乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 5 「ひとつふたつ わか手なをらぬものならハ よひ/\ごをハ うちもしなゝむ」 三丁表

2020年06月05日 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 富田高至 編者

 

恩頼堂文 

庫旧蔵本  『仁勢物語』 5 三丁表

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三版

 

 

5 三丁表

◯をかし男有けり、名人の碁うちへ石なをされに

いきけり、大身なる所なれハ、たひ/\も えうたて、藁(ワラ)

苞(ツト)なとに文やり、朔日節供にかよひけり、人より下手

にもあらぬとまけ 度かさなりけれハ、あるし 其

あい手に夜ことに上手をつけてうたせけれハ、うてと

えかたて手もなをらさりけり、さて、詠める

  ひとつふたつ わか手なをらぬものならハ

  よひ/\ごをハ うちもしなゝむ

 

5 三丁表

◯おかし男有けり、名人の碁打ちへ 石直されに

行きけり、大身なる所なれば、度々も 得 打たで、藁苞(ワラヅト)

等に文やり、朔日節供に通いけり、人より下手

にも有らぬと負け、度重なりければ、主人(あるじ)其

相手に夜毎に上手を付けて打たせければ、「打て」と

得勝たて、手も尚更去りけり、さて、詠める

  ひとつふたつ 我が手 直らぬものならば

  宵々 碁をば 打ちも死ななん

 

藁苞(ワラヅト)岩波古典文学大系

 藁で包んだ土産物

うちもしなゝむ

 打ちも死ななん

 うちも し(する)ななん 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊   

  ひとつふたつ わか手なをらぬものならハ

  よひ/\ごをハ うちもしなゝむ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  人しれぬ わが通ひ路の関守は

  よひ/\ごとにうちも寝ななん

  

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 4「つらやあらぬ 鼻やむかしの鼻ならぬ 吾身ひとつハもとの身にして」 二丁裏 三丁表

2020年06月05日 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 富田高至 編者

 

恩頼堂文 

庫旧蔵本  『仁勢物語』 4 二丁裏 三丁表

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三版

 

左右

4 二丁裏 三丁表

◯をかし東の五條に扇子屋のかゝわつらふなりけり、西

の洞院にくすし有けり、それハ本堂にはあらて

針に心ふかゝりけるゆへ、行とふらひけるを、む月

の十日ハかりの程に、ほかと腫にけり、腫所ハ聞けと

人の見るへき所にもあらさりけれハ猶うしと

おもひつるなん有ける、又の年の む月にハ目と鼻と

の間に出て腫て立てみゐてみゝれど、去年に

にるへくもあらす、打笑て肋(あハら)骨もいたきに、つらのゆ

かむまて笑て去年を思出てよめる

  つらやあらぬ 鼻やむかしの鼻ならぬ

  吾身ひとつハもとの身にして

とよみて、夜のほの/″\と明るに、なく/\おきにけり

 

4 二丁裏 三丁表

◯おかし 東の五條に扇子屋のかか 患うなりけり、西

洞院(にしのとういん)に医師(くすし)有けり、それは本堂には有りて(あらて)

針に心深かりける故(ゆえ)、行き弔いけるを、睦月

の十日ばかりの程に、他と腫れにけり、腫れ所は聞けと

人の見るべき所にも有らざりければ猶(なお)憂しと

思いつるなん有ける、又の年の 睦月には、目と鼻と

の間に出て腫れて、立てみ居てみ、見れど、去年(こぞ)に

似るべくも有らず、打ち笑いて肋(あばら)骨も痛きに、面(つら)のゆ

かんまで笑いて、去年(こぞ)を思い出して詠める

  面(つら)やあらぬ 鼻や昔の鼻ならぬ

  吾身(わがみ)ひとつはもとの身にして

と詠みて、夜のほのぼのと明(あく)るに、泣く泣く起きにけり

 

あらて

 有りて

む月  岩波古典文学大系

 睦月陰暦正月。)

うし

 憂し

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊   

  つらやあらぬ 鼻やむかしの鼻ならぬ

  吾身ひとつハもとの身にして

 とよみて、夜のほの/″\と明るに、なく/\おきにけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  月やあらぬ 春や昔の春ならぬ

  わが身ひとつはもとの身にして

 とよみて、夜のほの/″\と明(あく)るに、泣く/\帰りけり

  

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 3「おしやるならハむしろのうへにねもしなん 備前瘡にハ蓋をしつゝも」 二丁表 二丁裏 和泉書院影印業刊

2020年06月05日 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 富田高至 編者

 

恩頼堂文 

庫旧蔵本  『仁勢物語』 3 二丁表 二丁裏

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三版

 左

3 二丁表 二丁裏

◯をかし男有けり、秘蔵しける女のもゝに備前瘡と

いふものをやみて

  おしやるならハむしろのうへにねもしなん

  備前瘡にハ蓋をしつゝも

二てうの薄緑のまたいてこで、たゝみやにをきける

時の事也

 

3 二丁表 二丁裏

◯おかし男有けり、秘蔵しける女の股(もも)に備前瘡(びぜんがさ)と

云う物を病みて

  おじゃるならば 筵(むしろ)の上に寝もしなん

  備前瘡(びぜんがさ)には 蓋をしつつも

二畳の薄緑(うすべり)のまだ 出で来で、畳屋にを聞ける

時の事也

 

秘蔵しける  岩波古典文学大系

 大切にしている

備前瘡(びぜんがさ)  岩波古典文学大系

 疥癬虫の規制によって起こる伝染性皮膚炎。下腹、股部に生じ、かゆい。

おじゃるなら  岩波古典文学大系

 おいでになるなら

二畳  岩波古典文学大系

 畳二枚分の広さ

『伊勢物語』では、二畳の妃

薄緑(うすべり)  岩波古典文学大系

 茣蓙(ござ)に縁をつけた薄い引き物

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊  

  おしやるならハむしろのうへにねもしなん

  備前瘡にハ蓋をしつゝも

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  思ひあらば 葎(むぐら)の宿に寝のしなん

  ひじきものには 袖をしつゝも

 

葎(むぐら)  大辞林

 広い範囲にわたって生い茂る雑草。また、その茂み。カナムグラ、ヤエムグラなど。もぐら。

 季 夏「山賤(やまがつ)のおとがひ閉る―かな/芭蕉」

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紫陽花の色づきが少し濃くなってきました。

2020年06月05日 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

 

 

 

 紫陽花の色づきが少し濃くなってきました。

 

 時々ふたりで、此のテーブルでお茶やお菓子をいただいています。

 静かな時が流れます。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6月初旬、菖蒲園が満開でした。

2020年06月05日 | お出かけ

 

 6月初旬、菖蒲園が満開でした。

 

 

 奈良県 馬見丘陵公園

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする