひらく。
新書では、各コラムに題名があり、
その日の題は『運命の日』。
はじまりは

「幾度となく腕時計の文字盤に目を走らせながら、
東京都内の職場でこれを書いている。・・・・・
各地に日の入りの時刻が迫っているが、
余震は収まる気配がない。
書棚に積み上げた本が、いままた揺れている。

震源に近い被災地は停電のままである。
日没によって真っ暗になれば、
土砂崩れや火災から避難するのにも危険が増し、
救援活動もままならないだろう。
 ・・・・・・・・・・

言葉で世渡りをする手前、『言葉にならない』は
禁句にしてきたが、その光景をどう言い表そう。
川を遡った津波が田畑を呑み、家屋や車を押し流す。
『まさか、あの家に人が・・』『まさか、あの車に人が・・』と、
『まさか』の一語だけを馬鹿のように胸のなかで繰り返している。

窓の外はすっかり闇に沈んだ。
倒壊した家屋の下で、あるいは泥流に孤立して、
どれほどの数の人が恐怖と、寒さと、空腹に耐えているだろう。
祈ることしかできない身が、もどかしい。」

はい。途中をはしょって、最後まで引用しました。
もう一カ所引用させてください。
中公新書ラクレの「『編集手帳』第二十二集」。
その2012年1月5日のコラムの題は『痛恨記』。
その後半の全文を引用しておきます。

「10年連用の日記帳を使っている。
4年目に入った。去年の、あるいは一昨年の
同じ日に何をしていたかを知るには便利だが、
『あの日』が近づいてくる感触にペンを持つ手が
止まる夜もある。地が揺れたとき、津波が襲ってきたとき、
ああしていたら、こうしていたら・・・と、
『残念』の一語ではとうてい言い尽くせない痛恨の情に、
身を苛(さいな)んでいる被災地の方もいるだろう。

益体(やくたい)もないコラムを書いてしまった悔いや、
懲りない二日酔いなど、ばかな失敗を綴れる日々の、
何と贅沢(ぜいたく)なことよ。」


もどって、「読売新聞朝刊一面コラム
竹内政明の『編集手帳』傑作選」(2018年)の
「前書き・・・にかえて」(清水純一)をひらくと、
こんな箇所がありました。

「各界の『言葉のプロ』からも高い評価を得ています。
『どう展開するか、俄然、興味をかきたてる書き出し。
そして、人間に対する理解とやさしさ』(俳人・長谷川櫂氏)」

そうだ。東日本大震災の直後の2011年4月25日に
長谷川櫂著「震災歌集」(中央公論新社)が出ておりました。
歌集の本の最後から二番目に

ピーポーと救急車ゆくとある街のとある日常さへ今はなつかし

という歌が載っておりました。
せっかく竹内政明氏と長谷川櫂氏とがつながったので
さいごは、
「編集手帳」2011年5月18日と
「震災歌集」から一首を並べておきます。

「編集手帳」から

「・・そういえば、政府と東京電力が一体となって原発事故にあたる
『対策統合本部』の設置(3月15日)よりも、
蓮舫行政刷新相に節電啓発担当相を兼務させる人事(3月13日)
のほうが先というのも、ピントがぼけていた。」
(p197)

つぎに、震災歌集のp61から

 高飛車に津波対策費仕分けせし蓮舫が
       『節電してください!』だなんて


はい。蓮舫とともに、菅直人。
震災歌集をひもとくならば、
そのときどきの菅直人が詠まれておりました。

いまならば、古本のアマゾンなどで
送料共に500円~600円で買えます。
ですから、引用はなし(笑)。

ここは、歌集を買い本棚に置いていただきたい。
なあに、ご自身が読まなくってもいいんです(笑)。
ひらけば、東日本大震災直後の状況へ戻れます。




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