乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 16 「ほね折りて そだてしことをかそうれは とをといつゝと よついへにけり」八丁裏 九丁表 九丁裏

2020-06-14 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 

 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 16 八丁裏 九丁表 九丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

左右

丁裏 九丁表 

をかし男紀の僧正の弟子有けり、都の内に寺もち

て、斎(トキ)あきけれと、後ハ世かわり、斎へりけれと

よの常の坊主のこともあらす、人からハ心うつくしう

未なき物をこのみて、こと人にもにず、うます

きおをくひても、猶むかしよりし時の味

なから、世の常のこともしらす、年此そたてたる

弟子やう/\とこはなれて、つひに俗になりて

兄のさきたちて行きたる所へ行くを、坊主まこと

にむつかしき経なと、こそ、おしへけれ、今ハとゆくを

いとあハれと思侘して、念頃にあいしらひける旦那のもとに

九丁表

「かう/\今ハとて、まかるをいたひける物をもえやらて

つかわす」とかきて、おくに

  ほね折りて そだてしことをかそうれは

  とをといつゝと よついへにけり

かの旦那、これを見て、いとあハれと思ひて、刀、わき

さし、よるの物まて(ママ)をくりてよめる

  斎たにも十日廿日もへりにけり

  いきたい君を せがみくふたん

彼弟子よひて、魚なとくいせたりけれは

  今日や此 僧のころもをぬき捨て

  君か大小 ささたてまつる

よろこひにたへて、又

九丁裏

  秋を焼く 鶴や真鴨とおもふまて

  すふは鯰の 汁にそありける

  

 

丁裏 九丁表 

おかし男、紀の僧正の弟子有けり、都の内に寺持ち

て、斎(トキ)飽きけれど、後は 世代わり、斎 減りけれど

世の常の坊主の事もあらず、人からは、心美しう

未だ無き物を好みて、事、人にも似ず、うます

きおおくいても、猶 昔よりし時の味

ながら、世の常の事も知らず、年此育てたる

弟子ようよう とこ 離れて、ついに俗になりて

兄の先立ちて行きたる所へ行くを、坊主、誠

に難しき経なと、こそ、教えけれ、今はとゆくを

いと哀れと思侘して、念頃に相しらいける旦那の元に

九丁表

「こうこう、今はとて、罷るをいたいける物をも、得やらで

遣わす」と書きて置くに

  骨折りて 育てし事を かそうれば

  十(とう)と五(いつつ)と 四(よつ)言えにけり

彼(かの)旦那、これを見て、いと哀れと思いて、刀、脇差

夜の物まで(ママ)を繰りて詠める

  斎(とき)だにも 十日(と雨か)廿日(はつか)もへりにけり

  いきたい君を せがみ食うたん

彼弟子酔いて、魚など食いせたりけれは

  今日や此 僧の衣を脱ぎ捨(て)て

  君が大小 先 奉る

喜びにたえて、又

九丁裏

  秋を焼く 鶴や真鴨と思うまで

  吸うは鯰の 汁にそぞありける

  

 

斎(とき)(さい いみ いもい いつき いわい とき)

 1 神仏を祭るとき、心身を清める。ものいみ。 2 祭事を行う。3ものいみや読書などをする部屋。

 4精進料理。僧の食事。とき。

かう/\

 かうかうしかじか、と言う訳で

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ほね折りて そだてしことをかそうれは

  とをといつゝと よついへにけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  手を折りて あひ見しことをかぞふれば

  とをといひつゝ 四つは経にけり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  斎たにも十日廿日もへりにけり

  いきたい君を せがみくふたん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  年だにも  とをとて四つは経にけるを

  いくたび君を たのみ来ぬらん

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  今日や此 僧のころもをぬき捨て

  君か大小 ささたてまつる

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  これやこの あまの羽衣むべしこそ

  君がみけしと たてまつりけれ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  秋を焼く 鶴や真鴨とおもふまて

  すふは鯰の 汁にそありける

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  秋や来る 露やまがふと思ふまで

  あるは涙の 降るにぞありける

 

  

 

 

 

 

 

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庭の紫陽花が、真紫になりました。

2020-06-14 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

6月14日 庭の紫陽花が、真紫になりました。

今年は矢田寺に行く予定でしたが、コロナのため、山門が閉められています。

先日信貴山に行くましたが、山中の紫陽花は荒れ果てて、影を潜めていました。

今年は庭の紫陽花を見て、まったりとしています。

 

 

 

 

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