乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 14 「「なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも なるへかりけり この月はかり」」 七丁裏 八丁表

2020-06-11 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 

 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 14 「なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも なるへかりけり この月はかり」「夜もあけハ きつねむしなと 人やみん またき起こして 残をやりつる」「くりの粉のあたゝけもちの あたるゝ みやけにこんと たんとやらましを 七丁裏 八丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

七丁裏

をかし男、甲斐國へすゞろに行至りにけり

そこなる女、江戸の人ハめつらしくや 思ひけん

せちに思へる心なんなりける、さてかの女、

  なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも

  なるへかりけり この月はかり

歌さへそひひなたくさかりける、さすかにおかしとや

思けん、よひてねにけり、夜ふかく出して

  夜もあけハ きつねむしなと 人やみん

  またき起こして 残をやりつる

とよみて、て、この男、江戸へなん まかるとて

  くりの粉のあたゝけもちの あたるゝは

  みやけにこんと たんとやらましを

といへりけれハ、涎(ヨダレ)こぼちて、「うれしかりけらし」とそ

                       …けらせし」とそ                   

いひおりける

 

 

七丁裏

おかし男、甲斐國へすずろに行き、至りにけり

そこなる女、江戸の人は珍しくや 思いけん

せちに思える心なん、なりける、さて かの女、

  長々と 連れて御座らざ 手かけにも

  なるべかりけり この月ばかり

歌さへえ添い、日向 草刈りける、流石におかしとや

思いけん、酔いて寝にけり、夜深く出して

  夜も明けば 狐 狸(むじな)と 人や見ん

  またき 起こして 残を遣りつる

と詠みて、この男、江戸へなん まかるとて

  栗の粉のあたたけもちの あたるるは

  土産に来んと たんとやらましを

と言えりければ、涎(ヨダレ)こぼちて、「うれしかりけらし」とそ

                       …けらせし」とそ                   

言いおりける

 

すずろ

 あてもなくぶらぶらとい

せち

 甚だ強く、ひたすら、ぞっこん

手かけ 

 妾 一ヶ月の月囲い

狐 狸(むじな)

 きつねとたぬき

またき

 未だ朝が来ぬうちに

栗の粉のあたたけもち

 栗の粉を蒸して作った鏡餅

こぼちて

 こぼして

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも

  なるへかりけり この月はかり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  中/\に 恋に死なずは桑こにぞ

  なるベかりける 玉の緒ばかり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  夜もあけハ きつねむしなと 人やみん

  またき起こして 残をやりつる

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  夜も明けば きつにはめなで くたかけの

  まだきに鳴きて せなをやりつる

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  くりの粉のあたゝけもちの あたるゝは

  みやけにこんと たんとやらましを

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  栗原の あれはの松の人ならば

  都のつとに いざといはましを

 

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 13 「武蔵坊 さすがほどなる薙刀を 振らぬもつらし 振るもうるさし」七丁表 七丁裏

2020-06-11 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 

 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 13 「武蔵坊 さすがほどなる薙刀を 振らぬもつらし 振るもうるさし」「

ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊 かゝる折にや 人ハいふらん」七丁表 七丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

七丁表

◯をかしむさしと云男京なる女のもとに「聞ゆ

れははつかし、聞えねハ、くさし」とかきて、うはかき

に「むさし坊弁慶」と書て、ほそ心さしをこせて

後音もせすなりにけれハ、京より女

  武蔵坊 さすがほどなる薙刀を

七丁裏

  振らぬもつらし 振るもうるさし

とあるをみてなん、はつかしき心ちしける

  ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊

  かゝる折にや 人ハいふらん

 

七丁表

◯おかし武蔵と云う男京なる女の元に「聞ゆ

れば 恥ずかし、聞えねば、くさし」と書きて、上書き

に「武蔵坊弁慶」と書て、細心さしを越せて

後音もせずなりにければ、京より女

  武蔵坊 流石ほどなる薙刀を

七丁裏

  振らぬも辛し 振るも煩(うる)さし

と有るを見てなん、恥づかしき心地しける

  振れは言う 振らねば恨む武蔵坊

  かかる折にや 人は言うらん

 

くさし(くさす 腐す

 《五他悪く言う。けなす

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  武蔵坊 さすがほどなる薙刀を

  振らぬもつらし 振るもうるさし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  武蔵鎧(あぶみ) さすがにかけて頼むには

  とはぬもつらし とふも五月蠅し

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊

  かゝる折にや 人ハいふらん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  とへばいふ とはねば恨む武蔵鎧(あぶみ)

  かゝるおりにや 人は死ぬらん

 

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通し狂言 七幕 『桐一葉 きりひとは』 花組芝居 2016年  原作:坪内逍遥  脚本・演出:加納幸和

2020-06-11 | TVで舞台

 

通し狂言 七幕 『桐一葉 きりひとは』花組芝居 2016年

 

 N◯Kの大河ドラマにもなったらしい花組芝居『桐一葉 きりひとは』を見た。要約)

 登場人物が歌舞伎役者に似せる方向に演出されているのか、梅玉や弥十郎の言い回しに似た役者、愛之助激似メークの白塗り役者など、歌舞伎好きにはたまらない。

 歌舞伎の江戸言葉や言い回しや仕草や形を花組芝居風に演じられ、この舞台も相当面白い。まさしく、ネオ歌舞伎と言えるが、ある意味、歌舞伎よりも話の筋書きが複雑で、演劇的である。

 また、歌舞伎演目の台詞の言い回し(例えば、『助六』の「墨と雪」)なども多く取り入れられ、最後、鶏がくどいほどに「こけっこっこ〜、こけっこっこ〜〜」と鳴くと観客(私)には「東天紅〜東天紅」と聞こえ、天からは桐の葉(白紙)がぱらり、また、はらりと舞い降り、『桐一葉 きりひとは』の舞台を盛り上げる。

 

「さらばじゃ」「さらばでござる」(要約)

 舞台上に作られた枠組みは過去となった歴史と時の新たに流れを告げる境界線を演出し、登場人文つが走馬灯のように無言でゆっくりと歩き回る。

 この舞台は実際に劇場で見て見たかったと感じた。

 

 また、話はそれるが『桐一葉 きりひとは』と『毛皮のマリー』に出演されてなかった、梅本潤改〆梅本純米さんの芝居を見てみたい。

 

 

 

 以下は花組芝居『桐一葉 きりひとは』公式HPより ▼

原作:坪内逍遥
●脚本・演出:加納幸和
●出演:
  加納幸和 原川浩明 山下禎啓 桂憲一 八代進一 大井靖彦
  北沢洋 横道毅 秋葉陽司 松原綾央 磯村智彦 小林大介
  美斉津恵友 谷山知宏 丸川敬之 二瓶拓也 押田健史

2016年9月30日(金)~10月10日(月・祝)

【あらすじ】
天下分け目の"関ヶ原の戦い"後の大坂城。
豊臣家を滅ぼそうと画策する徳川家康は、
方広寺の鐘銘にあった文字に難癖をつけ、三ヶ条の難題を押し付ける。
淀君をはじめとする豊臣家の人々は憤慨するが、
徳川との交渉役を勤める片桐且元は条件を呑むべきと主張。
"交渉に時間をかけ、高齢の家康の死を待つ"が、彼の秘策。
しかし反且元の大野道軒一派は、『且元は内通者だ』との噂を流し、
城内にて且元暗殺の計画が持ち上がる…。

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